表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
動物病院日誌   作者: 匿名希望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/145

第116話 「夏祭りの灯り」


---


### 1 お祭りの知らせ


夏の夜、病院の待合室の窓から外を眺めていた女の子が、うれしそうに声をあげた。

「ねえ! 今日は町のお祭りだって!」


通りには色とりどりの提灯が吊るされていて、風に揺れる明かりがぽつぽつと点っている。

遠くからは太鼓や笛の音が聞こえ、すでに夏祭りの賑やかな雰囲気が伝わってきていた。


ベルは尻尾をぱたぱたと振り、チャイは飛び跳ねて「行きたい! 行きたい!」と騒ぐ。

モカは「人がいっぱいなのはちょっと……」と渋い顔をしたが、結局ついていくことに。

リクはゆったりと歩きながら「祭りのにぎわいもまた季節の匂い」と静かに言い、ユキは高い塀の上から「夜風もいい。案内してやろう」と先に行く。


---


### 2 提灯の道


町に出ると、両側に屋台が並び、提灯の赤や橙の光が揺れていた。

女の子は目を輝かせてあちこちを見回し、ベルとチャイは人々の間をぬうように走り回る。


「わたあめ! りんごあめ!」

女の子が声をあげると、チャイも「甘いの! 欲しい!」と大はしゃぎ。

モカは「どうせ顔じゅうベタベタになるんでしょ」とため息をつきながらも、どこか楽しそうにしていた。


リクは屋台の匂いに鼻を動かし、「焼きそばの香ばしさ……これもまた祭りの味」と呟く。

ユキは人混みを避けて屋根伝いに進み、上から「こっちに道が空いているぞ」と声をかける。


---


### 3 金魚すくい


女の子は金魚すくいの屋台に立ち寄った。

小さな水槽の中を赤や金色の金魚がきらきら泳ぎ、屋台の灯りに照らされて宝石のように見える。


「きれい……!」

女の子はポイを受け取って水面をじっと見つめた。


ベルは水槽を覗き込み、鼻先で水をはじいてしまい「わん!」と驚く。

チャイは前足を突っ込みそうになり、慌てて女の子に止められる。

モカは後ろでしっぽを揺らしながら、「ほら、もう破れそうよ」と冷静に指摘。


それでも女の子は慎重にポイを動かし、見事に一匹すくい上げた。

「やったー!」

その声に、ベルもチャイも一緒になって喜んだ。


---


### 4 夜店めぐり


わたあめを頬張り、焼きそばをつつき、射的や輪投げにも挑戦。

女の子が景品を外してがっかりすると、ベルが「わん!」と吠えて盛り上げ、チャイが小さな鈴の指輪を当てて大はしゃぎ。


モカはやや呆れ顔で「賑やかすぎるわね」と言いつつ、屋台の下に座って涼んでいた。

リクは冷えたラムネを瓶ごと抱え、「昔から変わらぬ味だ」としみじみ。

ユキは高い場所から屋台の灯りを眺め、「提灯の光は星のようだ」とつぶやいた。


---


### 5 花火の夜


やがて、空に大きな音が響いた。

「どーん!」

夜空に花火が開き、光の花びらが広がった。


女の子は「きれい!」と声を上げ、ベルとチャイは驚きながらも目を輝かせた。

モカは耳をふさぎつつ、「うるさいけど……悪くない景色ね」と笑う。

リクは夜空を見上げて、「一瞬の輝きだからこそ美しい」と呟き、ユキは屋根の上で花火の音に耳を澄ませていた。


いくつもの花火が夜空を彩り、提灯の灯りと合わさって町は幻想的な光に包まれた。


---


### 6 帰り道


花火が終わり、屋台の灯りもひとつずつ消えていく。

女の子は手に小さな金魚鉢を抱え、満ち足りた顔で歩いていた。


ベルは横でとことこ歩き、チャイは鈴の指輪を首にかけて得意げ。

モカは疲れた様子であくびをし、リクは「今夜の思い出は心に残る」としみじみ言う。

ユキは最後まで屋根の上から見守り、涼しい夜風に毛をなびかせていた。


こうして病院に戻ると、みんなぐっすりと眠りについた。

祭りのにぎわいと灯りの余韻を胸に抱きながら――。


---




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ