''推し活''のすすめ
その後、凪紗は電車で翔亜くんや忍くんにこのグループについて、いろいろなことを教えてもらった。
「どういう繋がりだったの?元々。」
「特に最初から何かがあったわけじゃないんだけど、成り行きでって感じくな、あんまり覚えてないな。」
「俺はけっこう覚えてるけどな。確か、俺と皐月ちゃんはもともと違うプレイヤーのグループに入ってて、あれはFCツアよな、初の、その公演あんま数が多くなかった上にちょうどその頃バズってて、チケットの当選倍率が高かったんよ。それでそのグループの中で俺と皐月しか取れなくて、一緒に行ける人他にも募集中ですってネットで探してたら、奏と瑞希が来た感じやったな。」
「そうなんだ。てか忍くん、関西弁。」
「あ、最初は関西弁だと怖いかなと思っとって。さっきまで結構頑張ってたんよ。」
「そうだったんだ。気にしなくても良かったのに。」
「じゃあ、こっからはバリバリの関西弁で行くでー!」
「あ、うん。」
「ひ、引かれた!?」
あははっ
3人で声を揃えて笑う。くだらない。でも、楽しい。
こんなにくだらないことも、誰かと一緒に笑い合えるだけでこんなに楽しいなんて、きっと1人で生きていたら気づけなかった。
翔亜くんとは本当に家が近いようで、降りる駅も一緒だった。駅から少し歩き、別れることになった時、翔亜くんと忍くんが言ってくれた、「またね」の3文字が、頭から離れず、思わず足取りが早くなる。家に着き、シャワーをサッと浴び、ベッドに横たわる。ピコンとスマホがなり、見ると、5人のグループLINEにさっき撮ったプリクラが送られていた。凪紗はそれを眺めながら感傷に浸る。両親の死、友達のいない学校、女子からの痛い視線、そして、奏との出会い、Nanashiとの出会い、ボイトレ、レコーディング、それからこの間の出来事、今までの”イロイロ”が蘇ってくる。
───色んな色でいろいろ彩どり色んなことをイロイロ考えちゃう今日だけど
───これはただの人生なんだ
「俺もうすぐ死ぬかもなんだよね。」
気づけば、凪紗の頬は涙で濡れていた。よく分からない感情がごちゃ混ぜにになり、次から次へと涙が流れる。
うっ
思わず声が漏れる。こんなに楽しかったのは人生初だったと言う感動、なんだかんだ言いながら本当は憧れていた友達と言う存在ができた嬉しさ、私情を挟んで彼らとの名のない禁忌を破ってしまったことへの後ろめたさ、そして彼らを輝かせていた源を自分自身が壊しかけてしまったという後悔、そしてなんと言っても、あの美しい音楽を作り、奏でている彼が存在しなくなるかもしれないという、恐怖。
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛
凪紗は声をあげ、思い切り泣く。
奏が彩ってくれた人生を、私はただの人生とは思わない。奏はどうなのだろう。自分の夢を大切な仲間とやっと実現出来始めたいま、奏にとってはそんな人生もただの人生なのだろうか。そんな訳はない。ただの人生、されど人生。
私が彼の人生を、色褪せてるなんて言わせない。
私の、”ただの人生”をかけても。
同じような話を繰り返してしまい申し訳ないです。次回から少し物語が進みます!




