28.源泉
地図を片手に、コリィと兄姉、そして数人の兵士と職人が山へと入った。
雪に覆われた木々の合間を抜けると、風に混じってどこか独特な匂いが漂ってきた。
「……硫黄だ」
アマーリエが鼻を押さえながら呟く。
コリィはぱっと顔を輝かせた。
「はい!これは温泉の兆しです!」
ジークが大声をあげる。
「よーし!じゃあ掘ってみるか!」
持ち込んだ掘削機が組み上げられ、兵士たちが水車を回す。
ごん、ごん、と杭が地面を突き、やがて――
ぶしゅぅぅぅっ!!
熱気と共に、勢いよく湯が噴き出した。
「お、お湯だ!」
「本当に出たぞ!」
兵士が手を浸し、すぐに飛び退いた。
「熱っ!! こりゃ火傷するぞ!」
コリィもおそるおそる湯気を感じ取り、頷いた。
「……そうですね。このままではとても入れません」
落胆しかける周囲に、コリィはにっこり笑って言った。
「でも大丈夫です。このお湯を溜めて、そこに水路で引いてきた井戸の冷たい水を混ぜれば……ちょうどいい温かさになります!」
「なるほど!」アマーリエの目が輝いた。
「湯温を調整できれば、安全に入れるのね」
ジークは豪快に笑い、拳を突き上げた。
「よし! ならまず水路を作ればいいんだな! 俺が人を集める!」
職人も声を上げる。
「やってみよう! これで湯屋も増やせるぞ!」
湯気の中、みんなの顔が期待で輝いた。
コリィは両手を胸に当て、ほっと微笑んだ。
「……温泉ができるんだ…。うふふ、みんなもっと元気になりますね」




