表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
動物病院日誌   作者: 匿名希望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/147

第134話「雪だるまづくり」



病院の庭は、一面まっしろな雪に覆われていた。昨日から降り続いた雪は、女の子の膝あたりまで積もり、見慣れた庭の風景をすっかり変えてしまっている。


「わぁ……!すごい、雪がいっぱい!」

朝いちばんに外へ飛び出した女の子は、真っ白な景色に目を輝かせた。わんこたちも元気に駆け回り、雪を蹴散らしてはしゃいでいる。猫たちは寒そうに窓辺から顔を出しているだけだったが、やがて好奇心に負けて一匹、二匹と外へ降り立った。


「せんせい!ゆきだるまつくろうよ!」

女の子が勢いよく振り返ると、院長先生は笑って頷いた。

「よし、みんなで大きなのを作るか」


***


まずは雪玉を作るところから。女の子が両手で雪をぎゅっと丸め、それを地面に転がすと、みるみる雪がくっついて大きくなっていく。

「わぁ!おっきくなった!」


わんこもそれを見て真似をするように、鼻先で雪玉を押し転がす。ころころ……ごろごろ……勢いがつきすぎて、あっという間に自分よりも大きな雪玉に。

「ちょっと、まってまって!」

女の子が慌てて止めに入ると、わんこは得意げにしっぽを振った。


猫たちは雪の上にちょこんと座って、転がる雪玉をじっと見ている。突然ひとりの猫が飛びかかり、雪玉の上に爪を立てた。けれどすぐに冷たさに驚いて飛び退き、「にゃっ!」と短く鳴いた。その仕草に、みんながくすくす笑う。


***


三つの大きな雪玉を積み上げると、立派な雪だるまの形になった。

「うん!いいかんじ!」


女の子が雪だるまの顔を作ろうと、ボタンやにんじんを探しに行く。すると猫がどこからか落ち葉をくわえてきて、雪だるまの鼻の位置にぺたりと貼りつけた。

「えぇ〜、それじゃあ鼻じゃなくてひげみたいだよ」

女の子が笑いながら指摘すると、猫は満足げに座り込む。


そのとき、メェ子がやってきた。興味津々で雪だるまをつつき、頭の雪玉がぐらりと揺れる。

「わぁぁ!だめだめ!こわれちゃう!」

女の子が慌てて支えると、先生が藁の束を持ってきて雪だるまの足元を固めた。

「ほら、これで安定するだろう」

「ありがと、せんせい!」


みんなで協力して、ようやく雪だるまは完成した。丸い目ににんじんの鼻、口は木の枝でにっこり笑顔。マフラー代わりに古いタオルを巻いてやると、一気に表情が生き生きと見える。


***


「できたー!」

女の子が両手を広げて叫ぶと、わんこたちも「ワン!」と声を合わせた。猫たちは雪だるまの足元に丸くなり、メェ子は満足そうに鼻を寄せている。


「この雪だるま、しばらく庭の番人をしてもらおうか」

先生が言うと、女の子は嬉しそうに頷いた。

「うん!この子、きっといいおともだちになるよ!」


***


雪遊びで体が冷えたころ、みんなで病院の中へ戻る。

テーブルの上には温かいほうじ茶と甘いおしるこが用意されていた。

「わぁ……!」

女の子は湯気の立つ椀を両手で持ち、ひと口飲んで頬をほころばせる。


わんこたちは毛布の上で丸くなり、猫たちはこたつへ潜り込み、メェ子には人参の皮のおすそわけ。みんな満足げにくつろいでいる。


窓の外には、大きな雪だるまがにこにこと微笑んでいた。冷たい雪と温かな部屋。両方があるからこそ、冬はこんなにも楽しいのかもしれない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ