冷えて固まった残渣
「残渣」と「残滓」を、ちゃんと覚えていません。
冷えて固まったのは かつて燃えていた情熱の残渣
だけど そこから
炎を灯していた その姿は知れない
流れた汗を掬い集めて 水鏡をつくっても
それを流した者の姿を映さないように
流れた涙が窪みをみつけて 水たまりをつくっても
それを流した者の姿を浮かべないように
冷えて固まった残渣からは
どんな色の炎を揺らしていたのか
どんなあたたかさが まわりを照らしていたのか
それすらも知れない
最期まで燃え尽きることができたのか
なかばで吹き消されてしまったのか
なにひとつ知れない。
それでも 冷えて固まった残渣を
爪ではがしながら 私は想い描く
かつて炎を灯していた蝋燭の
その姿を胸に 私は想い描く