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動物病院日誌   作者: じょんどぅ


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第118話 「秋の足音」



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### 1 朝の冷たい風


九月に入ると、病院の庭を吹き抜ける風が少しだけ冷たくなった。

窓を開けた女の子は、両手で頬を押さえて「わぁ、なんだか涼しい!」と声をあげた。


ベルは鼻をひくひくさせて外の空気を吸い込み、チャイは芝生の上を転がりながら「気持ちいい!」と喜んでいる。

モカは陽の当たる縁側に陣取り、「涼しいのはいいけど、私はまだぬくぬくが好き」と毛を膨らませた。

リクは静かに空を仰ぎ、「空気の色が変わってきたな」と言い、ユキは屋根の上でしなやかに身を伸ばし、「秋が近い」と低く呟いた。


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### 2 虫の声の変化


夏の間は絶え間なく聞こえていた蝉の声も、今ではまばらになっている。

代わりに、夕暮れになると草むらからリーン、リーンと澄んだ鈴虫の声が響いてきた。


女の子は耳を澄ませて、「夏と違う音だね」と嬉しそうに笑った。

ベルとチャイは首をかしげて虫の声を追いかけ、モカは「どこにいるか分からないけど、きれいな音ね」と目を細める。

リクは「これは秋の合図だ」とゆったりと告げ、ユキは星の見える夜空を見上げながら「この音を聴くと眠くなる」と呟いた。


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### 3 落ち葉と木の実


庭の柿の木の葉が、少しずつ黄色くなり始めていた。

女の子はそれを見て、「葉っぱが色づいてる!」と駆け寄る。


ベルは落ち葉を鼻で押し、チャイはその上に転がってカサカサと音を立てて遊ぶ。

モカは「散らかるわねぇ」と文句を言いつつも、落ち葉の上をそっと歩く感触を楽しんでいた。

リクは「季節の実りが始まる」と枝を見上げ、ユキは木陰から飛び降りて「冬に備えているんだ」と静かに言った。


女の子はポケットに小さなドングリを拾い集め、「宝物みたい」と笑顔を見せた。


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### 4 夕暮れの縁側


日が落ちるのが早くなり、縁側から見える空は橙から紫へと移り変わっていく。

女の子は湯気の立つお茶を手にし、「ちょっと肌寒いね」と肩をすくめた。


ベルは女の子の足元で丸くなり、チャイは毛布に潜り込んで鼻先だけ出している。

モカは「これから夜はもっと冷えるわよ」と毛を逆立て、リクは「寒さは体を強くする」と言って胸を張った。

ユキは縁側の欄干に座り、暮れていく空を見上げて「秋は静けさを連れてくる」とつぶやいた。


虫の声と夕風が重なり、縁側は穏やかな空気に包まれていた。


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### 5 夜のひととき


夜になると、病院の外から虫の合奏が一層大きく響いてきた。

女の子は布団に入りながら、「今日は鈴虫の声がいちばんきれい」と目を細める。


ベルとチャイはその横で寄り添い、モカは窓辺で星を見上げる。

リクは床に横たわりながら、「こうして音を聴いて眠れるのも幸せだ」と低く言った。

ユキは屋根の上に身を伏せ、夜風を感じながら町の灯りを見守っていた。


秋の足音は確かに近づき、病院の夜は穏やかに過ぎていった。


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