13.本題に入ろう!
ペダル機の試作が成功し、屋敷の広間は歓声に包まれていた。
女性たちは布がすらすらと織られていくのに目を輝かせ、職人や兵士も「改良すればもっと色々できる!」と盛り上がっている。
そんな中、父が手を上げて場を静めた。
「……よくやった。確かにこの仕掛けも素晴らしい。だが――忘れるな。始まりは水路だったはずだ。実際にもう着手している。」
ジークがはっとして拳を握る。
「そうだ! 俺たちが掘ったあの小さな溝を……もっと大きくして、村全体に水を行き渡らせるんだ!」
アマーリエも頷く。
「まずは清潔な水を確保すること。それがすべての基本だものね」
皆の視線がコリィに集まる。
コリィは少し照れながらも真剣な表情で言った。
「江戸の町では、水を遠くから引いてきて、分け合って使っていました。
土だけでは崩れるから木枠や石で補強して、途中で分水路を作って……。
きれいな水が届くからこそ、人々は清潔に暮らせたんです」
職人のひとりが深く頷いた。
「なるほど……我らがやるべきは、まず“道を作る”ことですな」
兵士たちも声をそろえる。
「水が流れれば畑も潤う!」「飲み水の心配も減る!」
父は立ち上がり、力強く告げた。
「よし。明日から手の空いているものはみな水路工事に着手するぞ。我々はもちろん職人も兵士も総出でだ。
――ヴォルクハイト領をどこよりも清潔で豊かな土地に変えるぞ!」
「おおーっ!」
歓声が響き渡る中、コリィは両手を胸の前に重ねてにっこり微笑んだ。
「……みんなで作れば、きっと楽しいですね」
その笑顔に、誰もが胸を温かくした。
こうして、領地を変える大水路計画が動き出したのだった。




