東西合流
莉乃愛と華蓮さんと直人は3人が話していると車の後部座席のドアが開き、中から中里姉妹と直人の妹の茜ちゃんが降りてきた。
「湯月くんおはようー」
そう言って俺にあいさつした雪菜さんは、白色のなんかフリルっぽい飾りが胸元とかにあるノースリーブで、スカートがAラインに広がった膝上丈のワンピースに、手には麦わら帽子を持っている。
なんか品があふれてる…。
もはやアニメのヒロインだ…。
もう、これは見れない。見ちゃいけない。見たらもう緊張がMaxになって爆発する気がする。
しかし、
「ど…どうかな…?」
と雪菜さんが聞いてくるので、
「ひ…非常に…よく似合っていると……」
「ふふ、よかった」
そう言うと、彩春ちゃんの方に向かっていった。
すると、直人の親父さんが近づいてきて、
「直人と茜の父です。 湯月くん直人から前から聞いてて会ってみたかったんだよね~」
と話しかけてきたので、
「…っ……初めまして…今日はよろしくお願いします……」
「大丈夫大丈夫―! 直人から基本人とは喋れないって聞いてたから慣れたらで(笑)」
「す…すいません……」
そう直人のお父さんと話していると、隣が女子集団となり話し出していた。
「本当に菅谷先輩がいるー! 三好先輩も一緒なんですねー!」
「やっほー!」
と莉乃愛が返すと、
「てかあかね、わかってたけど写真映えがっパない!!!」
と彩春ちゃんが茜ちゃんに話しかけた。
「いや、まじでやばいよねぇ! 三好先輩も人気あるしねー!」
と、茜ちゃんが言うと、華蓮さんは、
「本当あのクラスのバカどもに聞かせてやりたい…録音しようかな……」
そう言うと女子たちは「あはは」と笑い出した。
その時雪菜さんが、
「菅谷さん初めまして。中里雪菜です」
と、初対面なので莉乃愛にあいさつした。
「あ、初めましてー! 菅谷莉乃愛です! 不本意なことに東の菅谷です!」
「私も不本意なことに…西の中里です…」
「本当だよねー! なんか番長みたいで嫌だよねぇーーー!」
「そうなんです…。友達にも西の中里さんって言われるし」
「わたしもわたしも! でもさ、あれうちのクラスの男子が言い出したらしいんだよねー」
「あ、そうなんですね…」
「本当バカでごめんねー」
「あ、いえいえ! 別に菅谷さんが悪いわけじゃないですし!」
「敬語じゃなくていいよ~同じ年だし! 折角だし仲良くしようよ!」
「あ、う…うん! よろしくね!」
「ねぇねぇ、バーチャル配信者って…」
と雪菜さんと莉乃愛が話だした。
すると、トランクに荷物を載せていた直人が俺の横に来て、
「新―、うちの妹を除くこの美女率はやばすぎだろぉ。華蓮ちゃんもめっちゃ可愛いし…ナンパとかさばくの大変そうだなこれはー」
と、俺に言うと、
「はぁ?!?! 言っとくけど私もそこそこモテるんだからね!」
と、茜ちゃんが遠くで怒っていた。
すると直人の親父さんが、女子たちの輪に近づき。
「いやー、でも本当、かわいい子ばっかりだね…。菅谷さん芸能界興味ない?」
「あ、親父! 勧誘禁止だって言っただろ!」
「え、いやまぁ言われてたが、まさかこんな綺麗な子だとは…」
と、直人と親父さんが話し出すと莉乃愛が、
「んー、でもわたしもうモデルやってるんですよね!」
「それは直人から聞いてたけど、ちなみに何に出てるのー?」
「wiwiですね!」
「おーまじかー、ちょっと直人本気で勧誘したいんだが…」
「あーもう! うるさい! はい、皆車のって! 行くよ!」
と直人が言うので、皆で車に乗り込んだ。
直人が助手席で、2列目が茜ちゃんと中里姉妹、3列目に俺と莉乃愛と華蓮さん。
そうして全員を乗せて、直人の親父さんの運転で目的地に向かった。
目的地に向かう車の中はもう騒々しいの一言。
直人が携帯をつないで音楽をかけて盛り上がり、皆で学校のイベントごとを話して盛り上がり。
雪菜さんも口数少な目ではあるものの、ちゃんと時折会話に入っており、皆一気に仲良くなっていた。
ちなみに俺はずっと3列目の端によってスマホを見てました……。
「あかねー、そのワンピースお兄ちゃんに買ってもらったやつ?」
「そうそうー高くて自分じゃ買えなかったんだけどねー! いろはのそのスニーカーもでしょ?」
「そうそう! GECCIのスニーカーなんて買えないもんーー! あかねのお兄ちゃんありがとー!」
そう彩春ちゃんが助手席に座ってる直人に向かって話しかけると、
「い…いや、も…問題ない! 似合っててよかった!」
「でもそんなにお姉ちゃんの連絡先知りたかったなんて~」
「ぐ…あかねに新まで抑えられたからこうするしかなかった…」
と直人と彩春ちゃんが話していると雪菜さんが、
「あ、そういうことだったんだ! いろはが連絡先交換の仲介するの珍しいなぁと思ったんだよねー」
「……。しかしおかげで雪菜ちゃんの連絡先は知れた!」
「普通に今聞いてくれたら教えましたよ?」
「………そこは教えなかったと言って欲しい……」
と直人がうなだれると、親父さんも含めて皆「あはは」と笑った。
スマホを見ていた俺もそれは面白く、「くくく」と笑ってた。
すると莉乃愛が、
「ん? じゃあわたしの連絡先の時も何かあったの?」
と、聞くと、華蓮さんが、
「えーー!! あたしに聞いて! 教えるから! 欲しい洋服あるんだよねー!」
「ちょっと華蓮! 安売りすぎでしょぉーー!」
「えーだって…結構いいもん買ってもらえるみたいじゃん?」
「た…確かにね。でももう知ってるしさ」
「チッ…」
「んで、なんかあったのー?」
と再度助手席の直人に話しかけた。
「ぐ……じ…実は…、あかねからOPEXを教えて欲しい人がいるから、タダでいい感じに教えてくれる人を見つけたら、あかねがりのあちゃんの連絡先を聞いてくるという……」
と、直人が言いにくそうに話すと、
「それって…私?? そしてアークさん?」
と雪菜さんが言うと、茜ちゃんが、
「そうでーす!」
と、答えた。
「華蓮さん…な…なんかごめんなさい…」
と、雪菜さんが言うと、
「全然いいよ! なんか買ってもらうし!」
「え、いや、それどういうこと?!?!」
「直人くん、君は理解していないよあたしの重要度を…」
チッチッチッという感じで華蓮さんが話し出した。
「あたしはりのあの親友でありマネージャーでもあります。もう学校でもそんな感じで認識されています。そのマネージャーが、本人にブロックしろと言ったらいったいどうなるか…?」
「…そ…それは……」
「いったいどうなるか…?」
「…なにか一つなら…………」
「イエーイ!!!!」
と華蓮さんがガッツポーズした。
いやもう、脅しやん…。ってかブロック回避のためにそんなにお金出す直人もあほだ…。
「りのあはなんかいらないのー?」
と華蓮さんが聞くと
「んーわたしはあっくんのお母さんにいろいろ買ってもらったからいいかな!」
「りのあちゃん…そこはわたしもー! って言ってほしかった…」
と再び直人がうなだれると、皆で笑った。