表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反転攻勢  作者: 銀騎士
2/35

第2話 【カスタードプリン】と絶望的なステータス ここから主人公の一人称

この第二話から、主人公ロストの一人称視点で話が進みます。


 俺は気がつくと小さな部屋の中に立っていた。


 部屋の端にはベッドが一つと中央にテーブルがあり、その周りには多数の樽が置いてある。


 俺の名前は思い出せないが、それがなぜなのかは理解している。


 つまり、異世界ここに来るときに、天の声から「人が異世界に渡るには、肉体を作り変えて強化する必要がある」と説明を受けているからだ。


 その肉体改造で性格に変わりはないらしいが、日本での未練を断つために、名前や年齢、家族構成、友人知人の記憶は消去されて、容姿も別人に変わっている。


 俺がテーブル席に移動すると、テーブルの上には台座にのった20センチほどの水晶球が置かれていた。


 なんとなく俺が水晶玉に手で触れてみると、ウィンドウ画面のようなものが表示され、水晶玉から手を放してもそのウィンドウ画面は表示され続けている。


 ウィンドウには名前選択と表示されていて、俺が指でウィンドウに触れると名前の一覧がウィンドウに表示された。


 「まるでRPGのゲームみたいだな……」


 ウィンドウにはバラザオゼ、ロスト、ダクス、ルクス、ラゲートと表示されている。俺はロストと表示されているところに指で触れると、ウィンドウが切り替わり、俺の名前とステータスらしき文字がウィンドウに表示された。



名前: ロスト

職業: 【カスタードプリン】レベル: 1

HP: 50

MP: 20

SP: 50

攻撃力: 10

守備力: 10

素早さ: 10

魔法: ポイズン

特殊能力: 生命付与, 生命付与者解析, 生命付与者意識移動



 はぁ!? 職業がカスタードプリンって何なんだよ? ふざけてるのか? それにHP、MPは分かるがSPって何なんだ?


 俺はウィンドウのSPの部分に指で触れると、説明が表示される。


 「スタミナポイントなのか」


 なるほどな……特殊能力を使うとSPが減り、それに伴ってとHPも少し減る仕組みか。


 それより、何なんだこの『生命付与』っていう特殊能力は?


 俺は特殊能力の説明に目を通す。


 生命付与 命がないものに生命を与えて使役できる

 

 生命付与者解析 生命付与によって生命を付与された者のステータスを視ることができる


 生命付与者意識移動 生命付与によって生命を付与された者の意識を移動することができる


 「う~ん……」


 この特殊能力は強いのか? ……どう考えても微妙だろ。ていうか、職業がカスタードプリン、魔法がポイズン、そして特殊能力が生命付与系って関連性が全くない。少なくとも職業がカスタードプリンなのなら、プリン系の魔法や特殊能力が一つくらいあってもおかしくないのに、どういうことなんだよ?


 俺は不可解に感じながらウィンドウ内をいろいろ調べていると、この世界の魔物の説明が表示された。


 「……魔物には階級があるのか」


 下位種、通常種、上位種の順に強くなるらしく、体も基本的に巨大化していくようだ。


 俺はウィンドウの魔物一覧に指で触れると、様々な魔物の名前が表示され、ラット種に指で触れる。


 すると、ラット種の画像とステータスの値が表示され、その数値を見た俺は愕然とした。


 「おいおい、マジかよ……レベル1の下位種で、攻撃力40だと!?」


 焦った俺はラット種以外の魔物のステータスを確認したが、ほとんどの魔物がラット種の攻撃力を上回っていた。


 「こりゃ、やべぇな……軍隊が勝てないわけだ」


 だが、ここに来ているのは俺だけではないはずだ。


 冷静さを取り戻した俺は、ウィンドウに表示されている職業を見てみる。


 この世界の職業は、大きく二つに分かれていて、一般職、戦闘職がある。一般職は鍛冶師やメイド等の職業のことらしい。


 戦闘職はその名の通りに戦いに向いている職業で階級があり、下級職、上級職、最上級職という順に強くなるらしい。


 そして、戦闘職に就くことによって、魔法や特殊能力が増えたり、ステータスの値が上昇する仕組みらしい。


 俺の職業は【カスタードプリン】だが、そんな職業は一般職、戦闘職のどちらにも載っておらず、下級職の前衛で一番弱いとされる【戦士】の攻撃力の値を目のあたりにした俺は絶句した。


 「100ってマジかよ……俺の10倍じゃねぇか……」


 さらに、魔物と戦闘職の相関図では、魔物の下位種には戦闘職の下級職、通常種には上級職、上位種には最上級職が妥当だと説明されている。


 「これは詰んでるんじゃないのか……」


 俺の口から思わず声が漏れでる。


 しかし、職業の補足の項目に、資質ある者は自力で職業、特殊能力や魔法に目覚めることが可能だが、大多数の者たちが転職の神殿にて、適性ある職業に就くことが可能だと記されていたので、俺は少しだけ安堵した。


 自分が弱いことを認識した俺は、水晶玉の情報を食い入るように見ながら、魔物の姿とステータスの値を頭に叩き込むのだった。

面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価(↓の★★★★★)で応援していただけると、作者の執筆速度が1.5倍になります(たぶん)。


ランキングに参加しています。

リンクをクリックしてもらえるとやる気が出ます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング に参加しています。 リンクをクリックしてもらえると作者のモチベーションが上がります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ