表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
動物病院日誌   作者: 匿名希望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/141

「菜の花畑」

1 黄色のじゅうたん


春の陽気が病院の庭にもしっかりと根を下ろしたころ。

川沿いの道を歩いていると、視界いっぱいに広がる黄色が目に飛び込んできた。


「わぁ……!」

女の子が思わず立ち止まる。


そこには一面に咲き誇る菜の花畑。

風が吹くたびに波のように揺れ、甘い香りが漂ってきた。


ベルは思わず尻尾をぶんぶんと振り、チャイは花の間に飛び込もうとして美咲に止められる。

モカは「はしゃぎすぎ!」と鳴き、リクは静かに花畑を見渡した。

ユキは畦道にぴょんと飛び乗り、黄金色の海を悠然と見下ろしていた。


2 菜の花の香り


花畑に近づくと、ふんわりと甘い香りに包まれた。

「おはながしゃべってるみたい」

女の子がつぶやくと、美咲は「春のにおいだね」と笑った。


ベルは花の匂いをくんくん嗅ぎ、チャイは鼻先に花粉をつけてくしゃみをした。

モカはその顔を見て「ほら、だから言ったでしょ」というように鳴き、リクは微かに目を細める。

ユキは枝先に留まる小鳥を見上げ、しっぽをゆらりと揺らした。


3 黄色い道を歩く


畦道をゆっくりと歩くと、両側に菜の花が背を伸ばして咲いている。

女の子は両手を広げて駆け出し、花の中にすっぽりと埋もれた。


ベルとチャイはその後を追い、黄色い花びらを散らしながら走る。

モカは慌ててついて行き、リクは落ち着いた足取りで後ろから見守る。

ユキは高いところを選んで歩き、時折ひょいと畦道から花畑を覗き込んだ。


風が吹き抜けるたびに花が一斉に揺れ、まるでみんなを歓迎しているかのようだった。


4 お昼ごはん


畑の端にシートを敷いてお弁当を広げる。

今日は春らしく、菜の花の和え物や卵焼きが入っていた。


「おそろいだ!」

女の子は菜の花を指さして笑い、ベルはそのおかずに目を輝かせる。


チャイは花びらが舞い落ちるたびにぱくっとしようとし、モカは「食べられないって!」と注意する。

リクは穏やかにお弁当を味わい、ユキは少し離れた場所から春風に吹かれながらおすそ分けを受けた。


黄色い海に囲まれて食べるごはんは、どこか特別な味がした。


5 菜の花と川


午後は川沿いに出て、菜の花と水面を眺めた。

黄色と青のコントラストが鮮やかで、春の絵本の一場面のよう。


女の子は花びらをそっと川に流し、「いってらっしゃい」と手を振った。

ベルはその様子に合わせて吠え、チャイは川辺を駆け回る。

モカは「落ちないで!」と必死に見守り、リクは静かにその流れを追った。

ユキは石垣の上で目を細め、遠くの空を見つめていた。


6 夕暮れの黄色


夕方、沈む陽に照らされて菜の花畑は黄金色に染まった。

風が吹き抜けると、花が波打ち、光の海のようにきらめく。


「きれいだね……」

女の子がぽつりと言い、美咲も「春は本当にカラフルだね」と答えた。


ベルとチャイは遊び疲れて女の子のそばに寄り添い、モカは安心したように大きなあくびをした。

リクは最後まで背筋を伸ばして立ち、ユキは花畑を見下ろすように座っていた。


春の黄色は、みんなの心をあたたかく包み込んでくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ