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第48話 採取隊の見解

 

 魔物と戦い続けていた俺たちは、朝の六時で切り上げて宿を目指す。


 今回は上位種に遭遇しなかったが、考えてみるとそれは普通なことだと思える。夜とはいえ上位種が頻繁に徘徊していたらギルド案件になっているはずだからな。


 まぁ、収穫と言えば、マークⅡの傍でおこぼれを狩り続けたマークⅢのレベルが、二つ上がったことだろう。


 これにより、マークⅢの素早さが100を超えたので、通常種の魔物との戦いを安心して任せられるようになったからだ。


 ちなみに、俺は魔物の首や素材を換金しようと冒険者ギルドに立ち寄ろうとしたが、マークⅢいわく、冒険者ギルドの受付はやっているが、換金所は朝の10時ぐらいからの営業で換金できないと指摘された。


 なので、マークⅢに俺たちだけで狩った魔物の首や素材は、別管理にしておいてくれとマークⅢに指示を出しておいた。


 そもそも、俺たちが夜に戦って金を稼いでいるのは、【無銘の刀】の資金調達の為だと言っても過言ではない。


 さすがにパーティで稼いだ金を使わしてくれとは言えないからな。


 俺たちが宿に到着すると、宿の辺りは人でごった返して騒然としていた。


 俺は不審に思いながらも俺の部屋へと移動した。部屋の中に入ると、なぜか皆がそこに揃っていた。


 「……やっぱり何かあったのか?」


 「ああ。この宿で殺人事件が発生したんだ」


 ラードが神妙な表情で告げる。


 はぁ? マジかよ!? それであんなに人がいたの――皆は大丈夫なのか!?


 瞬時に皆の安否を確認した俺は安堵する。


 だが、女たちの表情は皆一様に暗く、何かに怯えているように思えた。


 「どうやら普通の殺人事件ではなさそうだな」


 「その通りだ。この宿の2階で事件は起きたんだ。2階には部屋が10室あって2階に上がれる階段は一カ所なんだ。で、俺たちが泊っている部屋は奥の3部屋で、その隣の2部屋にはマロンたちが泊っている。だが残りの5部屋に泊まっていた客全員が殺害されたんだよ」


 ……あまりに常軌を逸している。いったい何人が殺されたんだよ?


 「金品を奪われているから山賊という線が濃厚らしいが、被害者たちは心臓を一突きで殺されているらしい。だが、不可解なのが五部屋全ての鍵が閉められていたことなんだ。そのことから犯人像は人族か獣人の【大怪盗】というのが採取隊の見解だ」


 山賊? 盗賊ではないのか? それに採取隊って何なんだ? まぁ、今は話の腰を折ることになるので後で聞くとするか。


 「……確かに最上級職である【大怪盗】なら可能ですわ。『擬態』と『しのびあし』で姿と足音を消し、『開錠』で扉の鍵を開けて中に入り、犯行を行ってから『施錠』で扉の鍵を閉めることができますから」


 だが、違和感がある。姿と足音を消して部屋に忍び込んでいるのに、なぜ殺す必要があるんだ? このことから考えられることは殺人が目的である可能性が高い。


 「まずは今後の宿泊についてだが、このままこの宿に泊まる。あるいは別の宿に行くか、それとも防壁の近くで野営するか、戦士の村に戻るかってところだろう。いずれにせよ、不安を感じている女性陣は俺とラードの部屋に泊まればいいだろう」


 「私はロストさんの部屋に泊まりたいです」


 「うん」


 即座に手を上げて発言したのがレシアとルルルだった。


 「私もロストさんがいる部屋が一番安全だと思うから、ロストさんの部屋がいい」


 続いてキャニルが発言し、結局、女性陣全員が俺たちの部屋に泊まることになった。


 ネヤたちまでもが怖がっているのが意外だな。まぁ、寝てる間に殺されるのだから無理もない。


 「それで宿泊する場所はどうするんだ?」


 俺は視線をラードに投げる。


 「これほどの規模の殺人事件はこれが初めてらしい。だから確率的にここで事件が起こる可能性は極めて低いと思うから、俺はこのままこの宿に泊まるほうがいいとは思うが、皆は気持ち的に嫌だろう?」


 ラードの言葉に、一斉に女たち全員が頷いた。


 「結局、私たちはロストさんがいる部屋に泊まるのだから、無難に別の宿屋でいいんじゃないかしら」


 キャニルの提案に対して、誰も反論しなかったので、宿を変えることに決まった。


 「じゃあ、別の宿を探しに行くとするか」


 俺が部屋から出ようとすると、ラードに止められる。


 「ちょっと待て。その前にマロンたちの件のことだが、どうするつもりなんだ?」


 「俺の意見としてはメローズン王国に辿り着くために、サードパーティとして組み込むべきだと考えている。だが、前衛の上級職が最低でも四人になるまでは戦士の村で活動してもらうつもりだ」


 「まぁ、デインたちを育てながらマロンたちの面倒をみるとなると、さすがに下位種の数が足らなくなって非効率になるからな。それでいいんじゃないか?」


 「そうね。その内容だったら私もいいと思うわ」


 ラードとキャニルが了承する。だが、レシアとルルルは不満げな表情を浮かべていたが、意見することはなかった。反対意見がないので、マロンたちがサードパーティに加わることが決まった。


 「じゃあ、マロンたちに加入が決まったことを伝えてから、宿を探すとするか」


 俺がそう言うと、部屋の扉がノックされて、俺は部屋の扉を開ける。


 そこには見知らぬ男の顔があったのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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明日もたぶん10時に投稿する予定です。


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