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閑話【菅谷莉乃愛視点】5階からの景色

海最高に楽しかったな~~、そんなことを思いながらわたしは撮った写真を見返していた。


あっくんは普段陰キャ生活なので、あまり外の環境に長い間いれないっぽいから、あんまり写真には写ってないけど。


でも、何枚かツーショットも撮れたし、僥倖すぎるー。



しかし、西の中里の雪菜はめちゃくちゃ可愛かった。


優しい雰囲気で、スタイルもいいし、めっちゃ可愛い。ありゃ噂されるね。



しっかし、どこに行っても面倒くさい奴等はいっぱいいる。


正直今回の女子メンバーは全員様々な種類の可愛いや美人が集合しているから、多少は大変かと思ったけど、全員合わせたら本当砂浜にいた男全員に声かけられたんじゃないかと思える。


まさかの華蓮に店員まで声かけてたし…。




「りのあー」




お母さんがリビングで呼んでいる。


わたしは部屋から出て、リビングに向かった。




「んー? なにー?」


「あ、りのあ、耳寄りな情報よ~」


「えー、なになに?」


「今週末8月最後の土曜日なんだけどさ、近くの駅前でちょっとしたお祭りあるのよ~?」


「!!!!!!!!!!! まじ????????」


「まじまじ~」


「行くしかない!!!!!!」


「浴衣、レンタルしたら~?」


「ありよりのあり!」


「駅前の美容室で着付けとかもやってくれるよ~」


「ありよりのありよりのあり!!! お母さんありがとう!」


「いいえー! ちなみに誰と行くの?」


「そりゃもちろんあっくん!」


「あはは(笑) お母さんりのあに新が連行されていくの見るの好きなのよね~」


「あはは、ウケる!」


「じゃあ、新には内緒にしておくね」


「うん!」




そう言うと部屋に戻り、早速レンタルの浴衣を選んで注文した。



そして、お祭り当日となった。


昨日のうちに美容室に浴衣は持って行ってあるので、あっくんにはまだバレてない。


てか、あっくん大体ゲーム配信やってるから、ほぼバレる可能性ないんだけど。



そして、夕方前に1人で家を出て、美容室で着付けてもらってヘアメイクをしてもらった。




そしてお母さんに、「そろそろ終わるから作戦通りよろしく!」とメッセージを送ると「了解スタンプ」と返ってきた。



そして、20分ぐらいすると、あっくんが美容室にやってきた。




「いらっしゃいませ~」


「…あ…あの……菅谷という高校生ぐらいの女の子どこにいますかね? 忘れ物があると届けに来たのですが…」




そういうあっくんの手には、わたしが意図的に忘れた、カゴバックの入った紙袋を持っている。




「っじゃん!!!!!!!!!」




と言って裏から出てくると、




「……こ、これ、、んじゃ……」


「ちょっと! どこ行くのよ!」


「いやだって忘れ物届けに来ただけだし…」


「いや、それ忘れてなかったし」


「え? 家にあったよ?」


「ふふん、あっくんに持ってきてもらう為に置いて行ったんだし!」


「なぜ…」


「夏じゃん?」


「………………………………読めた……」


「ほう、では次にわたしはなんと言うと!」


「………祭りじゃん………」


「正解!!」


「ですよね……」


「行くじゃん?!」


「そうなりますよね…」


「ということでお祭り行こうぞー」


「了解しました…」




あっくんにしては諦め良く納得してくれた。




「ってかどお??」




そう言って、あっくんの前で後ろを向き、後ろをのぞく感じであっくんを見ると、




「っつ……な…なんかいつもと違う感じで似合ってます…」




と下を向きながら言った。


まーーーーじーーーーでーーーーー! 着付けまでしてもらって正解すぎるんだが!! テンアゲすぎるんだが!!



下を向いてるあっくんを、今度は下から覗き込むと、顔を赤くして後ろを向いてしまった。




「似合ってるでしょー!」


「り…りのあは何着ても似合うと思うよ……」


「あっ…ありがとう……」




嬉しいが恥ずかしい!


そんなことを思いつつ沈黙してしまったので、




「い…行こう!!!」




そう言ってあっくんの手を引いて美容室を出た。



小さなお祭りだから、あっくんと二人でゆっくり回った。




「ねーあっくん」


「ん?」


「お祭りは結構すんなりオーケーしてくれたね」


「んーまぁそうだね」


「なんで?」


「夜だから」


「…」


「陰キャな俺には結構重要なことなんだよ…日の光が当たらないこと!」


「そ…そっか…!」




そうやって二人でお祭りを見て回っていると、二人の男の子と女の子が手を繋いで走っていた。




「わたし達も昔あんなかんじだったね~」


「…ソウダネ」


「覚えてないんでしょ?」


「…ハイ……」


「あーあ、男子ってこれだから!」


「ご…ごめん……」


「わたしが好きだったこととか覚えてる?」


「5階から見る景色が好きだった!」


「お、せいかーーーーい! そう言えば、まだあっくん家にお世話になり始めてから一回も見てないな」


「そうだったんだ、てっきりもう見に行ったのかと思ってた」


「帰ったら見に行こう!」


「え、あ、まぁいいけど…」




そうして二人で家に帰り、5階の階段に座って、景色を眺めた。



マンションのひらけた空間の向こうに見える、高層ビルの光。

昔と違って今は夜だから、より綺麗に見える。



やっぱり好きだなぁこの景色。




昔と違って手は繋げなかったけど、昔と同じように二人で並んで座って景色を眺めた。

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