「夏至のひかり」
1 長い昼のはじまり
六月の下旬。
朝の光は早くから病院の窓を照らし、まだ五時前だというのに部屋の中はうっすらと明るかった。
「もう朝だ!」
女の子が布団から飛び起きると、ベルもチャイも元気いっぱいにしっぽを振ってはしゃぐ。
モカは毛布に顔をうずめ、「まだ寝ていたいのに」と小さくあくびをした。
リクは静かに立ち上がり、のびをしながら朝日を浴びる。
ユキは窓辺で外を眺め、すでに鳥たちが飛び交う姿を追っていた。
「今日は夏至。一年で一番昼が長い日なんだよ」
美咲がそう説明すると、女の子は目を丸くして「ずっと遊べるってこと?」と声をあげた。
2 朝の散歩
朝食のあと、まだ涼しいうちにみんなで散歩へ出かけた。
空は澄み渡り、日差しはすでに強くなりかけている。
ベルは前を元気に走り、チャイは後ろをついて跳ね回る。
モカは「朝露で足が濡れるじゃない」と文句を言いながらも、しっぽを立てて歩く。
リクは一定の速さでゆったりと進み、ユキは塀の上から軽やかにみんなを見下ろしていた。
道端には小さな白い花が咲き、蝶が舞っていた。
女の子は「こんにちは!」と花に手を振り、ベルとチャイは蝶を追いかけて草むらへ飛び込む。
モカは「捕まえられるわけないのに」と笑い、リクは「朝の空気を吸うだけで気持ちいい」と呟いた。
3 昼のあそび
お昼になると、日差しは強さを増した。
美咲は庭に大きなパラソルを立て、みんなで木陰で過ごすことにした。
女の子は水風船を持ち出し、ベルとチャイに見せると大喜び。
投げると水しぶきが飛び散り、ベルは大はしゃぎで追いかける。
チャイは風船が割れるたびにびっくりして跳ね、みんなの笑い声が広がった。
モカは「私は濡れたくないわ」と日陰で毛づくろいをし、リクは芝生の上でゆったりと寝そべった。
ユキは高い枝から水しぶきを眺め、「涼しくていいね」とにやりと笑った。
お昼のひとときは、光と笑い声に満ちていた。
4 夕方の公園
昼の暑さが少しやわらぐころ、公園へ出かけた。
夕方の光は黄金色に変わり、木々や芝生をやさしく照らしていた。
女の子はブランコに乗り、ベルとチャイがそのまわりを走り回る。
モカは砂場に近づいて「ここは猫の城ね」と誇らしげに座り、リクは広場の真ん中で大きく背伸びをした。
ユキは滑り台のてっぺんから夕陽を眺めていた。
風が吹き抜け、ついさっきまでの暑さを忘れるくらい心地よい空気に包まれた。
5 夜の訪れ
やがて空がゆっくりと藍色に変わっていった。
「まだ明るいね」
女の子が言う通り、いつもより長く夕焼けが残っている。
ベルとチャイはまだ遊びたそうにしていたが、美咲が「そろそろ帰ろう」と声をかけると、少し名残惜しそうにしながらも足を向けた。
モカは「今日はよく歩いたわ」と満足げにあくびをし、リクは静かに頷いた。
ユキは「長い昼も、もうすぐ終わる」と呟きながら星を探していた。
病院に帰るころ、ようやく夜の闇が広がっていた。
6 長い一日の終わり
夜ご飯を終え、女の子は少し眠そうな目で「今日はいっぱい遊んだね」と笑った。
ベルとチャイはぐっすりと寄り添って眠り、モカは窓辺で体を丸めた。
リクは静かに横たわり、ユキはまだ外の月を見上げていた。
「長い昼もいいものだね」
美咲がそうつぶやくと、女の子は小さく「おやすみ」と答えて眠りについた。
夏至の光に満ちた一日は、静かに幕を下ろした。




