20.濾過装置
清水路建設の少し前のある雪の夜、暖炉の前にて。
コリィが両手を胸に重ね、少し照れながらも真剣に言った。
「水をきれいにするには、層を重ねるんです。
まず大きなごみを止める石や砂利、その上に炭を入れて……最後に砂をかければ、泥や細かいごみも濾せます」
広間の机に羊皮紙を広げたアマーリエは、コリィの言葉を聞きながらさらさらと鉛筆を走らせた。
「つまり……こういうことね?」
彼女が描いた図には、大きな木枠の槽の断面があった。
上から下へ矢印を描き込みながら、アマーリエは指で順に示す。
「まず一番上に砂を敷きます。細かい泥やごみを止めるために」
「次に炭の層。ここで匂いや病のもとを吸着させる」
「そして一番下に石や砂利を置いて、全体の流れを支える。出口はここ。――水は上から入って、下から澄んだものが出てくるのよ」
「おお……!」
職人たちが目を丸くし、思わず声をあげた。
「上から入れて、下から出す……そういう仕組みか!」
「これなら詰まらず、流れも安定する!」
ジークも図を覗き込みながら感心したように言った。
「わかりやすいな……姉上、さすがだ」
アマーリエはにっこり笑い、隣のコリィの肩を抱いた。
「でも、この発想をくれたのはコルネリアよ。私は形にしただけ」
コリィは少し照れながらも頷き、領民に向かって言った。
「最後に、ここに清浄魔法のフィルターを置けば、もっと安心して飲めます」
「お嬢様の知恵とアマーリエ様の設計……!」
「これなら本当に清らかな水が手に入るぞ!」
雪の夜、暖炉の炎に照らされた紙の上で――未来を変える図面が静かに完成していた。




