「雨上がりの虹」
1 梅雨の合間
その日の朝も、窓をたたく雨の音で目が覚めた。
空は灰色に覆われ、しとしとと細かな雨が降り続いている。
「また雨かぁ」
女の子は窓の外を見ながら少し残念そうに声をもらした。
ベルは窓辺で耳をぴくぴく動かし、チャイは「お散歩は?」と首をかしげる。
モカは毛布に包まって「雨の日は眠るに限るわ」と目を細め、リクは落ち着いた顔で外を見ていた。
ユキは窓枠にちょこんと座り、雨粒を目で追いながら「雨も悪くない」とつぶやいた。
やがて昼過ぎ。
ふいに雨が弱まり、しばらくすると空が少しずつ明るくなってきた。
「止んできた!」
女の子が声を上げると、ベルとチャイが大はしゃぎで玄関へ駆けていった。
2 雨上がりの空
みんなで外に出ると、街の景色がしっとりと濡れて輝いていた。
雨に洗われた木々は葉をつややかに光らせ、道端には小さな水たまりができている。
女の子は長靴で「ちゃぷっ」と水を踏み、ベルとチャイも真似をして跳ねる。
モカは「やめなさい、泥がはねるでしょう」と眉をひそめながらもどこか楽しそう。
リクは静かに歩き、空をじっと見上げていた。
ユキは塀の上を軽やかに進み、雨上がりの匂いを胸いっぱいに吸い込んでいた。
「わぁ……」
女の子が空を指さした。
3 虹の登場
灰色の雲の切れ間から光が差し込み、空に大きな虹がかかっていた。
色ははっきりと七色に分かれ、端から端まで弧を描いて伸びている。
「にじだ!」
女の子は両手を広げて飛び跳ねた。
ベルとチャイも空を見上げ、尻尾をぶんぶん振る。
モカはしばらく見上げて「まぁ、きれい」と感心し、リクは「久しぶりに見た」と穏やかに頷いた。
ユキは屋根の上に飛び乗り、虹の全体を眺めて「まるで橋だね」と言った。
4 虹を追いかけて
「にじのした、いってみたい!」
女の子が駆け出すと、ベルとチャイも一緒になって走った。
小道を抜け、公園の広場まで来ると、虹がさらに大きく見えた。
芝生の上に光が差し込み、濡れた草がきらきらと輝いている。
女の子は両手を伸ばし、「とどきそう!」と笑った。
ベルはボールを追いかけるように虹に向かって走り、チャイは跳ねながら虹を追った。
モカは「届かないから虹なのよ」と落ち着いた声で言いながらも、目を細めて眺めていた。
リクは広場の真ん中でゆっくりと座り、静かにその景色を心に刻みこんでいた。
ユキは木のてっぺんに登り、虹と同じ高さから見下ろしてうっとりしていた。
5 消える前に
虹はしばらく空にかかっていたが、少しずつ色が薄れていった。
「消えちゃう!」
女の子が慌てて手を振り、ベルとチャイも吠えて応える。
モカは「儚いものだからこそ美しいのよ」とつぶやき、リクは「また次の雨上がりに出会える」と穏やかに言った。
ユキは虹を見送るように尻尾を振り、「また会おう」と小さな声で呟いた。
やがて虹は完全に消え、空には青と白い雲だけが残った。
6 帰り道
帰り道、女の子は「虹っておっきいんだね」と嬉しそうに言った。
ベルとチャイはまだ余韻に浸るように跳ね、モカは「次は虹の下で静かに見たいわ」と笑った。
リクはゆったりと歩き、「今日の景色は忘れない」と心の中でつぶやいた。
ユキは屋根の上からみんなを見守りながら、「虹は空のごほうびだ」と思っていた。
病院に着くと、夕陽が差し込み、濡れた道が黄金色に輝いていた。
7 夜の窓辺
夜になっても女の子は窓辺に座り、「また虹が見たいな」とつぶやいた。
ベルとチャイは彼女の足元に寄り添い、モカは窓辺で毛づくろい。
リクは静かに横たわり、ユキは窓の外を眺めて「明日の空も楽しみだ」と目を細めた。
雨上がりの虹は、みんなの心に鮮やかな色を残していった。




