24.湯屋建設
公衆浴場の話を聞いた領民たちは、しばしの沈黙の後――一斉に声を上げた。
「……やろう!」
「お嬢様のアイディアは、今まで全部領地を良くしてきた!」
「湯屋だってきっとみんなを幸せにしてくれる!」
兵士たちも拳を突き上げる。
「体を清めれば戦の疲れも癒える!」
「領地を守る力にもなるぞ!」
職人たちは笑い合いながら頷く。
「木材は俺たちが用意する!」
「石組みは任せろ!」
父はゆっくりと立ち上がり、広場に響く声で告げた。
「ヴォルクハイト領の者たちよ! 今日から“湯屋建設”を始める!
我らの手で清らかな水を温め、皆のための憩いの場を作るのだ!」
「おおーっ!」
大きな歓声が雪空に響き渡り、村人たちの顔は喜びと期待で輝いていた。
母は感極まったように微笑み、コリィの手をそっと握る。
「……あなたのおかげで、みんなが一つになれるのね」
コリィは頬を赤らめながら、でも嬉しそうに笑った。
「わたし……みんなが喜んでくれるなら、それが一番嬉しいです!」
アマーリエは早くも紙を広げ、さらさらと鉛筆を走らせていた。
「浴場は広間を二つに分けて……蒸気がこもらないように高い天井を……」
ジークはそれを覗き込みながら大声で言った。
「よーし! 今度は湯屋だ! 領地を温める大工事だぞ!」
笑顔と歓声に包まれながら、ヴォルクハイト領の新たな挑戦が始まった。
――こうして、“公衆浴場建設”は領民すべての願いとなり、一大事業として動き出したのだった。




