第125話 「秋の散歩道」
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### 1 落ち葉の小道へ
昼下がり、病院の前の並木道は赤や黄色の葉で彩られていた。
風が吹くたびにひらひらと葉が舞い、地面はすっかり色とりどりの絨毯になっている。
「今日はお散歩に行こうよ!」
女の子が声をあげると、ベルは尻尾をぶんぶん振って「やった!大賛成!」と飛び跳ねた。
チャイも「ぼくも行く!」と元気に後を追う。
モカは少し考えてから、「たまには歩くのも悪くないわね」とのそのそ立ち上がった。
リクは「季節の移ろいを肌で感じるのは良いことだ」とうなずき、ユキは枝の上からひらりと降りてきて「では行こう」と静かに言った。
こうして、女の子と五匹は落ち葉の小道へと歩き出した。
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### 2 音と匂いの秋
落ち葉を踏みしめるたび、カサカサと心地よい音が響く。
「わぁ、音が楽しい!」と女の子が笑うと、ベルも「ほんとだ!カサカサって気持ちいい!」と夢中で走り回る。
チャイは「ぼくも!」と同じようにバタバタ走っては転び、葉っぱまみれになっていた。
モカはゆっくり歩きながら、「乾いた葉っぱの匂いがするわね」と鼻をひくひく。
リクは大きく息を吸い込み、「秋の空気は清らかだ。夏の熱気とも冬の冷たさとも違う」と真面目に言った。
ユキは枝の上を見上げ、「葉が散って、空がよく見えるようになったな」と低くつぶやいた。
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### 3 道端の発見
道端の草むらに、小さな赤い実がついているのを女の子が見つけた。
「見て!かわいい実だよ!」
ベルは匂いを嗅いで「食べられるのかな?」と首をかしげ、チャイは「おやつかな?」と期待に満ちた目をする。
「やめときなさい。野生の実は食べちゃだめよ」とモカがピシャリ。
リクも真剣な顔で「自然の恵みは尊重すべきだが、分をわきまえる必要がある」と言った。
ユキは赤い実をじっと見つめ、「鳥たちのために残しておこう」と短く言った。
女の子は「じゃあ写真に撮って、思い出にしよ」と笑顔でカメラを取り出した。
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### 4 小さなハプニング
散歩を続けていると、風にあおられた落ち葉が渦を巻き、ベルとチャイをすっぽりと包み込んだ。
「わぁー!見えない!」「助けてー!」と二匹は大騒ぎ。
女の子が慌てて手を伸ばすと、モカがすっと前に出て、前足で葉っぱをはらい落とした。
「もう、騒ぎすぎよ」
ベルとチャイは顔を出して「ありがとう!」と同時にお礼を言い、また笑い合った。
ユキは高い枝の上から「自然は遊び場にもなるが、油断すれば罠にもなる」と真顔でつぶやき、リクは「しかし危険ではなかった。良い経験になっただろう」と穏やかにまとめた。
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### 5 秋のベンチでひと休み
しばらく歩くと、小さな公園のベンチが見えてきた。
女の子は「ちょっと休もう」と腰を下ろし、みんなも集まって座った。
チャイはすぐに女の子の膝の上で丸まり、「あったかい」と幸せそう。
ベルはその足元に寝転んで、落ち葉をかき集めては遊んでいた。
モカは背筋を伸ばして座り、目を細めて夕陽を眺める。
リクは静かに目を閉じて呼吸を整え、ユキは高い枝からみんなを見守っていた。
「秋ってのんびりでいいね」
女の子の言葉に、みんなが心から同意した。
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### 6 帰り道と夕暮れ
陽が傾き、空はオレンジ色に染まっていく。
並木道を帰る途中、風に舞う葉がきらきら光り、まるで金色の雨のようだった。
「きれい……」
女の子が足を止めると、ベルとチャイも見とれて立ち尽くした。
モカは「こういう景色は一瞬だから、ちゃんと目に焼きつけておかないとね」と言い、
リクは「自然はいつでも移ろう。その儚さが美しい」と深く頷いた。
ユキは空を仰ぎ、「季節は確実に次へ進んでいる」と静かに締めくくった。
病院に戻るころには、みんなの心はすっかり満たされていた。
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