“推し活”のすすめ
受験生ということもあり、長い間更新できませんでした。すみません……
奏が少し扉を開けた瞬間、中から怒鳴り声が聞こえた。
「どうしてあんなことしたんだって聞いてんだよ!!」
───この声は、陸、、、?
「おい!何とか言えよ!黙ってないで!!悠貴!!」
「ちょっと陸、落ち着いてよ。」
「んな事言ったって、結衣!!お前は黙ってられんのかよ!!お前も知ってんだろ!?」
何言い合ってんだ、あいつら。
ふぅと息を吐き、中に入ろうとする奏を陸の言葉が遮った。
「こいつが!!悠貴があの動画撮った犯人だって」
───は?
いま、なんて言った?悠貴が?動画の犯人?動画って、あの?凪紗の?
奏の頭にカナヅチで殴られたような衝撃が走る。
「あの時、お前スマホで録音してただろ、音声。やけに動画の奏の声がよく聞こえると思ったんだよ。それに何より、俺も結衣もちょうどお前が周り気にしろとか言って奏とか凪紗の視線を自分から逸らしたタイミングでスマホ触ってたの見てるからな。」
悠貴は鼻でふっと笑って答える。
「何言ってんだよ、陸。だいたい俺がそんなことする理由がないだろ。それに証拠も。」
「理由なんか知ったこっちゃないけどな、知りたくもねーし。証拠ならあんだよ。ほら、結衣!!!」
「はぁ、わかったよ。あの時動画撮ってたっぽいお客さんに、ネットにはあげないようにお願いしようとしてたら、1人だけ見覚えのある顔があってね。その時はあんまり気にしなかったんだけど、この流出騒ぎ、ちょっと怪しいと思って一応、確認してみたら、ビンゴだったって訳。まあ、悠貴が1番わかるよね。」
はい、と言って結衣がスマホを勇気に見せる。奏も目を凝らしてよく見るとそこには、「えり」という名前が表示されており、電話が繋がっているようだった。
悠貴は表情ひとつ変えずにスマホ画面を見つめる。そして結衣が口を開く。
「こんにちは、えりさん。」
『あ、こんにち、は。あの本当にすみま、せん。』
「罪悪感があるのなら、全て正直に話してね。」
『はい、、すみません。』
「まず、あなたはあのファミレスで凪紗ちゃんに水かけようとして、奏に詰められた川田さんよね?」
『はい、あの、あの時はご迷惑をお掛けしました。』
ああ、あの時の。
奏は合点がいった。でもなんであいつが。
「それで何でこんなことしちゃったのかな?」
『それは、その、一ノ瀬凪紗に少し痛い目見させてやろうと思って、最近あいつのことずっと付けてたら、偶然、本当に偶然、その。』
「本当に偶然だったの?そんなタイミングよく?」
「それは、、ほんとに、、、。」
「俺と会ったんだよ。川田さんは。」
言葉に詰まった川田に割って入ったのは悠貴だった。
「俺が頼んだの。凪紗ちゃんの弱味を握らせてあげる代わりに、俺が頼んだことやってって。それで、最近奏がイライラしてるの気づいてたし、あの会議で絶対にボロが出る、なんなら俺が出してやろって思って、川田さんに動画撮っておいてーって頼んだって言う訳。」
「お前っ!ふざけてんじゃねーよ!!」
陸が悠貴を壁に押しやる。
「ちょっ、陸!」
「ふざけてねーよ。」
落ち着かせようとする結衣の言葉を遮ったのは悠貴だった。
「あ?」
「陸、お前はいいよな。ただギター引いてればいいんだもんな。曲作りも才能がある奴にまかせるとか言ってあんまり手伝わずに、歌をライブのコンセプト、セトリ、グッズ、イベントの詳細、テレビ出演、新曲リリース、インタビュー、スケジュール調整。お前この内のどれかひとつでも自分1人でやったことあるか?ないよな。だって俺と奏でやってるもんな。結衣だってピアノの1小節くらいしか決めずに後はファンに可愛い、可愛いって言われて、ニコニコしてればいいだけ。そんな奴らに俺の事どうこう言われたくねーよ。」
「っ、!」
陸の悠貴を押し付けていた力が弱くなる。
「でも、俺はずっと、そんなお前らよりもずっと奏が羨ましかった。妬ましかった。それで、何より嫌いだった。」
キーン
奏の頭の中で悠貴の言葉、一つ一つが反響する。それはこれまで作り上げてきた”Nanashi”というバンドが、崩れ落ちる音でもあった。
これからも更新頻度めちゃくちゃ下がってしまうと思いますが、見ていただけると嬉しいです!




