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転生令嬢コリィは江戸文化に憧れる〜辺境スローライフ〜

白い天井。
点滴の管が細い腕に繋がり、規則正しく機械が心音を刻んでいた。

小夜は、枕元に積まれた本のひとつを開きながら、そっと笑みを浮かべていた。
ページの挿絵には、江戸の町並みが描かれている。
木造の家々、路地を流れる水、軒先で笑い合う人々。

「……いいなぁ。こういう暮らし」

声は弱々しいが、目はきらきらと輝いていた。
病室の外では雪が降っている。冷たさを思わせる白銀の光景の中、
小夜の胸には不思議なあたたかさが広がっていた。

彼女は生まれつき体が弱かった。
走ることも、思いきり外で遊ぶこともできなかった。
でも、代わりに心の中ではいつだって冒険をしていた。
アニメや小説、歴史の本を通して、知らない時代や世界を旅していたのだ。

とくに惹かれたのは江戸。
「銭湯」「上下水道」「祭り」――。
庶民が肩を寄せ合い、笑いながら暮らす姿に、自分もそこに混じりたいと心から願った。

「もし……」
弱い声で呟く。
「もし、次に生まれ変われるなら……わたしも、ああいう世界で……」

ーーーー

「……っ!」

次の瞬間、肺が大きく膨らみ、のどから声が溢れ出す。

「おぎゃぁぁぁ!」

響く産声。
小夜――いや、新たに生まれた「私」は、両手両足をばたつかせながら、強く、生を告げていた。

「……元気な子ですよ」
「ほら、ご覧になって」

優しい声。抱き上げられると、見下ろすのは涙を浮かべた美しい女性。
彼女はそっと頬を寄せて、囁いた。

「……ようこそ、コルネリア。私たちの愛しい娘」

父の腕は逞しく、誇らしげで。
兄と姉は興味津々に覗き込み、「妹だ!」と笑っていた。

胸が熱くなり、涙がにじむ。
「わぁ……生きてる……! 息ができる……! 体が動く……!」
心の中で何度も叫ぶ。

「……私、今度こそ幸せに生きるんだ」

江戸文化に憧れるコリィの物語です!
1.プロローグ
2025/08/25 03:35
3.見守り隊
2025/08/25 03:39
4.実はね、
2025/08/25 03:41
5.お手玉
2025/08/25 03:44
6.水路
2025/08/26 03:12
7.試してみよう
2025/08/26 03:15
8.とっても便利
2025/08/27 02:14
9.工事に着手
2025/08/31 17:06
10.水車試作完成
2025/08/31 17:37
12.機織り機
2025/09/10 12:29
14.滑車とテコ
2025/09/10 12:30
17.堆肥に
2025/09/10 12:32
19.清水路
2025/09/10 12:34
20.濾過装置
2025/09/10 12:36
22.掘削機
2025/09/10 12:39
23.次の段階へ
2025/09/10 12:41
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