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38.改良型機織り機
ある冬の日、ヴォルクハイトの工房。
水車の音に合わせて、木の織機がカタカタと鳴っていた。
「ほら見て! 今までよりずっと早いわ!」
「模様も揃いやすいし、糸も無駄にならない!」
村の女性たちは目を輝かせながら布を織り上げていく。
アマーリエは記録帳を手にし、眼鏡を押し上げるように微笑んだ。
「改良型の織機、上手くいったみたいね。これなら生産量が倍以上になるわ」
母は工房を見渡し、静かに頷いた。
「今まで農閑期に手仕事しかなかった女性たちに、安定した仕事ができる……これは領の力になるわね」
ジークは色鮮やかな布を手に取り言った。
「こいつでマントを作ったら、戦場でも目立つな!」
「もうっ、真面目に考えてよ!」
女性たちが笑い、工房が和やかな空気に包まれる。
そしてコリィは、織り上がった布を両手で抱きしめた。
「ふふ……あったかい……。この布でお洋服や布団を作ったら、気持ちよさそうですね」
女性たちはコリィの言葉に頬を緩め、声を揃えた。
「はい、コリィ様!」
その頃商人たちの間ではヴォルクハイト領の織物が素晴らしいと評判になっていた。




