海辺の別荘
そんなことを話しながら途中でコンビニ寄ったりもしながら、車は目的地の別荘についた。
車を降りると、そこには2階建ての白い綺麗な建物。
そして建物のすぐ後ろには海が見え、駐車場の位置からでも波の音が聞こえる。
「やっばああああああ! 華蓮海が近いよーーーー!」
「やばーーーーーい! 早く中はいろーーーーー!」
「華蓮写真撮ろー!!」
と、莉乃愛と華蓮さんの二人で自撮りした後に、車から降ろした荷物をもって、中に向かった。
それを見ながら、雪菜さんがやってきて、
「湯月くん、すごいねこれー。いつも来てるの?」
「え…いや、毎年直人には誘われてたんだけど、毎年断ってて…。」
「えー、もったいなーい! こんなに綺麗だし、すごくいいところじゃん!」
「ゲームばっかりやってたからさ…」
「まぁそれに関しては私もあんまり変わらないんだけどね…(笑)」
と雪菜さんと話していると、
「お姉ちゃん、なーんにも高校生っぽいことしてないから、ちょっと強引に交渉したの!」
と、ふふん! と言った感じで彩春ちゃんが話しかけてきた。
「まぁ確かに雪菜さんぐらいがっつりバーチャル配信者として配信してると、休むってタイミング難しいですよね」
「そうなんですよー。それでいろはが誘ってくれたんでいい機会かなと思いまして…アークさんも来るって言うし……」
「お姉ちゃん洋服も水着も新しく買ったんですよ~?(ニヤニヤ)」
「あ、いろは! ちょっとーー!!」
そう言って二人は荷物をもって別荘の方へ走っていった。
俺も中に入るかと思い荷物を持ち、直人と茜ちゃんと別荘へ向かった。
別荘の中に入りリビングに向かうと、そこは一面ガラス張りのオーシャンビューだった。
なんちゃってオーシャンビューじゃなくて、ガチのオーシャンビュー。
リビングの前面と側面が一つ全てガラス張りになっており、側面の窓の外にはテラスがあり、そこにはプールが付いていて、全面の外には少し砂浜がありすぐ海だ。
「あっくん! やばすぎーーーーーーー!」
ソファーに座っっていた莉乃愛が話しかけてきた。
「まじでテンアゲなんだけど!」
「りのあ好きそうだよねこういう感じ…」
「最&高!!!!」
「それならよかったよ…」
「あっくんも流石にテンアゲなんじゃないの?」
「えっと…暑そう…」
そうなのだ。
目の前が海で全面ガラス張りなので、もはや遮るものがない日光が部屋全体を直撃しているのだ…
エアコンが付いているから、気温自体は涼しいけど、もはや部屋の中でも日焼けするんじゃないかと思う…
一体どこでパソコンを開けば…
「たしかに! これ屋内でも焼けるかも! 一応日焼け止め塗ろう!」
と、莉乃愛が言うと、女子たちが「確かに確かに」とカバンをガサゴソしだした。
俺が伝えたかったこととなんか違う感じだけど…
そうして女子たちが日焼け止めを塗っていると、直人の親父さんが入ってきて、
「とりあえず、夜はバーベキューにしようと思ってるから、夕方ぐらいに皆で材料を買いに行く感じでいてねー。お昼は考えてないから、近くのビーチの海の家とかもあいてるし、皆好きにやる感じでいいよね?」
と話しかけてきた。すると直人が、
「オッケー! 夕方の買い出しは女子たちに行ってもらって、俺と新は焼くところやら食べるところやらを準備する感じで行くわー」
「わかったよー。じゃあ時間まで俺はここで仕事してるから、なんかあったら声かけてー」
そう言うと、直人の親父さんはカウンターキッチンにパソコンを置いて仕事しだした。
そこ、俺が狙ってた場所なのに…
「んじゃ、皆早速海行こうぜー! 女子は2階で着替えてー! 2階には2人部屋と3人部屋があるから、適当な感じでよろしくー! そのまま女子は2階で寝てもらうからー」
と直人が言うと、
「りょーかい!」
と莉乃愛がいい、華蓮さんと二人で荷物をもってあがっていった。
その後を、「わたしたちもいこー」と彩春ちゃんを先頭に雪菜さん達があがっていった。
俺は備え付けのwifiを見つけたので、早速繋いでゲームでもやるかと思いパソコンを取り出すと、直人が、
「おい、新。お前、何を始める気だ」
「え、ゲーム」
「は?」
「え?」
「ガチで言ってんの?」
「他にやることないし…」
「……暫く没収する!!!!!!」
そう言うと、直人は開きかけていたノートパソコンを取り上げ、2階に向かって、
「りのあちゃーーーん! まだ着替えてない―???」
と下から呼びかけると、
「うんー! みんなで写真撮ってたー!」
「ちょっとさー、新からノートパソコン没収したからりのあちゃんの部屋にでも置いといてくれないー?」
と、直人が言うと、バタバタと上から足音がして、莉乃愛が降りてきた。
「グッジョブすぎる!」
そう親指を立てて、莉乃愛は直人に言った。
「あっくん、この期に及んで早速ゲームとはいかんよ!」
そう言うと、俺のパソコンをもって二階に戻っていった。
「新、そういうことだ。諦めろ。パソコンが欲しくば、女子がいない時に、女子の部屋に忍び込むしかねぇなぁ(ニヤニヤ)」
「お…お前……」
「折角来たんだし、いつもとは違うことやろうぜ! ほら水着ぐらいあるんだろ!」
「…一応……」
そう言ってカバンから水着を取り出すと、
「タグ付いたままって…お前水着着る気一ミリもなかったんだな…」
「ま…まぁ…」
「ほら、さっさとトイレででも着替えてこい! 俺はこの半ズボンが既に水着だから!」
そう言って、トイレの方に水着を投げられた。
もう抵抗をあきらめて、俺はトイレで水着に着替えリビングに戻ると、直人も水着になっており、んじゃ先に外出てるか。
そういうとテラスのドアから外にでた。
「新よかったな~、お前サンダル持ってきてないだろうけど備え付けのサンダルあったわ!」
そう言ってテラスの脇からサンダルを投げてきたのでキャッチして、そのサンダルを履いて外に出た。
あっつ………
やばすぎでしょこれ……
「とりあえずあそこに見える近くのビーチまで、皆で歩いていこうぜー! あっつ! 砂めっちゃ熱い!」
砂浜に足を踏み入れた直人がそう言うので、俺も砂浜まで出た。
こんな熱い砂の上歩いて行けんの…?!
俺、記憶がないぐらい小さい頃に一回海にいったことがあるらしいが、それ以来海に来たことなどなかった。