33.いちごヤギミルク
いちごの収穫から数日後。
コリィは摘んだ赤い実を木鉢に入れ、棒でごりごりと潰していた。
「コリィ、何をしているの?」
不思議そうに覗き込むアマーリエに、コリィはにっこり笑った。
「ちょっとしたお菓子……いえ、飲み物です! このヤギミルクと混ぜるんです」
潰したいちごに、白く濃厚なヤギミルクを注ぎ、木べらで丁寧にかき混ぜる。
鮮やかな桃色の液体がとろりと仕上がっていった。
「わぁ……可愛い色!」
母が感嘆の声を漏らす。
「さぁ、どうぞ!」
コリィは小さな木のカップに分け、家族へと手渡した。
アマーリエが恐る恐る口をつけると――
「……っ! 甘酸っぱくて……ミルクと合わさると、まろやか……! これは……!」
ジークも一気に飲み干し、思わず声を張り上げる。
「うまいっ!! ごくごく飲めるぞ!!」
母はにっこり微笑み、口元を拭いながら呟いた。
「これは子どもたちも大好きになるわね……」
父もゆっくりと味わい、真剣に頷いた。
「……この味は領の名物になる。湯屋の帰りに供すれば、人々は必ず喜ぶだろう」
コリィは顔を赤らめながら両手を胸に当て、にっこり笑った。
「えへへ……“お風呂あがりのいちごヤギミルク”、なんて素敵ですよね」
湯気の漂う温泉街に、新しい名物が誕生した瞬間だった




