表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/131

初めましてじゃない

そして翌日、俺は雪菜さんとホロサンジの事務所へ向かった。


ホロサンジの事務所につくと、受付前に男の人と女の人が2人で立っていた。




「初めまして! ゆきはさんの担当の太田です!」


「初めまして、ホロサンジのマネジメント部門の責任者をしている小平と申します」




そう自己紹介された。




「あ、初めまして。湯月新と言います」


「それでは早速会議室へご案内します!」




そう言って二人が奥に進んでいった。


雪菜さんをゆきはさんと呼ぶからか、俺もアークモードで話ができそうだ。




「湯月くんがアークさんだってことは、特に言ってないんだけど…」




と雪菜さんがコソっと話してきたので、




「後で俺から伝えますよ。どこの誰だかわからない人より、アークの方が信用度あると思いますし、事務所の方なんで何か起こることもないでしょうし」


「そっか…」




そう言いながら雪菜さんと2人で後を着いていった。




会議室に通され、全員が席に座ると、




「ゆきはさん、2度目にお会いするのが、こんな形になってしまって申し訳ないです」




と小平さんが話した。




「あ、いえいえ、大丈夫です! 太田さんにはいつも良くしていただいています!」


「そうですよ部長~。いまやホロサンジ若手のホープと言っても過言じゃない、ゆきはさんによくしてるんです!」


「あ、うん、まぁお前が自分で言うのはどうかと思うがな…」


「まぁまぁ! それで湯月さんが今回の件を調べてくれた人ってことなんだよね?」


「あ、はい、そうです!」


「太田さん、実は俺太田さんは初めましてではありません」




と、なんとなくアークっぽく話すと、




「え…? え? も、もしかして?!」


「はい、僕がアークです」


「アークさんですかー!!!!!」




と太田さんが驚いて席を立ってしまった。




「部長! あれです! 私がどうしてもスカウトしたいって言ってた、マリンスノーの箱舟の箱舟さんです!」


「あー!! 確かに声が同じですね…いつもホロサンジの配信者がお世話になってます…」


「あ、いえいえ、それは問題ありません! 僕もおかげで登録者も増えましたから…」


「太田からも話があったかとは思いますが…」


「部長! 今はそれより本題を!」


「た、たしかに。それどころじゃなかった。それで湯月くん、アークさんかな? 今回の件を調べてくれたと」


「あ、ゆきはさんもゆきはさんと呼ばれてるようですし、アークで大丈夫です。僕としても、ゆきはさんが困るのはなんか嫌だなと思いまして、調べました」


「なるほど、一体どうやって」


「えっとですね、ちょっとあまり大きな声では言えないのですが、あの掲示板はご存じですかね?」


「はい、太田からも聞いています」


「チャンネルとSNSはセキュリティが僕個人でどうにかできるレベルではないんですが、掲示板の方はそこまででもなかった上に運営母体もよくわからないような感じでしたので」


「ので?」


「ちょっと色々プログラム使って、掲示板へアクセスしているアクセス元を調べました」




というと、3人がポカーンとしている。




そしてしばらくの沈黙の後太田さんが、




「そ、それは、掲示板をハッキングしたってこと……?」


「あ、いえ、掲示板自体には何もしていないんですが、特定のURLにアクセスした元をたどった感じです。まぁハッキングみたいなもんというか、そういうのかもしれないので大きな声では言えないんですが…」


「な、なるほど…」




すると小平さんが、




「まぁ一旦それは置いとくとしてその結果、ホロサンジの社内からのアクセスがあると?」


「はい、この画面をご覧ください」




というと、俺はパソコンの画面を見せた。




「僕が解析できたのは、荒れ始めたぐらいからの投稿で、それらしき内容のうちPCから投稿された15だけです。そして15は大体港区からアクセスしてると推定されます」


「ふむ」


「しかし、これでわかるのはここまでです。しかし、この3つを見てください。アドレスが全て同じです」


「そうですね」


「これはアドレスが固定されているということになり、主には企業のセキュリティ対策で使われます」


「ふむ」


「そして、先日大変恐縮ながらゆきはさんにお願いして、ホロサンジのゲストwifiのアドレスを調べてもらいました。それがこれです」




俺はそう言うと、机にあるPOPのゲストwifiに繋ぎ、アドレスを調べるサイトにアクセスした。


そして表示された画面を2人に見せると、




「同じですね……」


「はい、なので大変恐縮ながらこの3つはホロサンジの社内回線から投稿されたことになります。そしてそのタイミングと同じタイミングの書き込み内容がこちらです」


「こ…これは…」




予め紐づけておいたコメントは、『声でいける』『中身を特定した』『おかずになる』というものだった。




「掲示板にも投稿は残ってますので、確認していただいても構いません」




そして掲示板を見ていたのか、しばらく二人がパソコンを見た後に小平さんが、




「ちなみにアークさん、この投稿のアドレスの解析が間違っている可能性は?」


「掲示板のサーバーの横から、直接拾っている感じなので、限りなく低いとは思いますが、本当に正確な情報は掲示板の運営にアクセスログを出してもらうしかないですね」


「なるほど…」




と小平さんが悩むと、太田さんが、




「部長、これはもう状況から考えてもほぼ確定ですよ…」


「まぁそうだよな……」


「アークさんもゆきはさんもここだけの内緒にしてくださいね」




そう太田さんが神妙な面持ちで言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ