22.掘削機
広間に集まったヴォルクハイト家と職人たち。
コリィが枝で床に図を描きながら言った。
「井戸をもっと早く掘れたら、水の心配がずっと減ると思うんです。
そのために……水車や滑車の仕組みを応用して、“掘るための機械”を作りたいんです」
「掘るための……?」職人たちが顔を見合わせる。
アマーリエがすぐに紙を広げ、さらさらと描き始めた。
「つまりこうね。縦に長い杭をこのようにして……滑車で上下させる。あるいは水車の回転を伝えて、杭を回転させながら地面に突き立てるの」
ジークが図を覗き込み、目を輝かせる。
「おおっ! そいつで地面をガリガリ削れば、井戸掘りが早くなるな!」
父も感心したように腕を組んだ。
「なるほど……人の力だけでは限界があるが、水や風の力を借りれば効率は何倍にもなる」
ーーー
翌日、試作現場
村はずれに木枠で組まれた「掘削機」が立てられた。
縦の軸には鉄の先端が取り付けられ、横には滑車と縄、そして小さな水車が連結されている。
「では――動かせ!」
父の声に合わせて兵士が水門を開けると、水車が回り、縄が軸を上下に引いた。
ごん、ごん、と杭が地面を突き、やがて少しずつ土が削られていく。
「おおっ、掘れてるぞ!」
「人力よりもずっと早い!」
ジークが笑いながら土砂を引き上げる。
「こりゃすげぇ! あっという間に穴が広がる!」
アマーリエは図面と実物を見比べ、満足げに頷いた。
「改良の余地はあるけど……これなら十分実用になるわ」
村人たちも拍手と歓声を上げた。
「井戸が増えるぞ!」
「飲み水に困るなんてことは無くなる!」
コリィはにっこり笑い、両手を胸に重ねた。




