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第46話 ガラスハート

 

 宿に到着した俺たちが俺の部屋に入ると、そこにはラード、レシア、女獣人たち、ルルルの姿があった。


 ルルルはすぐにマークⅡに近づいて肩にのっているダークを抱き寄せようとしたが、マークⅠを見つめて固まっている。


 「……マークⅠちゃんは?」


 訝しげな声を上げるルルルが俺に顔を向ける。


 「その黒い人形がマークⅠだ」

 

 「えっ?」


 面食らったルルルがマークⅠに触ろうとすると、マークⅠは跳躍して俺の肩にのった。


 「相変わらず無茶苦茶だな。しかも、白い鎧もいるじゃねぇか。もしかしてマークⅢなのか?」


 「鋭いな。その通りだ」


 ラードの問いかけに、俺が簡潔に返す。


 まぁ、マークⅢは水晶玉だったからステータスの値が低かったので、どうなるのかと思ったが体が砂になるとステータスの値が上がって良かったぜ。


 俺は改めてペットたちを視てみる。


名前: マークⅠ 黒いスケルトン人形

全長: 約30cm

職業: 【無し】レベル: 11

HP: 900

MP: 1000

SP: 1100

攻撃力: 60

守備力: 100+レッサー・ラット皮のベルト風の服

素早さ: 100

魔法: アース, ウォーター, ファテーグ

特殊能力: 浄化, 治癒, 気配探知



名前: マークⅡ ミスリル魔導合金と砂鉄

全長: 約1.6メートル

職業: 【無し】レベル: 20

HP: 1600

MP: 12600

SP: 2500

攻撃力: 600+戦斧

守備力: 750+ガダン商会の黒い鋼の全身鎧+ガダン商会の黒い鋼の大盾

素早さ: 400

魔法: アイアンランス, アイアンバレット, マジカルライズ, パワーブースト

特殊能力: スタミナ回復, 鉄壁, 強力, 鋼壁



名前: マークⅢ 水晶玉と砂

全長: 約1.6メートル

職業: 【無し】レベル: 10

HP: 1100

MP: 1000

SP: 1000

攻撃力: 200+ガダン商会の白い鋼の大剣

守備力: 150+ガダン商会の白い鋼の全身鎧

素早さ: 35

魔法: ファイヤ, アプレーザル, ディスタントビジョン

特殊能力: 火弾, 火柱, アイテム収納, 看破



 マークⅡが強すぎる。この一言に尽きるぜ。まぁ、すでにレベルが20に達しているので、今後のステータスの伸びは悪いと思うが、すでに最上級職並みのスタータスの値なので何の問題もない。


 ちなみに、パワーブーストの魔法は一時的に攻撃力を上昇させる効果がある。マークⅢのディスタントビジョンの魔法は、遠くを見ることができ、『看破』は嘘を見抜ける。


 「それでデインたちの転職はどうだったんだ?」


 「……ダメだったよ。今、キャニルとネヤたちが慰めているところだ」


 「そうか。まぁ、焦る必要はないけどな」


 俺たちといる以上、あいつらが路頭に迷うことはないからな。


 「だよなぁ……お前もそう言ってるって伝えてくるぜ」


 満足げな笑みを浮かべるラードが部屋から出て行った。


 ……まだ時間が掛かりそうだな。少し休むか。


 俺は鎧を外してベッドに腰掛ける。


 「レシア、出撃準備が整ったら起こしてくれ。マークⅠ、お前らも休んでおけ」


 レシアは静かに頷いた。


 〈うん〉


 〈分かりました〉


 「分かりましたの」


 俺はベッドに横になると一瞬で意識を失った。


          ***


 「……ん?」


 俺は体を揺すられて目覚める。


 目の前にはレシアの顔があり、俺の両隣りには砂鉄の塊と砂の塊があり、マークⅠは俺の腹の上で寝ている。


 「ロストさん、ご飯を食べに行くことになりました」


 はぁ? 何で飯なんだよ? 狩りはどうしたんだ?


 俺が腕時計に目を移すと、20時を回っていた。


 もう夜じゃねぇか……デインたちのことを気づかってラードが休みにしたって感じか。


 「どこに食いに行くんだ?」


 「お肉を食べに行くみたいです。誰も転職できなかったので、気晴らしに奮発してもいいだろうとラードさんの発案です」

 

 「そうか」


 俺は装備を身に着けてから視線をマークⅠたちに向ける。


 だが、一向に起きる気配がない。連戦と意識を移したことで疲れているんだろうな。俺が戻るまでは寝かせておくか。


 「マークⅠたちはこのままにしておく。では行くか」


 「ダークちゃんを連れて行ってもいい?」


 眠っているダークを胸に抱いたルルルが上目遣いで俺に尋ねる。


 こいつを店に連れて行ったら飯の匂いで確実に起きて、マークⅠがいないことに気づいて不安がるだろうな。


 「マークⅠも連れて行くか」


 俺がマークⅠを手に持って部屋から出ると、部屋の前にはラードたちの姿があった。俺たちは飯屋に向かって歩き出したが俺ははっとなる。


 今の俺は他人から見れば、子供でもないのにスケルトン人形を持ち歩いているやばい奴なんじゃないのか?


 俺はすぐにダークの背にマークⅠを乗せて安堵する。


 宿から出る前に気づけて良かったぜ。


 俺たちは宿から近い飯屋に移動し、食事を済ませて店を出る。


 どうやらデインたちは、このまま誰も転職できなかったら足を引っ張るだけだと不安に駆られていたらしい。


 だが、ラードが「そんなことはレベル99まで上げてから言うことだ」と言い放ち、その言葉にデインたちは心を打たれて決意を固めたように思えた。


 まぁ、転職は資質が全てだが、資質の有無を知る手段がないことが問題なんだよな。


 だから、努力するしか方法はない。


 しかし、どれだけ努力しても努力の方向性が間違っていれば、転職できないことは言うまでもない。


 俺たちが宿に戻って階段を上って二階の廊下を進んでいくと、前から歩いてきた女冒険者たちに道を塞がれたのだった。

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明日も10時に投稿する予定です。


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