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転生令嬢コリィは江戸文化に憧れる〜辺境スローライフ〜  作者: ちょこだいふく


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14/40

14.滑車とテコ

翌朝。

ヴォルクハイト領の広場に、村人、職人、兵士たちが勢ぞろいした。

鍬やスコップ、木材や縄が並べられ、まるでお祭りのような賑わいだ。


「今日は水路工事だ! お嬢様のご発案を必ず形にするぞ!」

「おおーっ!」


掛け声と共に大工事が始まった。

兵士たちが鍬を振るい、職人が測量を行い、村の者が土を運ぶ。

しかし――大きな石や固い地盤にぶつかると、作業は難航する。


「うっ……この岩、びくともしねぇ!」

「木材を動かすにも、人手が足りん!」


その様子を見ていたコリィは、毛布にくるまりながらも手を上げた。

「少し……方法を変えてみませんか?」


父が頷き、皆が耳を傾ける。

コリィは小さな石を拾い、地面に置いた棒で示した。


「重いものを動かす時は、“てこ”を使うんです。棒を支点にして押すと、少ない力で大きな岩も動かせます」


ジークが試しにやってみると――

ごろり、と大岩が転がった。

「おおっ!? 動いた!」


歓声が上がる。


さらにコリィは、木の柱と縄を指さした。

「高いところに物を上げるなら、“滑車”を使うと楽になります。縄をかけて引けば、力が分散されて重さが減るんです」


職人たちは目を見開き、すぐに組み上げ始めた。

縄をかけて数人で引くと、大きな木材がするすると宙に持ち上がった。


「軽い……! まるで羽根のようだ!」

「お嬢様の知恵は本物だ……!」


村人や兵士たちは一層奮い立ち、掛け声と共に作業を続ける。

固い大地を少しずつ切り開き、水路は着実に形を成していった。


母はその光景を見つめ、コリィを抱き寄せて囁いた。

「……あなたの一言で、みんなの力が何倍にもなっていくのね」


コリィは頬を赤らめながら、にっこり笑った。

「えへへ……みんなでやるからこそ、できるんです」


雪の下、土と汗にまみれながらも笑顔を絶やさない人々。

その中心には、領地を変える知恵を次々に生み出す小さな令嬢の姿があった。


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