第134話「雪だるまづくり」
病院の庭は、一面まっしろな雪に覆われていた。昨日から降り続いた雪は、女の子の膝あたりまで積もり、見慣れた庭の風景をすっかり変えてしまっている。
「わぁ……!すごい、雪がいっぱい!」
朝いちばんに外へ飛び出した女の子は、真っ白な景色に目を輝かせた。わんこたちも元気に駆け回り、雪を蹴散らしてはしゃいでいる。猫たちは寒そうに窓辺から顔を出しているだけだったが、やがて好奇心に負けて一匹、二匹と外へ降り立った。
「せんせい!ゆきだるまつくろうよ!」
女の子が勢いよく振り返ると、院長先生は笑って頷いた。
「よし、みんなで大きなのを作るか」
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まずは雪玉を作るところから。女の子が両手で雪をぎゅっと丸め、それを地面に転がすと、みるみる雪がくっついて大きくなっていく。
「わぁ!おっきくなった!」
わんこもそれを見て真似をするように、鼻先で雪玉を押し転がす。ころころ……ごろごろ……勢いがつきすぎて、あっという間に自分よりも大きな雪玉に。
「ちょっと、まってまって!」
女の子が慌てて止めに入ると、わんこは得意げにしっぽを振った。
猫たちは雪の上にちょこんと座って、転がる雪玉をじっと見ている。突然ひとりの猫が飛びかかり、雪玉の上に爪を立てた。けれどすぐに冷たさに驚いて飛び退き、「にゃっ!」と短く鳴いた。その仕草に、みんながくすくす笑う。
***
三つの大きな雪玉を積み上げると、立派な雪だるまの形になった。
「うん!いいかんじ!」
女の子が雪だるまの顔を作ろうと、ボタンやにんじんを探しに行く。すると猫がどこからか落ち葉をくわえてきて、雪だるまの鼻の位置にぺたりと貼りつけた。
「えぇ〜、それじゃあ鼻じゃなくてひげみたいだよ」
女の子が笑いながら指摘すると、猫は満足げに座り込む。
そのとき、メェ子がやってきた。興味津々で雪だるまをつつき、頭の雪玉がぐらりと揺れる。
「わぁぁ!だめだめ!こわれちゃう!」
女の子が慌てて支えると、先生が藁の束を持ってきて雪だるまの足元を固めた。
「ほら、これで安定するだろう」
「ありがと、せんせい!」
みんなで協力して、ようやく雪だるまは完成した。丸い目ににんじんの鼻、口は木の枝でにっこり笑顔。マフラー代わりに古いタオルを巻いてやると、一気に表情が生き生きと見える。
***
「できたー!」
女の子が両手を広げて叫ぶと、わんこたちも「ワン!」と声を合わせた。猫たちは雪だるまの足元に丸くなり、メェ子は満足そうに鼻を寄せている。
「この雪だるま、しばらく庭の番人をしてもらおうか」
先生が言うと、女の子は嬉しそうに頷いた。
「うん!この子、きっといいおともだちになるよ!」
***
雪遊びで体が冷えたころ、みんなで病院の中へ戻る。
テーブルの上には温かいほうじ茶と甘いおしるこが用意されていた。
「わぁ……!」
女の子は湯気の立つ椀を両手で持ち、ひと口飲んで頬をほころばせる。
わんこたちは毛布の上で丸くなり、猫たちはこたつへ潜り込み、メェ子には人参の皮のおすそわけ。みんな満足げにくつろいでいる。
窓の外には、大きな雪だるまがにこにこと微笑んでいた。冷たい雪と温かな部屋。両方があるからこそ、冬はこんなにも楽しいのかもしれない。




