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転生令嬢コリィは江戸文化に憧れる〜辺境スローライフ〜  作者: ちょこだいふく


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39/40

39.療養服

ヴォルクハイト邸の中庭に面した廊下を歩いていたコリィは、兵士の呻き声を耳にした。

振り返ると、腕に厚い包帯を巻いた若い兵士が、必死に袖に通そうとして顔をしかめている。


「ぐっ……! 動かすと傷が……」


「大丈夫ですか?」

駆け寄ったコリィの声に、兵士は慌てて片膝をついた。

「も、申し訳ありません、お嬢様……お見苦しいところを」


けれど、袖を通すたびに肩が震えているのを見て、コリィの胸に小夜だった頃の記憶がよぎった。

(……わたしも病気で体を動かせなかった時、服を着替えるのが本当に辛かった……)


小さな拳をぎゅっと握りしめ、コリィは顔を上げた。

「袖を通すから痛いですよね。

…通さなくていいように考えてみますね!」


兵士はきょとんとしたが、そばにいたアマーリエや仕立て屋が顔を上げた。

「通さなくて……?」


コリィは布切れを手に取り、さらさらと絵を描き出す。

「袖の筒をそのままにせず、前を開けて体に巻きつけるようにするんです。

包帯ごと腕を包んで、紐で結べば……動かせなくても楽に着られるのでは?」


アマーリエの目が輝いた。

「なるほど! 袖に腕を通すんじゃなくて、服のほうを“寄せる”のね!」


仕立て屋も感心して頷く。

「こりゃあ療養所にぴったりの服になりますね!」


ーーーー


数日後。

出来上がった試作品のガウン式療養服を、同じ兵士が試すことになった。

彼は恐る恐る腕を通し……いや、巻きつけると――驚きで目を見開いた。


兵士「……驚きました。痛まずに着られただけじゃなく、世話をしてくれる仲間の手間も減ります。これなら療養所の皆も助かります!」


仲間の兵士「確かに……寝かせたままでも着替えられるぞ!」


「……痛くない……! まるで布が自分から包んでくれるみたいだ……!」


周囲の兵士たちも息を呑み、口々に囁いた。


母は目元を押さえ、父は深く頷いた。

「……コルネリアの優しさが形になったな」


コリィは頬を赤らめ、けれど胸を張って言った。

「えへへ……わたしも前の世界で困っていたから……思いついて良かったです」


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