親友を救いに異世界に行った話

『西暦2023年6月18日、朝日莉里の死が決定した。』

目の前に突然現れた”それ”は親友である莉里の死とともに、ごく普通だった私たちの日常の崩壊を告げた。

―2023/6/18
私は今日も高校で出会った莉里、桐香、恵とともに放課後に集まって遊ぶ約束をしていた。

毎日のようにどこかに集まっては他愛もない話で盛り上がる私たちだけど、この日は莉里の17歳の誕生日で、いつもよりも少し特別感があった。

閉館ギリギリの水族館に行き、夕方には近くの海浜公園で莉里に内緒で買ったプレゼントを渡す。そんなごく普通の幸せな日常。


　ただ、その日常はこの日崩れ去った。

日も暮れ、辺りが暗くなってきた頃、莉里は私たちに向かって手を振って横断歩道を渡った。

浮かれていた私たちは制御を失ったトラックが莉里に向かって直進していることに直前まで気づかなかった。

「莉里っ！！」

間に合うはずなどない。
莉里はそのままトラックに轢かれ・・・・・・ていなかった。

比喩ではなく、確かに時間が止まっていた。
まるで写真のように目を丸くする莉里の目前でトラックが止まっている。

『朝日莉里　享年17歳　死因―内臓破裂による失血』

気づけば私の目の前には白いローブを纏った”何か”が立っていた。

『―汝らに選択を与える
　一つ、このまま朝日莉里の死を受け入れ、この世界での生活を続行する
　二つ、この世界とは別の平行世界に行き、’堕天’した七翼の天使の存在を抹消する　対価は朝日莉里の死の停廃と生存の継続』

目の前の”それ”は淡々と私たちに向かって告げた。

訳がわからない。

ただそれでも3人とも考えていることは一緒だった。

「行くよ。絶対に莉里を死なせたりはしない。」
　

かけがえのない親友を救うために厄災の象徴である堕天使と残酷な運命に立ち向かう少女達のダークファンタジー開幕・・・