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【中里雪菜視点】ギョッとする

「んじゃおねーちゃん、今日菅谷さんのところ辺りでテレビ電話繋ぐから!」




と、駅で別れる彩春が言ってきた。




「あ、うん、学校で詩織と一緒に見るね!」


「りょうかーい! 16時過ぎだから!」


「うん、わかったよー」




そういうと、彩春は渡した私の洋服一式を持って、小走りで彩春の学校の方に向かっていった。




菅谷さんが文化祭のミスコンみたいなやつに出場して、それがギャップ勝負らしく、なんと私になりきると言っていた。


更に、元々りのあちゃんの動画を撮る予定だった直人くんが、私の動画も撮って、それをりのあちゃんのアピールタイムで放映することにもなった。


そして、湯月くんの家で絵コンテを見せられ、更にはりのあちゃんの服を着せられ…。


りのあちゃんこんな短いスカートはくんだ…。


でも男の子はこういうのがいいのかな…。


そんなことを思いはしたものの、私の服を着たりのあちゃんもなんかお互い様な感じになっているので少し安心した。




そして直人くんが、撮影日の放課後に学校に来た。


あらかじめ先生には事情を伝えてあったので、職員室の近くで待っていると、なんか腕章をつけた直人くんと、なぜか大人の人が3人ぐらい同じ腕章をつけていた。




「あ、雪菜ちゃーん!」


「直人くん、こんにちは」


「あ、この人達は親父の会社の人! ちょっと今回色々構成考え出したら楽しくなっちゃって、俺一人じゃどうにもならなくなっちゃったから、今日の撮影手伝ってもらう!」


「あ、そ、そうなんだ…」




と私が言うと、直人くんが近くに来てコソっと、




「(雪菜ちゃんがバーチャルやってるとかそう言うことは伝えてなくて、勧誘も禁止で、会社の動画部門の試しってことになってるから)」




と、話して離れていった。




「あ、今日一緒に出てもらう、西田詩織ちゃんです」




と私の横に立っている詩織を紹介した。




「しおりでーす! よろしく!」


「うん、よろしく! これまた美人な! もし…」


「あ、直人くん連絡先は1億円だよ!」




と私が言うと、




「ぐぐぐー、茜が増えたーーーー!」




と両手で頭を抱えた。


大人の方は先生に流れみたいなのを説明しているようだ。




「へーー、雪菜がそんな風に話せる男子いるんだねー」




と、なにか感心したように詩織が言った。




「え、あ、まぁうん、でももうあと一人ぐらいだよ? こんな感じで話せるの」


「へー、でもなんかちとチャラいけど嫌な感じはしないねー」


「うん、そうなんだよ」


「まぁ、私も雪菜のわき役で、「わき役のあの子だれ?!」ポジション狙うわ!」


「なにそれー(笑)」




と、私と詩織が話していると、直人くんが、




「んじゃとりあえず、説明も終わったし教室のところから撮ろうか!」


「わ、わかった…!」


「りょーかい! あ、クラスの子何人か残ってもらってるからー」


「お、さすが! ありがとー! 詩織ちゃん以外は個人がわからないように、顔面正面から撮らないように教室で位置調整するねー」




そう言ってクラスに向かおうとすると、後ろから大人の人が台車に機材を載せてやってきた。




ええ? そんな本格的に撮るの??




「な…直人くん、あれは……」


「あ、うん、ライトとか反射板とか諸々!」


「やばー、めっちゃ本格的じゃんー!」


「芸能事務所ってこんなのもあるんだね…」


「あ、いや、うちの会社には実はないんだけど、親父の知り合いの撮影会社に貸してもらった!」


「そ…そうなんだね……」




と、話しつつ、とりあえずクラスに向かうと、すれ違う生徒が皆、「なんだなんだ?」みたいな感じでこっちを見る。


なんか見られることは慣れてるけど、こういう別の注目のされ方はなんか緊張する…


クラスにつくと、5人ほどの子が残ってくれていた。


直人くんが、持ち前のコミュ力でその子たちに「この席でこっち見てこんな感じで」みたいなのを伝えた。


ただ、少し人が足りないかもってことで、協力者探してくる! と教室を出ていき、5分ぐらいで3人ほど女の子を捕まえてきた。


まぁ、協力者をみつけるって言ってたけど…もはやナンパだね……全員女子って辺りが特に……




そして、詩織が一番映る席に移動し、ライトや反射板を設置して、私はクラスの外で待機した。




そして直人くんの合図とともに、少し遠いところから普通に歩いて、クラスのドアを開けた。



が、目の前にカメラがあってギョッとしてしまった…


すると直人くんが、




「はーい、ちょっと待ってねー! 雪菜ちゃんごめんね! カメラの位置今度から教えるね!」


「ご…ごめんなさい……」


「いやいや、大丈夫!」




と、私がやっちゃったみたいな感じでうつむいて話してると、




「くくくくく……(笑)」


「あーー詩織笑わないでよーーー」


「いやだって、めっちゃギョッとするんだもん! ウケちゃった」


「うぅ…」




そうして、次でクラスの撮影はうまくでき、学校内で詩織と一緒に何カットか撮影した。


その後、学校の更衣室で持ってきた私服に着替え、同じく高校で私服に着替えてきた彩春と街中で撮影した。




そうして、出来上がった動画を見た時、正直びっくりした。


りのあちゃんは凄いハツラツとして明るい今時のモデル女子って感じになっていて、私はもはや深窓の令嬢だ…。


この動画をみた彩春はテンションがすごいことになり、りのあちゃんに私の仕草や喋り方を教えていることもあり、俄然やる気になっていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 歯牙にもかけられてない事は承知してるんですけど、直人がりのあや雪菜の近しいとこにいるとモヤモヤしますねぇ…… 三バカは近くにいようが、どうでも良いんですけど(笑)
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