神よりの天才
ここまではリライトベースで構成しましたが、この話辺りから完全な再構成になります
そしてその週の土曜日、場所はうちのマンションのパーティールーム。
「二人には軽くLIMEで説明しておいたけど、今回うちの親父の会社で機材は手配してくれることになったから、それで撮影するね!」
「おっけー!」
「わ…わかりました…!」
「んでこれが動画の構成案なんだけど、見てもらっていい?」
と、直人がプリントを全員に配った。
プリントには、莉乃愛と雪菜さんのそれぞれの動画構成案が、簡単な絵コンテつきで記載されていた。
「一応普段の二人のイメージを崩さず、雰囲気を際立たせる感じで作ってみたんだけど…」
と直人が言うと、華蓮さんが、
「めっちゃわかりやすいいいいいいいいいいい! てかめっちゃ本格的な雰囲気がするーーーーーー!」
と言った。
「な、直人、大筋の構成は問題ないと思うんだけど、もう少し二人とも私服のカットいれれないかな? んで、当日りのあが動画の雪菜さんと全く同じ服で出ればよりインパクト出るかなと」
「たしかにな…」
と直人が考え出した横から、驚愕の表情の華蓮さんが、
「あっくんは、天才すぎるのか? もしかして神よりの天才?」
と言った。
神よりの天才ってなに…もう全く意味が分からないんだけど…
と思っていると莉乃愛が、
「それいいねー! 雪菜どんな服にするー?」
「いつも通りな感じでいいんだよね?」
と雪菜さんが聞くと、
「いつも通りでいいんだけど、雪菜ちゃんは清楚を際立たせる感じで、りのあちゃんはギャルっぽさを際立たせる感じがいいかなと…」
と、直人が回答した。
それをみんなが聞くと、
「りのあの清楚まじで見たいーーーーーーー!」
「菅谷先輩をおねーちゃんにします!」
と、華蓮さんと彩春ちゃんが一緒に目をキラキラさせていた。
そして女子4人は、どんな服にするかを相談しだしたので、後ろから雪菜さんにこそっと、
「雪菜さん実写になりますけど大丈夫なんですか…?」
「あ、うん。別に顔隠して学校行ってるわけでもないし、今まで通りだって言うし、特にどこかに公開するわけでもないっていうからさ」
「そうですか、一応多少声も入っちゃいますけど大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ(笑) 太田さんにも聞いてますが、全く普段喋らないわけじゃないので」
「それもそうですよね。なんかすいません…」
「いえいえ、それにうちの学校は文化祭はないので、なんか少し楽しみかな!」
「それならよかったです…りのあに押し切られたりしてた…」
と、俺が途中まで言うと、
「あーーーーーーーーー! あっくん、わたしがそんなことするわけないじゃん!!!」
と莉乃愛がジト目でこっちを見ながら言った。
「いやだって、俺への交渉は全て押し切りだからさ…」
「それはあっくん限定! 雪菜にはしません!」
「あ、うん! 動画撮るのは少し恥ずかしいけど、なんか私になったりのあちゃん見てみたいかも!」
「おねーちゃん、任せて! 私が完璧に菅谷さんを仕上げるから!!!」
と親指を立てながら彩春ちゃんが言って、そしてまた4人で洋服について話し合いだした。
俺は直人と当日のことも考えて時間内でどうみせるかと話し合いながら、動画構成案を詰めた。
しばらくすると、莉乃愛と雪菜さんが部屋を出ていった。
そして、
「こんな感じでどう? いけそう?」
と部屋に戻ってきた莉乃愛は、雪菜さんが今日着ていた服を着ている。
雪菜さんは今日は別に撮影とかではないので、白色のブラウスに黒色の長めのスカートをはいていて、それをそのまま莉乃愛が着ている。
てか服だけでこんなに雰囲気変わるんだ…
でも、美人って何着ても美人なんだな……。
と俺が思っていると、
「あ、ちなみに雪菜に私の洋服着せてみた!」
と莉乃愛が言うと、莉乃愛の後ろから雪菜さんが出てきた
「ど…どう……?」
そう言いながら、雪菜さんが入ってきた。
もちろん莉乃愛はそれっぽい洋服を家でチョイスしたんだろうけど、タイトめで短めの少しAラインになった巻きスカートに、少しダボっとしたボーバリーの長袖ニットを着ている。
すると、沈黙していた華蓮さんと彩春ちゃんが、
「清楚りのあ、ありよりのありすぎるううううううう!」
「やっばああああああああああああああああああ! おねーちゃん、めっちゃかわいいいいいいいいいいいいい!」
と、りのあと雪菜さんにそれぞれ抱き着いた。
「ちょちょっといろは…。あんまり短いスカート着ないから慣れないね…」
「わたしもなんかこうむず痒い感じがする……」
「でも、なんか自分自身新鮮だよ(笑)」
「わたしもーーーーー(笑) てか身長も近いし、体型もそんなに違わないから普通に洋服交換できるね!」
「よかった!」
と二人が話してると、彩春ちゃんと華蓮さんも加わり、もっとあんな服はないのかと話し出した。
雪菜さんが莉乃愛の服を着る話は、本線から大きく外れているのだが…
「いやー、あれだな、もの凄いギャップだな……」
「あ、うん、二人とも、洋服だけでこんなに変わるとはすごいね…」
「こりゃ動画も作り甲斐がある」
「最近忙しくて撮影とか協力できなくて悪いんだけど…」
「問題ない。いざとなったら親父の会社の人に手伝ってもらう!」
直人はそういうと、修正した構成案をパソコンに打ち始めた。
「受験前に悪いな直人」
「ん? ああ、それは問題ない。余裕だから」
「慶都大だっけ」
「うん、まぁ帝大でもいいんだけど、ちょっと堅そうだからさ。新は結局どうすんの?」
「んー悩んでる」
「帝大か帝工大だっけ?」
「いや、大学に行くか行かないか」
「そこかよ…行かないって選択肢あんの?」
「大学に行かなきゃできないってことがない気がしてる」
「あるぞ、合コンとかサークルとか」
「どれも大学の本分からは離れた内容だな」
「んーまー確かにな」
「親は?」
「好きにしろだって」
「お前ん家の親らしい(笑)」
と直人と二人で話しながら、女子4人の「当日りのあのメイクをどんな感じにするか」という議論を微笑ましく眺めていた。
その後、修正した構成を再度みんなに見てもらい、撮影の候補日を決めてその日は解散となった。