表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
動物病院日誌   作者: 匿名希望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/147

第131話「冬支度の午後」

なぜか?ランクインしているみたいで、このままダラダラ続けてみようと思います



病院の庭に吹き抜ける風が、ぐっと冷たくなった。秋の名残を残していた木々もほとんど葉を落とし、枝の間からは澄んだ冬空がのぞいている。


「そろそろ冬支度をしないとね」

院長先生がそう言うと、女の子は「ふゆじたく?」と首をかしげた。


「寒い冬を元気に過ごすための準備のことさ。動物たちがあったかく過ごせるように、毛布を用意したり、寝床を整えたりするんだ」

「わたしもおてつだいする!」


女の子が元気に手を挙げると、足元で丸くなっていた猫がにゃあと鳴いた。わんこたちもすぐに立ち上がり、しっぽをふりながらついていく。


***


まずは倉庫から毛布や敷き藁を運び出す。女の子は両手いっぱいに毛布を抱えて、よろよろと歩いた。

「おもたいけど、あったかそうだよ」

「そうだな。これがあれば、冷たい床でも安心だ」

先生が笑顔でうなずく。


犬舎では、わんこたちがそわそわして待っていた。ふかふかの藁を敷いてやると、すぐに飛び込んでごろんと転がる。

「わぁ、もう気に入っちゃった!」

女の子は大笑いした。


猫たちは毛布を広げるや否や、すっと潜り込んでしまう。もぞもぞ動くふくらみを見て、女の子は「こたつみたいだね」とくすくす笑った。


ヤギのメェ子には、大きなわら束を運んできて小屋に積んでやる。

「メェェェ!」

嬉しそうに鳴いて鼻を押しつけてくるので、女の子は「どういたしまして」と頭をなでた。


***


作業がひと段落したころ、風がさらに冷たくなってきた。頬がぴりっとするような冷え込みに、女の子は両手を息であたためる。


「先生、さむいね」

「冬はこれからもっと寒くなる。だからこそ、みんなであったかくして過ごすんだよ」


先生がポットを持ってきて、マグカップに温かいココアを注いだ。女の子は「わぁ」と目を輝かせて、湯気の立つカップを両手で包む。

ひと口飲むと、甘さとあたたかさが体中に広がった。


動物たちも、その様子をじっと見ている。わんこにはぬるめのミルクを少し、猫にはあたたかいスープを少しずつ。メェ子には甘く煮たさつまいものおすそわけ。みんな満足そうに舌鼓を打った。


***


夕暮れが近づくと、空は冬らしい透明な紫に染まり始めた。

女の子は毛布にくるまった猫を膝に乗せながら、ぼんやり空を見上げる。

「ふゆのそらって、きれいだね」

「そうだな。寒いけれど、そのぶん空気が澄んでいるからな」


先生の言葉に、女の子はふんわり笑った。寒さも、こうしてみんなと一緒にいれば少しも怖くない。むしろ心の奥までじんわりあたたかくなるように思えた。


こうして病院の冬支度は、にぎやかで、あたたかく、そして穏やかな午後の時間とともに進んでいった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ