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転生令嬢コリィは江戸文化に憧れる〜辺境スローライフ〜  作者: ちょこだいふく


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26/40

26.お披露目

数週間後――。

雪の降る領地に、立派な木造の湯屋が完成した。

高い天井には蒸気を逃がす窓、石で組まれた浴槽には井戸から引いた水が注がれ、巨大な湯釜で温められている。

排水は下水路へと繋がり、衛生面も万全だ。


領民たちは湯屋の前に集まり、わくわくとした顔で中を覗き込んでいた。


「……これが、湯屋……!」

「本当に、村の者が誰でも入っていいのか!?」


父が堂々と前に進み出て、声を張り上げた。

「この湯屋は、ヴォルクハイト領の民すべてのためのものだ!

安全な水を豊富に得た今、清らかに体を洗い、健やかに暮らすことこそ領民のつとめなり!」


「おおーーっ!」


最初に湯屋へ入ったのは子どもたちだった。

桶で湯をかぶり、きゃあきゃあと笑いながら湯船に飛び込む。


「……あったかい! 雪の冷たさが消えていく!」

「気持ちいい〜〜!」


次いで兵士たちが体を沈め、疲れを癒すように目を閉じる。

「はぁぁ……こりゃあ効くな……」

「こんなの、夢みたいだ……」


やがて大人たちも入っていき、誰もが頬を赤らめ、笑顔を浮かべた。

中には涙をこぼす者もいる。

「毎日こんなに清潔に……。子どもを安心して育てられる……」

「病に怯えずにすむ……」


湯気に包まれた湯屋は、笑顔と感謝の声でいっぱいになった。


外でその光景を見守るコリィは、頬を赤らめながら嬉しそうに微笑む。

「……江戸の町みたいに、みんながお風呂に入ってる……。わたし…また…夢が叶っちゃった」


母はそんな娘を抱き寄せ、優しく囁いた。

「あなたの夢は、もう領地のみんなの夢になっているのよ」


父も誇らしげに頷いた。

「この湯屋は、ヴォルクハイト領の誇りだ」


コリィは胸の奥からこみあげる幸せに、思わずぽつりと言った。

「……生きてて、よかった」


湯気の向こうで響く笑い声は、冬空にまで温かく広がっていった。


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