19.清水路
村人たちが肥料を撒き終えたあと。
父が地図を広げ、皆に言った。
「畑はこれでよい。次は……飲み水の安定だ」
コリィは頷き、少し考えてから口を開いた。
「湧き水が出るところを井戸にすれば、とてもきれいな水が得られます。でも、湧き水は季節や場所によって量が変わるので、それだけに頼るのは不安定です。だから……」
アマーリエが紙を広げ、さらさらと図を描き始める。
「領内にいくつか“濾過装置”を作るのね。水をためて、砂と石と炭の層を通して……」
コリィは笑顔で続ける。
「はい。それでだいぶきれいになります。でも最後に……魔法で清浄のフィルターをかければ、もっと安心です!」
「魔法の……フィルター?」
村人たちは首をかしげる。
アマーリエは説明を補うように、図面を見せた。
「水を下から上に通すとき、最後に魔法陣を通すの。そうすれば残った不純物も浄化できるわ」
ジークが目を輝かせる。
「なるほど! 自然の濾過と魔法の浄化の合わせ技か!」
職人たちは声を上げた。
「砂や石ならいくらでもある!」
「炭は炉で作ればいい!」
兵士も笑う。
「魔法の浄化は術者が交代でかければいいな!」
父は力強く頷き、全員を見渡した。
「よし。井戸を掘り、同時に濾過装置を作る。これで飲み水の心配はなくなるはずだ!」
母は柔らかくコリィを抱き寄せ、囁いた。
「あなたがいてくれるだけで……どんどん領地が清らかになっていくのね」
コリィは頬を赤らめながらも、にっこり笑った。
「……わたしも、みんなが元気に笑っているのが一番嬉しいです」
その笑顔に、雪の中に集まった人々の胸は、ぽかぽかと温かさに包まれていった。




