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ギャップとは

そんな莉乃愛がステージから退場した後も、会場はずっとざわついていた。


すると、




「幼馴染くんよ~」




と、撮影していた男子が自撮りモードにして話かけてきた。




「あ、うん、どうしたの?」


「菅谷終わったし、もういい? 流石に腕がやべー」


「あ、うん、大丈夫…だよ。ありがとう」


「おっけおっけー、しかし菅谷すごかったなー」


「そ、そうだね…」


「こりゃもう勝ったも同然だわ!」


「そうかもね…」


「んじゃスマホ三好に返してくるから、じゃーなー!」




そういうと、ビデオ通話が切れた。




俺はそのまま、莉乃愛ってあんな演技みたいなこともできるんだなぁと思いつつ、いつも通りネットを見ていた。


暫くネットを見た後、そろそろソロ配信でもしようかなとゲームを立ち上げたところで、再び華蓮さんから着信のポップアップが出た。




「あ、か、華蓮さんどうしたの?」


「お、あっくん! 結果発表だよ!」


「え、あ、そうなんだね…」


「ほら、お前ちゃんと撮れ!」




と、画面が揺れると再び、




「幼馴染く~ん、再びの撮影係だよ~~」




と、げんなりした顔で男子が顔をのぞかせた。




司会1:「さーそれでは結果が出ました!」


司会2:「恐らくこのような結果になったのは初めてではないでしょうか!」


司会1:「まずは男子の第1位は………………………3-5 神原俊介さんです!!!!!!!!!!!!!!!!!」




と、司会が言うと、恐らく3‐5の子たちがいるであろうあたりがワーッと盛り上がった。




司会2:「神原さんは、昨年は生徒会長も務めた学年でもトップクラスの優等生なんですが、その優等生がありがちなヤンキーになるのではなく…なんとピン芸人のようにアホになる感じで大いに盛り上がりました!」


司会1:「本当ですよね~、まさかのピン芸人でしたが、きっと練習したんでしょうねー」


司会2:「きっとそうだと思いますよ~。面白かったですもん!」


司会1:「ちなみに2位は3‐3水谷さん! 3位は3‐8田原さんでした!」


司会2:「陰キャとボディビルダーですね!」


司会1:「そうですね! どれも結構ギャップがあって、男子の3位までは結構僅差でした!」


司会2:「はい! そして続きまして、女子の発表です!」


司会1:「えーっとですね、我々この発表を盛り上げるの結構大変なんですが…」


司会2:「そうなんですよね…だって皆さんわかってしまってると思いますもん…」


司会1:「とはいえ、女子第1位は3‐8菅谷莉乃愛さんです!」




と司会が発表すると、「ワーッ」と盛り上がる感じじゃなく、「だよね~」みたいな感じだった。


あ、一部華蓮さん達は「りのあ最強!」みたいな感じで大盛り上がりだけど。




司会2:「えっとですね、女子は投票数の8割以上が菅谷さんに投票されてまして…これたぶん3年生のクラス票以外、全部菅谷さんに行っちゃったみたいな感じです…」


司会1:「まぁでも、動画も本人もちょっとクオリティ差がやばかったんでしょうがない気もします…」


司会2:「そして第2位は3‐1松原さん、第3位は3‐5姫嶋さんでした!」


司会1:「それでは1位だったお2人に再度ご登場いただきましょう!」




そう言うとステージの脇から短パンノースリーブスの男子生徒が出てきて、逆脇から雪菜さんな莉乃愛が出てきた。





司会1:「では、まず神原さん男子1位おめでとうございます! 感想をどうぞ!」




とマイクを司会が渡すと、そのマイクを受け取らず、




「じーーーーーざーーーーーーーーーーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!!!」




と叫んだ。




普段を知らないからわからないけど、すごいギャップがあるんだろう…。


俺がもしやれと言われたら無理だ…。




司会2:「相変わらず体張ってますね…俺ここまでやりきれないかもしれません…」


司会1:「で、では女子1位菅谷さん感想をお願いします!」




そういうと司会は莉乃愛にマイクを渡した。




「皆ありがとう、う、うれしいです」



とニコッと笑った。




すると、会場は再び大歓声に包まれた。


まぁ確かに普段の莉乃愛と比べるとギャップがすごいもんな…




司会2:「いやー、相変わらずすごい破壊力ですね…」


司会1:「ほんとうです…。す、菅谷さんも神原さんも一度いつも通りにしていただけないですかね?」




と司会が言うと、




「ん? あーいいよー」


「はい、なんでしょう」




と二人が、いつも通りに戻ると、会場が沈黙に包まれた。




司会2:「いや、なんかこう皆さんの気持ちわかります…」


司会1:「ギャップってこういうことなんだろうなとは思いますが、目の前でそれが起こると言葉が出ないですね…」


司会2:「ちなみにここからさっきの状態に戻れますか?」




と司会が言うと、




「は…はい、大丈夫です!」




と莉乃愛がニコッとして言って、




「じゃーーーーーーーーーーーーーーーーすてぃーーーーーーーーーーーーーーす!!!!!」




と男子生徒がマイクを使わず叫んだ。




司会1:「えっとあれですね、このギャップコンテストのコツはやり切ることですね…!」


司会2:「そ、そうですね! 2年生の方々来年の参考にしてください!」


司会1:「それでは、これでミス&ミスターコンテストは終了とさせていただきます!」


司会2:「閉会式まで少し時間がありますので、そのまま体育館でお待ちください!」




と言い、司会が二人を連れてステージから降りると、ワーッと女子生徒がそこに殺到した。「菅谷先輩、清楚バージョンで写真撮ってください!」みたいな声が聞こえる。


暫くすると「はいはーい! りのあと写真撮りたい人はこっち並んでー! 撮ってあげるからー!」と華蓮さんの声が聞こえてきた。


本当マネージャーみたいだな…




「幼馴染くーーーーん」


「あ、ご、ごめん、ありがとう、もう大丈夫だよ」


「りょうかーい! っても、三好、いまあの集団の中だから返せないんだけどねー」


「あ、うん、声聞こえたね…」


「まぁともあれ、菅谷はぶっちぎり1位だったな!」


「田原くんも…お、おしかったね…」


「いやー、もうちょっと動画頑張ればよかったわ(笑) ま、楽しかったからいいけど!」


「そ、そっか…」


「んじゃ切るなー! じゃなーー」




俺はふぅと一息ついて、持ってきていたお茶を飲み、なんか凄かったなぁと思いつつ、今は配信する気分じゃなくなったので、配信しないでOPEXを始めた。


そして1時間経たないぐらいで、莉乃愛から着信の通知がポップアップした。


ちょうどマッチング待ちだったので、そのまま通話に出ると、




「あ、でた!」


「どうしたの?」


「今配信してないでしょ!」


「あ、うん、よくわかったね…」


「チャンネル見たからね!」


「あ、なるほど」


「あっくん、この後打ち上げあるんだけどさ!」


「………行かないじゃん……」


「来るじゃん!」


「いやいや、俺全然関係ないじゃん…」


「わたしが1位だったんだよ?」


「み、見てたよ。すごかった」


「わたしが1位じゃん? あっくんも来るじゃん!」


「ど、どういう連立方程式それ…」


「え? ちょっと難しいことは分かんない! でも直人も来るし! あっくんも来るって伝えちゃったし!」


「いやいや…直人は動画作ったからまだしも…」


「ちな、雪菜と雪菜の友達も来るよ! 雪菜の動画に出てたから!」


「な…なるほど…まぁでも俺が関係ないことには…」


「田原のモデル誰だっけー?」


「…」


「ほら関係者! ってことでURL送っとくね!」


「いや、ちょ待って、俺今日配信まだしてないし…」


「雪菜も配信あるからって途中で帰るらしいから、その時に私たちも一緒に帰ればいいじゃーん!」


「ぐ……」


「特別に! 来てくれたら!! スノボ免除してあげてもいいよ??」


「え、おれ見たよ?」


「まぁそれはそれ、これはこれ!」


「……スノボは絶対行かないからね……」


「んじゃよろ!」




と伝えられると、電話が切れて、URLが送られてきた。




なんか、雪菜さんみたいな莉乃愛を見た後だと、逆にいつもの莉乃愛だと安心してしまい、俺はマッチング中のOPEXを途中で止めて、外に出る準備をした。

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[良い点] 「あっくん、この後打ち上げあるんだけどさ!」 「………行かないじゃん……」 「来るじゃん!」 「いやいや、俺全然関係ないじゃん…」 このやり取り好きw [一言] 男子生…
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