そう思うことにする
そうして、新宿につき、宇勢丹に向かい俺は直人に言われるがまま買うつもりで直人の斜め後ろをついて歩く。
「さーて、俺はまず華蓮ちゃん用にボーバリーだな」
「俺は?」
「3年生3人は自分で選べよ?」
「え?」
「いやだから、りのあちゃんと雪菜ちゃんと華蓮ちゃんは自分で選べって」
「え?」
「いや、おい、いきなり壊れるなよ」
「え? 俺が選ぶの?」
「そうだって」
「なんで?」
「なんでもだよ。無数にあると困るだろうからと思って、ブランドパワーを借りるためにここら辺のブランドでいいから」
そう言うと、ティフェニーのお店の中に放り込まれた。
すると、
「いらっしゃいませー! 今日はどのような?」
「あ、え、あ…クリスマス…プレ…ゼントを…」
としどろもどろになりながら話すと、
「あ、すいませんー。こいつコミュ障なんでこのままだと明日になっちゃうので通訳しますね! 女の子に渡すクリスマスプレゼントを選びに来ました!」
と、直人が後ろから話しかけた。
「あ、そうなんですね! 彼女さんですかー?」
「あ、いや、仲の良いメンバーでクリスマスパーティーやるんですが、その時に来る女子3人に向けてですね!」
「なるほどなるほどー、そうするとお若く見えるので香水とかですかねー?」
「あ、いや、予算はあるんで、大丈夫です!」
「へーー、いいですねー! みんな喜びますよー! どんな子達なんですか?」
「ほら、新写真見せて」
と直人に言われたので、海の時に共有された集合写真をだし、
「この子…と…この子……あと……この子です」
と、莉乃愛と雪菜さんと華蓮さんを拡大して教えた。
「えーーーー3人ともめっちゃ可愛いですね! それぞれどんなものにしますか?」
「あ…えっと……」
「あー、えっと俺が最初の子にヴェトンのミニスカート買って、次の子にFANDYのロングスカート買って、最後の子にボーバリーのミニスカート買うので、同じぐらいの値段のアクセサリーで良さそうなのを! 多少オーバーしても問題ないです!」
「あ、なるほどー! では結構選べそうですねー」
そう言うと、店員さんはショーケースの上にいくつかネックレスを並べていく。
「んじゃ後は、感覚でそれぞれに似合いそうなものを選べ! 俺も3人向けのやつ買ってくるから」
そう言い残すと、直人は店を出ていった。
「えーっと、女の子なんで絶対ネックレスが喜ぶと思いますから、どれがよさそうですかー?」
そう言われた俺の前には5個ほどネックレスが並んでる。
「ちなみに3人とも彼女さんではないってことでしたが、どなたかになんか特別な想いを伝える予定があったりはしませんか?」
「い…いえ……特には……」
「ではこれは除外ですねー」
と、ハートの形をしたネックレスを下げた。
「このネックレスは、意味が純愛になってるんで、渡しちゃうとややこしくなっちゃいますよ~」
と、店員さんが言う。
それは確かに面倒くさくなりそうだ…
「あとは値段がちょっと上がっちゃいますけど、ここら辺もいいかもしれませんねー」
と追加5つほど出してきた。
俺はもうどれがいいかなんてわからないので、もうなんとなくでその中から選んだ。
莉乃愛には、金色のチェーンにリングみたいなのが付いているやつ。
なんか莉乃愛の華やかな雰囲気に、合ってる気がする。
雪菜さんには、ピンクっぽい金色のチェーンに鍵みたいなのが付いているやつ。
鍵って言うレトロな感じが、落ち着いていて雪菜さんっぽい気がする。
華蓮さんには、シルバーのチェーンに四葉のクローバーみたいなが付いているやつ。
四葉のクローバーが、なんか元気な華蓮さんな感じな気がする。
もうそう思うことにする。
「こ…これと……これと……これで……」
「わかりました。色はどれも、シルバーとピンクゴールドとゴールドがありますけど、これでいいですか?」
「……これで…」
「お値段大丈夫ですか?」
「………これで…」
「わ…わかりました……ギフトラッピングは…いりますよね! お支払いは?」
「…これで……」
そう言うと俺は財布からクレジットカードを出して、店員さんは、それを受け取り裏に下がっていった。
そしてしばらくすると、3つの袋を持った店員さんがやってきて、
「こちらにサインをお願いします」
というので、俺はサインした。
「では商品こちらになりますので、出口までお持ちしますね!」
というので、これは出ろということだな? と思ってそそくさと店を出た。
「あ、これ! 持っていってくださいね!」
と、足早に出ていく俺を出口付近で止めて商品を渡してきた。
「ありがとうございましたー」
というので、俺は会釈だけして、商品をもって、スマホで直人に連絡した。
『買った』
『あー俺も買ったからGECCIのお店集合で』
『了解』
そしてGECCIで、彩春ちゃんと茜ちゃんに、2人からということで、色違いでお揃いのマフラーを買った。
「いやー、ブランドに頼ったから結構使ったなー」
「そうなの?」
「値段見てなかった?」
「いや、とりあえず直人が言うから大丈夫だろうと思ったから見てない」
「多分50万ぐらいじゃん」
「まじ」
「まーおれもザックリだけど」
「最近の高校生のプレゼントって高いんだな…」
「あ、いやこれは、超高級。普通の高校生はこんなのプレゼントしない。てか、むしろ大人でも高い」
「…」
「でも、あの子にはこれー、この子にはこれーって考えるのお前無理だろ?」
「た、たしかに……」
「だから金に物言わせてブランド攻め」
「な…なるほど。そう思うと有効なお金の使い方だ」
「だろ」
「間違いない」
「お前それ、家持って帰った後、当日までバレんなよ?」
「ん、あぁ、了解。それはなんとかする」
「俺が今日買ったやつは、後でお前ん家に適当な段ボールに入れて送るから、受け取ったら保管しといてくれ」
「了解」
「んじゃ、帰るかー」
そう直人が言うと、なんかどっと疲れた…
俺はそのまま駅で直人と別れ、帰宅ラッシュに被ってしまい、満員に近い電車の中大荷物を抱え家まで帰った。
そうしてついにクリスマスパーティーの日になった。




