お転婆娘と父親の話。
面倒なことって何だろう、とは思いながらも了承した。
ーーーそもそも…婚約者には婚約破棄をされて愛妾の提案をされ、挙句の果てには同じ王族といえど婚約者の弟と婚前交渉の末、契約の印が体にあります、なんて。
言えるわけがないのだけれど。
…お父様にはお転婆にも程がある、って呆れられそう。
仕方ないにせよ、婚前交渉してしまったから…私は…
「ルル様がどうにかするって言ってたんだから…今は深く考えても無駄だわ。」
ルル様に見送られながら、私は王城を後にしたーーー
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ーーー「ついにやりよったか、馬鹿娘!!」
「お、お父様…帰宅早々不躾過ぎますわよ?!どうされまして?!」
「どうされたもこうされたも…婚約破棄をされたと言うじゃないか!王太子殿下は隣国との和平の為にやむを得ず、と仰っていたが大方お前がやらかしたんだろう?!」
「…娘への信頼が地を這っておりますわね、お父様…」
屋敷へ踏み入れた途端、父であるブライトナー侯爵に掴まってしまった。
ルル様の言う通り、王様王妃様は行動が早い。
流石にルル様との事は伝わっては居ないし、愛妾の話も出ては居ないみたいだけど…婚約破棄の話はばっちり伝わっていた。
けれどもお父様?
ちょっと娘へのお言葉が過ぎますわよ?
「私も5年も王太子妃教育を受けた身。流石に5年経って何かをしでかすなど有り得ませんわ。するなら5年前にしております。」
淡々と言ってのければそれもそうかと納得する。
「なら本当に和平の為に王太子殿下は、婚約破棄を告げられたのか。」
「…何故そこを疑われたのです?もちろん…そうでしてよ、お父様。」
「そうか…隣国からの申し入れなら仕方ない…」
難しい顔をして黙ってしまう。
それもそうよね…由緒正しい公爵家には男子はおらず、婿を取るしかない。
けれども長女は回復の兆しの見えない病に犯され、次女は王太子殿下に婚約破棄をされた…
…私がどうにかお婿さんを迎えないと、ブライトナー公爵家はお父様の代で終わってしまうわね。
ちょっと体調を崩しておりました…
お待たせ致しました^_^;