プレゼントはサプライズ
雪菜さんに、突発的に配信になったのは大丈夫だったか聞いたところ、少し注意はされたが大丈夫とのことだ。
すぐに連絡がなかったので、大丈夫だったんだろうとは思っていたが、とりあえずよかった。
雪菜さんが少し注意されちゃったのは申しわけないけど。
最近俺は、大学に行くか行かないかを決める為、少しだけ配信の時間を減らして、プログラミングを独学で勉強している。
元々興味があった。
パソコンの前で何かにのめりこんで、その結果が見えるというのは面白いし、なんなら向いてると思う。
一旦自分でやってみて、誰かの教えが必要そうとか、自分では見えない深みがあるとかだったら大学に行こうと思う。
幸い、小さい頃からの親との唯一の約束である勉強をずっとやってきたことで、最近は受験勉強なんて一切やってないが、模試の点数は安定している。
そう思いながら、俺は今日も新しく届いたプログラミングの本を読みながら、色々試してみている。
すると、ドアがノックされた。
「あっくーん、いい?」
え、莉乃愛がドアを開けない……?!
「い…いいよ」
そう言うとガチャっとドアが開いて、莉乃愛が部屋に入ってきた。
「り…りのあ、どうしたの…?」
「え? なにが?」
「りのあがノックして、返事があるまで待つなんて…」
「あ、びっくりした???」
「文化祭前に髪切ったときぐらいびっくりした」
「そう言えば最近伸びてきちゃったしどうしようかなぁ」
と、莉乃愛は俺のベットに腰かけるとスマホをいじりだした。
「りのあ?」
「ん?? なに?」
「なにか用があったのでは?」
「あ、そうだ! 忘れてた!」
こんな一瞬で用件忘れちゃうんだ…
「あっくん、クリスマスだよ!」
「あ、うん、そうだね…」
「わたし、小学校以来クリスマスプレゼントってもらったことない!」
「…」
「もらったことない!」
「うちの親が多分現金くれるかと…」
「小学校以来「プ レ ゼ ン ト!」もらったことない!」
「……了解しました………」
「イエーイ!」
「希望は……」
「プレゼントはサプライズ!」
「…」
「あーーーー! それならみんな呼んでクリパやろうよ!」
「クリパ?」
「クリスマスパーティー!」
「みんなって?」
「海メンバー!」
「雪菜さんは無理じゃないかなぁ…」
「なんで!」
「女性のバーチャル配信者でクリスマスイブとクリスマスに配信しないのは、もうよからぬことしか起こらないと思う…」
「あーねー…」
「だから流石に無理かと…」
「日にちずらせばよくない?」
「え、クリスマスパーティーなのに?」
「要は雰囲気だからさ!」
「…」
「雪菜にいつならできるか聞こーっと!」
そう言うと、莉乃愛は部屋から出ていった。
これは驚異的な行動力と決断力の莉乃愛が進めてしまいそうなので、実現してしまいそうだ…
そんなことを思いながら俺はプログラミングを再開した。
そして気がついたら深夜の2時。
完全に時間のことを忘れて没頭していた。
お風呂どうしよう…明日の朝にするか……
そう思い、流石に学校があるので寝なきゃと思い、布団に入りスマホをみると、直人からメッセージが届いていた。
『クリスマスパーティーにプレゼントは必須だぞ』
あ、もう直人まで連絡行ってるんだ…
俺は直人に返信することなくその日は眠った。
次の日学校に行くと、
「新ー、クリスマスパーティーにプレゼントは必須だぞ」
「俺まだいつやるかとか聞いてないんだよね」
「22日らしいぞ」
「そうなんだ…」
「雪菜ちゃんがそこじゃないと、できそうにないらしいからってことらしい」
「まぁ雪菜さんは無理だと思うって言ったの俺だしね…」
「あ、そうだったのか。まぁそんなわけで、海メンバーでクリスマスパーティーだと」
「そうなのね…。ちなみに場所は…?」
「お前ん家のパーティールームらしいぞ」
「そっか…否応なしに参加になるやつだ…」
「りのあちゃんがもう部屋予約したって言ってたぞ」
「そう言うときの行動の速さはりのあのすごいところだよ…」
「そういうわけだから、メンズな俺達は女性陣にプレゼントはマストだ」
「まぁ…りのあにもプレゼントほしいとは言われてるから…」
「んじゃ、そのついでに全員分だな」
「なんで……」
「え? そりゃ俺とお前が男だからだよ」
「また古い考えを…」
「いーや、これは今も昔もこれからも、女性はプレゼントが欲しいもんなんだ」
「そ、そうなんだね…」
「ということだから、今度一緒に買いに行こうぜー」
「それは逆に俺がお願いしたい…何買ったらいいかなんて見当もつかない」
「りのあちゃんに希望とか聞かなかったのか?」
「プレゼントはサプライズ! と…」
「あーー…りのあちゃんらしい(笑)」
「そういうこと…」
「んじゃ、俺今日の放課後用事あるから、明日の放課後にでも行こうぜー」
「俺は今日でもいいよ」
「いや今日はダメだー。彼女と別れる話するから」
「へー、次はだれなの?」
「いや、今回は次はない。一回独り身を堪能する!」
「そうなんだ…まぁとりあえず明日の放課後で了解したよ」
「おっけー!」
そして次の日の放課後、
「さて、新宿行くか」
「わかった」
「新、予算は?」
「まぁ現実的な範囲なら…」
「Maxだと?」
「1,000万ぐらいかな」
「何買うんだよ…」
「直人の予算Maxは?」
「んー800万ぐらい」
「対して変わんないじゃん」
「ま、確かにな、ただそんな使うことはありえないから(笑)」
「んで新宿のどこ行くの?」
「んー、まぁお前のことを考えると宇勢丹だな」
「わかんないけど、ついていきます」




