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''推し活''のすすめ  作者: 雨宮ほたる
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“推し活”のすすめ

その後、凪紗は4人からタワレコを案内してもらいながら、色々なコーナーを回り、おすすめのアーティストも教えてもらった。それはNanashiばかり聞いていた凪紗にとってはとても刺激的で、新しいものだった。そして、タワレコを一通り回ったあとはカラオケで、瑞希ちゃんが持ってきたNanashi初のワンマンライブのDVDを見た。当時まだ、奏と悠貴が高校2年生、結衣が高校三年生、そして陸が大学一年生という若さでのワンマンライブ、初々しさも残ってはいるが、The、ロックバンドという感じがして、凪紗には新鮮な光景だった。瑞希の話によると、もともとは高校卒業後に、奏と悠貴の二人は、本格的に活動を始めるつもりだったが、たまたま悪ノリ程度でSNSに投稿した「Noname 」がバズったので、その勢いで結衣デビューしたんだそう。奏も悠貴も進学校にいたため、奏は中退し、バンド業に専念、悠貴は通信制高校に転校したというエピソードはファンの中で有名であった。また結衣は元々地下アイドルをしていて、キーボードだけでなくギターも弾けるアイドルと1部では有名だったらしい。そこを奏が頼み込み、奏の才能に惚れた結衣も夢だったアイドルを諦め、メンバーに加わり、陸に至っては長年ベースをしてきたことに加え、ああ見えて超高学歴の持ち主で、大学も名門に一般入試で合格し通っていたそうだ。Nanashi結成当初は大学に通いながらバンドの活動もしていたが、忙しくなり始めたことをきっかけに、大学を中退しバンド活動に専念するようになったことも、ファンの中では有名な話である。

「このバンドに、俺ら人生掛けてるんで。」

ライブでそう、悠貴が口にする。なんだよそれ、暑苦しーぞ!と他3人も冷やかしながらも、目の奥は本気だ。

新規だの古参だの、顔ファンだの、どうだっていい。彼らが、”Nanashiが大好き”という肩書きさえあればいい、翔亜くんの言っていたことがスっと、凪紗の中で腑に落ちた。

そんな事を考えながらも、ライブを鑑賞している間は、みんなで合いの手を入れたり、たまにみんなで歌ったりとはしゃぎまくった。その結果、終わった頃には全員の声が枯れていて、しかしそれすらも楽しく感じ、凪紗の初のライブ鑑賞会は、今までで1番楽しい推し活だった。


結局カラオケを出たのは20時を回った頃だった。

「皆はどこら辺に住んでるの?電車同じ方向?」

凪紗が聞く。すると忍くんが笑いながら、

「あ、言ってなかったけ?俺と皐月は東京都民じゃありませーん。俺が大阪で、皐月ちゃんが愛知。そんで瑞希と翔亜は東京。バラバラなんだよね。」

「え、だいぶ離れてるね。じゃあ皐月ちゃんと忍くんは今から帰るの?もうだいぶ遅いけど。」

「いや、私たちだいたい集まったとき、遅くまで遊ぶし、なんなら日付またぐこととかもあるから、あらかじめホテルは予約してあるんだ。だから明日帰るかな。忍もでしょ?」

「うん、俺も今日は泊まり。もちろん翔亜ん家に。」

「は?お前、またかよ。たまにはホテル取れよ。」

「だってお金かかるじゃん。」

「宿泊費取るぞ?」

「冗談!冗談だからね?翔亜くん。落ち着いて!!」

凪紗はそんな翔亜くんと忍くんのやり取りを笑いながら、瑞希ちゃんと皐月ちゃんに聞く。

「いつも泊まってるの?」

「そうだね。だいたい忍は翔亜の家に意地でも泊まるね。」

「なんだかんだ言って翔亜も楽しんでるしね。」

「そうなんだ。」

「たまには皐月も泊まりに来なよ。」

「あー、前瑞希の家泊まり行った時、めっちゃ色々細かくてちょっとだったんだよね。」

「だってあれは皐月が、脱いだもの全部床に放り投げるから……!」

「じゃあ、今度は凪紗と行こっかな。凪紗”は”優しいし。」

「”は”ってなによー!」

3人で顔を見合せ、笑った。


駅に着くと5人は足を止めた。

「じゃあ、たぶん俺らと凪紗ちゃんはここでお別れかな。」

「うん、そだね。皐月はこっち方面って言ってたよね?」

「うん、途中まで瑞希と一緒!」

「「「「じゃあ、また!!」」」」

4人の声が揃う。慌てて凪紗も返す。

「また!!」

5人で笑い合うと、それぞれ瑞希ちゃんは皐月ちゃんと、凪紗は翔亜くんと忍くんと歩き出す。

次集まった時は何をしようか、凪紗は既にそんな事を考えていた。



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