第131話「冬支度の午後」
なぜか?ランクインしているみたいで、このままダラダラ続けてみようと思います
病院の庭に吹き抜ける風が、ぐっと冷たくなった。秋の名残を残していた木々もほとんど葉を落とし、枝の間からは澄んだ冬空がのぞいている。
「そろそろ冬支度をしないとね」
院長先生がそう言うと、女の子は「ふゆじたく?」と首をかしげた。
「寒い冬を元気に過ごすための準備のことさ。動物たちがあったかく過ごせるように、毛布を用意したり、寝床を整えたりするんだ」
「わたしもおてつだいする!」
女の子が元気に手を挙げると、足元で丸くなっていた猫がにゃあと鳴いた。わんこたちもすぐに立ち上がり、しっぽをふりながらついていく。
***
まずは倉庫から毛布や敷き藁を運び出す。女の子は両手いっぱいに毛布を抱えて、よろよろと歩いた。
「おもたいけど、あったかそうだよ」
「そうだな。これがあれば、冷たい床でも安心だ」
先生が笑顔でうなずく。
犬舎では、わんこたちがそわそわして待っていた。ふかふかの藁を敷いてやると、すぐに飛び込んでごろんと転がる。
「わぁ、もう気に入っちゃった!」
女の子は大笑いした。
猫たちは毛布を広げるや否や、すっと潜り込んでしまう。もぞもぞ動くふくらみを見て、女の子は「こたつみたいだね」とくすくす笑った。
ヤギのメェ子には、大きなわら束を運んできて小屋に積んでやる。
「メェェェ!」
嬉しそうに鳴いて鼻を押しつけてくるので、女の子は「どういたしまして」と頭をなでた。
***
作業がひと段落したころ、風がさらに冷たくなってきた。頬がぴりっとするような冷え込みに、女の子は両手を息であたためる。
「先生、さむいね」
「冬はこれからもっと寒くなる。だからこそ、みんなであったかくして過ごすんだよ」
先生がポットを持ってきて、マグカップに温かいココアを注いだ。女の子は「わぁ」と目を輝かせて、湯気の立つカップを両手で包む。
ひと口飲むと、甘さとあたたかさが体中に広がった。
動物たちも、その様子をじっと見ている。わんこにはぬるめのミルクを少し、猫にはあたたかいスープを少しずつ。メェ子には甘く煮たさつまいものおすそわけ。みんな満足そうに舌鼓を打った。
***
夕暮れが近づくと、空は冬らしい透明な紫に染まり始めた。
女の子は毛布にくるまった猫を膝に乗せながら、ぼんやり空を見上げる。
「ふゆのそらって、きれいだね」
「そうだな。寒いけれど、そのぶん空気が澄んでいるからな」
先生の言葉に、女の子はふんわり笑った。寒さも、こうしてみんなと一緒にいれば少しも怖くない。むしろ心の奥までじんわりあたたかくなるように思えた。
こうして病院の冬支度は、にぎやかで、あたたかく、そして穏やかな午後の時間とともに進んでいった。




