「チューリップ畑」
1 春の訪れ
四月も半ばを過ぎると、街の花壇や庭先に、赤や黄色の花が咲きそろい始めた。
「チューリップが見ごろだって聞いたよ」
美咲がそう言うと、女の子は両手をぱんと叩いて「いきたい!」と元気いっぱいに答えた。
ベルはすぐに立ち上がって尻尾を振り、チャイは玄関まで走ってリードをくわえてきた。
モカは「またはしゃぐんだから……」と心配そうに鳴き、リクは落ち着いてその様子を見守る。
ユキは窓辺から外を眺め、もう花の景色を思い描いているように瞳を細めていた。
2 色とりどりの花
少し歩いた先の公園には、一面のチューリップ畑が広がっていた。
赤、黄、白、ピンク……まるで絵の具のパレットをそのまま地面に広げたような鮮やかさ。
「わぁ……!」
女の子が声をあげると、ベルは花の間を走り出し、チャイもそれを追いかけた。
モカは慌ててついて行き、「折っちゃだめよ!」とでも言うように鳴いた。
リクはゆったりと花畑を歩きながら、穏やかに景色を楽しむ。
ユキは畦道から軽やかに飛び降り、色とりどりの花を背にしながら悠然と座った。
3 花と子どもたち
公園にはほかの親子連れも遊びに来ていた。
子どもたちが「かわいい!」とベルやチャイに駆け寄り、花の間で一緒に遊び始める。
チャイはボールを追いかけ、ベルは子どもたちと並んで走り回った。
モカは心配そうにその様子を見守り、女の子に寄り添って「みんな仲よくね」と鳴く。
リクは子どもたちの輪の中にすっと入って、静かに撫でられていた。
ユキは少し離れた場所から様子を眺め、子どもたちが差し出した花をそっと受け取るように鼻先を寄せた。
4 お弁当タイム
お昼になり、木陰にシートを広げてお弁当を食べる。
今日は春らしく、いちごの入ったサンドイッチやカラフルなサラダが並んでいた。
女の子は「チューリップみたい!」とサラダを指さし、ベルとチャイはおやつをねだって大はしゃぎ。
モカは慎重に味わいながら、こぼれたパンくずをつついた。
リクは落ち着いて座り、景色とともにお昼を楽しみ、ユキは少し高い場所から風に揺れる花を眺めながらごちそうを分けてもらった。
花の色に囲まれて食べるごはんは、ひときわおいしく感じられた。
5 午後の散策
食後、畑の間をゆっくり歩いた。
女の子は花に顔を近づけて、「この赤が一番すき!」と笑った。
ベルは黄色のチューリップの前で座り込み、チャイは次々と花に顔を突っ込んで花粉まみれになった。
モカは「やれやれ」と小さくため息をつき、リクは花の色を静かに目に焼き付けた。
ユキは高い場所から花畑全体を見渡し、風に揺れる花のリズムを楽しんでいた。
6 夕暮れのチューリップ畑
夕陽が差し込むと、チューリップの花は光を透かして宝石のように輝いた。
「きれい……」
女の子が息を呑むと、美咲も「春の色ってほんとに鮮やかだね」と微笑んだ。
ベルとチャイは遊び疲れて女の子に寄り添い、モカはその横で大きなあくびをした。
リクは最後まで姿勢を正して座り、ユキは畑の端からゆっくりとその光景を見守っていた。
花の季節は移り変わっていくけれど、この一日が心に残る宝物のように輝いていた。




