ゲームを教えてみた
白風あげはさんの動画もいくつか見たが、なんこうキャッキャしているというよりは、ゆったりとした感じでコメント見ながらお話ししつつって感じだった。
女子高生ということを公開しているせいか、結構きわどいコメントとかもあったけど、まぁ比較的落ち着いている動画って感じだ。
「こんばんは。白風さんよろしくお願いします」
「よろしくお願いします! お名前はアークさんと呼んで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。僕は白風さんとお呼びすればよいですか?」
「私は下の名前で他の配信者の方には呼ばれることが多いので、あげはでお願いします!」
「おっ…ではあげはさんでいきますね…!」
「了解です! では配信開始しますね!」
「あ、ちょっと待ってください。どういう関係性ということにしますか? 僕はコーチングを有料で受けてるわけでも有名配信者というわけでもないので、なんでこいつ? って白風さんのリスナーさんがなるかなと」
「あ、確かにそうですね。んーー、嘘って続かないと思うので、出来れば本当のことに近づけたいのですが…妹も関わってますし…」
「では、リアル知り合い(妹さん)に誰か教えてくれる人いないか聞いてみたら、ちょうどよさそうな人が見つかったぐらいの間を端折った感じにしましょう」
「了解です、ではそうしましょう! では配信開始しますね!」
「はい、僕も開始します」
そうやって、バーチャル配信者白風あげはとのコーチング兼同時配信が始まった。
「えー、やっほー。白風あげはです! 今日はサムネイルにも書いてあったと思うんですが、OPEXが壊滅的にヘタなので、リアルの知人に相談した結果うまい人が見つかったので今日はその人に来てもらっていますー! ぱちぱち! なので今日はこちらのアークさんと一緒にOPEXやってもらって教えてもらいますー! よろしくお願いしますー」
「よろしくお願いします、アークです。普段特にコーチングとかを行っているわけではないんですが、今回リアル知人から、ちょっと交渉されまして…とりあえず今よりはうまくなってもらえるように頑張ります。」
「え、交渉されたんですかー?」
「そうなんですよ…」
「いったいどんな交渉が…」
「そこは黙秘でお願いします…」
そんな話から同時配信は始まった。
あげはさんの配信が始まってからすぐに、あげはさんのコメント欄には、
『アークじゃん』
『こいつコーチングやってんの?』
『え、だれ?』
『前シーズン後半、デス帯のspikeに引っ張りまわされて付き合わされてた』
『おれもspikeの動画で見たことあるけど結構うまい』
『アークって人に教えるほどうまくなくね?』
『アークボイチャやるの?』
というような、いいとも悪いともとれるコメントが流れており、逆に意外に知ってる人がいることにびっくりした。
俺は配信をするまでほとんどボイスチャットを使っておらず、更に配信を開始してからボイスチャットも使いだしたが、収益化しているほどの人とはやっておらずほとんで目立っていなかったからか、そもそもボイスチャットであることに驚いている人もいた。
それからは一緒にゲームをやりながら、とりあえずよく使われるキャラクターの中から一つに絞って、立ち回りの仕方を教えたり撃ち方のコツや、あげはさんの癖なんか見つつ武器を変えてみたりと教えていった。
何度か試合もやり、基本的に俺はサポートに徹してはいたが、優勝することもできた。あげはさんは「初めて優勝した!」と大喜びで、リスナーさんから投げ銭も飛んでいた。
二時間ほど一緒にやって一通り終わったかなというタイミングで、
「なんか撃ち方とか逃げるタイミングとか少しずつ分かってきた気がします!」
「それならよかったです。あげはさんも後半は結構エイムもよくなってきてたんで、後は継続して細かく調整していく感じですかねー」
「本当ありがとうございます、先生! あ、最後に一回先生が本気でやってる感じのを体験してみたいですけどどうですかー?」
「いや、先生って程じゃないんで、先生って呼ばれるのはあれなんですが…一回やってみます…?」
「やりましょー!」
ということであげはさんの希望で、俺がいつもやっているプレイレベルでやってみることとなり、
「あげはさん先行きますよー?」
「え、ちょ、私まだ武器一つしか拾ってないんですけどー?」
「あ、敵来たんで逃げますねー」
「待って待って、まだ私最初のところなんですけど(涙」
「逃げたら別パがいたんで倒しましたー」
「待って待って、着いたらいろいろ終わってるんですけど…」
「漁ったんで先行きますよー」
「待って待って、まだ何も漁ってない!」
という感じで、大幅先行する俺とたまたま一緒になった野良の方もそこそこうまい方で、二人の後を追ってくるあげはさん。
だけど一生追いつかないあげはさん。それでも一生懸命追いつこうとするが、そこを敵に撃たれてテンパるあげはさん。を助ける二人。にまた置いて行かれるあげはさん。
そして敵へ与えたダメージ0で優勝するあげはさん。
という中々動画としては取れ高のいい感じの試合となり、あげはさんは「いや私ずっと走ってるだけなんだけどぉ」と涙目になりつつも、あげはさんのコメント欄は大盛り上がり。
『草すぎる』
『アークの配信見たら、あげはちゃん見切れてるぐらいしか映ってない笑』
『戦車の後ろに隠れて走っていただけw』
『これだけ周りとレベル差あったらこうなるでしょ…』
『あげはちゃんずっと置いてかれてて草』
「とりあえず、こんな感じなんですが、もうちょっとランク上がってきたらやりましょう(笑)」
「アークさん笑ってるし。くそーーーー! 絶対うまくなってやるー!」
「それじゃ僕は今日はここまでということで、あげはさんありがとうございました!」
「ありがとうございました!またよろしくお願いしいます!」
「はい、それではー!」
その後少し自分のチャンネルで感想を喋って俺の配信自体も終了した。その後自分のチャンネルを見たら登録者が一気に500人以上に増えており、あげはさん効果を実感した。
いやー、しかし、オンラインだと女の子でもちゃんと喋れるんだなおれ。
しかしあげはさん、結構かわいい声してるし、あんまりうるさすぎない感じでこりゃリスナーの気持ちわかるわー。ってかおれも見ちゃうかもしれん…
そんなことを思いながらスマホを見たら直人から連絡が来てた。
『見たぞ! 最後めちゃうけた。あげはちゃんずっと、「え」とか「ちょ」とか言って追いかけてるだけなんだもんw』
『ご視聴ありがとうございました。まぁそれぐらい格差のある状態でしたので…』
『あげはちゃんのところのコメント欄も見てたけど、結構みんなアークに好意的じゃね』
『暖かいリスナーさん達でよかったです』
『そういや妹から、あげはちゃんからありがとうございましただって! ただ、また教えて欲しいんだけど通常時の連絡手段がないと言われてるって』
『あ、忘れてた…』
『なんか業界の連絡ツールあんの?』
『いや、おれ業界人じゃないからわからん…』
『LIMEでいいんじゃね?』
『いや、LIMEおれ実名だぞ?』
『別にいいだろ。リアル接点がある以上どうせわかることだし』
『んーまぁわからんが、とりあえずこれおれのQRコード』
『オッケー』
『なんかこれがいいって連絡手段があれば俺は何でもいいから相手に合わせるから』
『あいよー。とりあえず妹経由でこれ送っておくー』
その後特に連絡もなく、おれも折角だしとソロ配信を少しやって、22時過ぎたところで、親との唯一の約束である勉強を少しするかと思い、24時ごろまで勉強した。
寝る前にスマホを見たら、LIMEに新しく友達申請と共にメッセージが2件来ていた。
一人目は、あかね。二人目は、ゆきな。
あかねさんの方のメッセージは、
『こんばんわー! 八代茜です! アークさんよろしくー!』
ゆきなさんの方からは、
『先ほどはありがとうございました。白風あげはの中の人間の、中里雪菜です。リアルネームなんですが、どうせ八代さんには伝わってしまうと思うのでこちらで大丈夫です!』
おーー、これは呼び間違えたりないように本気で注意しなきゃいけないやつだ。
ってか八代妹はなぜ登録したし…
こうして俺のスマホに、母親以外の女性の連絡先が初めて登録された。