謎チョイス
そんなことをみんなで話しながら、休憩したら皆は再び海の方に行った。
俺はずっと海の家にいるつもりだったのに、途中莉乃愛が戻ってきて強引に連れてかれて膝ぐらいまで海に入った。
確かに膝ぐらいまで海に入ると結構気持ちいい。
ただ、海から出てる特に肩辺りがジリジリと熱い。本当に熱い。
そんな俺の目の前では、同じく膝ぐらいまで海に入った莉乃愛と雪菜さんが二人で写真を撮ってた。
こういうのを絵になるって言うんだろうな。
俺はそんな二人後ろ姿を、何となく写真を撮った。
そして、俺は海から上がると、海の家の定位置でスマホをみていた。
OPEXで新キャラが導入されるようで、その紹介動画や解説動画なんかをみながら待っていると、皆が戻ってきた。
「新―、ちょい早いけど、戻ろうぜー。皆夕飯の前にシャワー浴びたいだろうしー」
「わかった」
そう言うと、皆で海の家に置いてあった荷物をもって俺達は別荘へと海辺を歩いた。
別荘につくと、女子からシャワーを浴びるということで、俺と直人は外にあると言われたバーべーキューコンロなどを探しに行った。
バーベキューコンロをみつけて、テラスに移動し、炭やテーブルも移動してきた。
あらかたテラスに移動できたので、まだ外は相当暑いので設営はもう少し日が落ちてからやろうと、リビングで直人の親父さんが買ってきてくれていたお茶を飲んでいると、奥から雪菜さんが出てきた。
俺達がリビングにいることに気が付いた雪菜さんは、一瞬の沈黙と硬直の後、下を向いてダッシュで階段に向かっていった。
しかし途中で止まり、
「わ、私で最後なのでシャワーどうぞ!」
とだけ言うと、再びダッシュで2階に上っていった。
「新、もうあれだな、雪菜ちゃんは何もしなくても超絶美人だな…」
としみじみと直人が言うので、「おれもそう思う」と返しておいた。
その後、俺と直人もシャワーを浴びてリビングに座っていると、2階から莉乃愛と華蓮さんが降りてきた。
「もうすぐ他の三人も来ると思うよー」
と言いながら、直人の親父さんに「飲み物ありがとうございまーす」と言って、華蓮さんと二人でソファーに座った。
「いやー、しかしめっちゃ写真撮ったねー! りのあこれめっちゃ盛れてなーい?」
そう華蓮さんが自分のスマホを見ながら言うと、莉乃愛もどれどれと華蓮さんのスマホを覗き込み、二人でワイワイ話し出した。
そしてしばらくすると、雪菜さん達も降りてきた。
「んじゃ、女子は親父の車のって買い出しを! 男子は設営の続きと火おこしを」
と直人が言うと、直人の親父さんが、
「んじゃ、皆スーパーまで連れてくからこっち来てー」
というと、直人が、
「親父、勧誘禁止だからな! 全員!」
「わかった、わかったー」
そう言いながら、直人の親父さんに続いて女子たちが出ていった。
「直人あれだな、お前は親父さんの血を色濃く継いでるんだな」
と俺が話しかけると、
「なんでだよ、見た目は母ちゃんに似てるって言われることの方が多いぞ」
「いや、中身が。お前と親父さんのやり取り、お前と茜ちゃんのやり取りまんまだぞ」
「はっ…なんてことだ…」
「とりあえず、準備するか…」
「おう…」
そう言って二人でテラスに出て、バーベキューコンロをセットして、テーブルや椅子を適当な感じで設置し、炭に火をつけた。
俺は炭に火をつけたことなんてないので、ほぼ直人がやってたが…。
火もついたかなーというぐらいのタイミングで、別荘の中に女子たちが買い物袋をもって入ってきた。
「おかえりー! こっちは大体準備できてるよー!」
そう言って直人がテラスから声をかけると、
「ちょっと野菜の仕込みだけしてから行くー」
と、茜ちゃんが答えた。
暫くすると、莉乃愛と華蓮さんがテラスに出てきた。
「茜たちはー?」
と直人が聞くと、
「今野菜切ったりしてくれてるー」
「あ、そうなんだ。どうかした?」
「え、ん、あーなんか手伝おうかなって? ね、華蓮?」
「え、あ、う、うん、そう!」
とちょっとしどろもどろ答えるので、
「りのあ、もしかして戦力外通告…?」
俺がそう聞くと、
「ち、ちがーう! 雪菜がちょっと危なっかしいからって!」
「そ…そう! 決して料理ができないわけじゃないんだよあたし達!」
「「…」」
俺達が沈黙していると、
「あーー! そんな目で女の子を見て……」
と莉乃愛が言いかけた途中で、機転を利かせた直人が、
「あ、ほ、ほら、お肉あるからさ、串に刺したりしようよ!」
「「それだ!!」」
と莉乃愛と華蓮さんは二人で返事した。
その後炭にも火がついて、野菜の仕込みも大体できたと、皆が外に出てきた。
辺りはもう夕焼けになってきており、普段なら夕飯を食べるにはまだ早い時間だが、The海辺の別荘でバーべーキューみたいな感じになった。
「やっばー、夕焼けめっちゃ綺麗―」
と莉乃愛が言うと、
「本当だね~」
と雪菜さんが答えた。
「ねーねー、今のうちに全員で写真撮ろうよ! 夕焼けの海を背景にって映えそうじゃない!」
と、莉乃愛が言うと、
「最&高!!!!!」
と華蓮さんがいい、直人が親父さんを呼んできて、海を背景にテラスに並んで、全員で写真を撮った。
茜ちゃんのスマホで撮ったので、茜ちゃんが見に行くと、
「えー私たちめっちゃ青春している感じがするー!」
と彩春ちゃんが言い、皆「送って送って」と口々に言いだした。
そして、再び始まった夕日の浜辺撮影会を横目に、俺と直人はバーベキューの材料を焼きだした。
辺りにいい匂いがしてきたころには、もう夕日は大分沈み夜へと近づいていた。
そしてみんなでワイワイしながらバーベキューを食べてるいると莉乃愛が、
「バーベキューと言えばこれでしょ!!」
と言って、ヌードルカップのカレー味を出してきた。
しかもBIGだし…。
「え…?」
と俺が反応すると華蓮さんが話し出した。
「いやー、バーベキューなのにヌードルカップって組合せはないでしょー」
「ええーそうかな?」
「それお湯どうするの?」
「んー… あ! 家の中で沸かしてくるわ!」
と言って別荘に入っていった。
その場にいた全員が、「バーベキューとは」という疑問を思い、しばらく沈黙した。
とりあえずなにもなかったかのように、みんなバーベキューに戻ってしばらくすると、家の中から莉乃愛が出てきた。
「カレーヌードルうっまー!」
と言って、既にふたを開けて食べていた。
「華蓮も食べてみ―!」
そう言って強引にカレーヌードルを渡された華蓮さんは一口食べると、
「う…うまい…! むかつくがうまい! なぜだ!」
と言ってカレーヌードルを莉乃愛に返した。
「ほらみんなも!」
と言って女子が順番でカレーヌードルを食べると、皆納得できていないが、その美味しさにびっくりしていた。
「男子の分はないよー!」
と莉乃愛が言うと直人が、
「なー新よ、後でカレーヌードル買いに行かねーか…」
と言ってきた。
俺は「はぁ」とため息をつくと、好きにしてくれと伝えて、持っていた串焼きの肉を食べた。
そんな、莉乃愛の謎チョイスによる、謎に魅惑のカレーヌードルを挟みながら、皆でバーベキューを楽しんだ。