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再開した「教えてアーク先生!プラチナへの道!」の本当に初回だけは、ゆきはさんとペアで@1枠は野良でマッチングした方で進めたのだが、次の回からホロサンジに所属していてOPEXで伸び悩んでる方が@1枠を埋めるようになった。


以前は個人勢の方々が埋めていたその枠を、今度はホロサンジの方々が埋めた形だ。


そして、プラチナへの道は、視聴者さんの間では『育成枠』と呼ばれるようになり、OPEXで悩んだら育成枠に出演するという不思議な流れが産まれた。


それにより、俺のチャンネルの登録者数もぐんぐん伸びていき、プラチナの道再開後1カ月で3万人を超えていた。




そんなある日のゆきはさんのコーチング配信中に、




「ゆきはさんそろそろランク配信再開してもいいかなと思いますよ~」


「本当ですかー?」


「はい、ショットガンの技術も上がって来たので、焦らなければプラチナ十分あると思います」


「その「焦らない」ってのが一番難しいんですよね~」


「わかるわかるー。ってかアークさんが落ち着きすぎでしょー」




そう話したのは、今日の配信で@1枠を埋めているバーチャル配信者の南雲リンカさんだ。登録者は30万人を超えており、ゆきはさんよりも先輩だ。


OPEXは既にプラチナランクに到達している実力を持っているが、ここからどうしたらいいのかわからないということで、リンカさんの視聴さん達が「育成枠に行ってこい」ということで、今回の参加となった。




「そうですねー。接近戦はもちろん技術もありますが、立ち止まらないとか上に移動するとかそういう立ち回りで、逃げない中で、与ダメを増やすというより、被ダメを減らすように考えた方がいいと思いますよー」


「なるほどね~。でもさ~敵が前に出てきたら撃ちたくなるじゃん!!」


「その気持ちはわからんでもないんですがね(笑)」


「というかリンカさんって、大体ミドルレンジの実弾銃持ってらっしゃいますけど、他は使われないのですか?」


「ん~、色々試したけどあれが一番いい感じだったんだよね~」


「ひとつ前の試合で、最初光線銃もってらっしゃったじゃないですか?」


「あーあのネタ武器ねぇー! 他がなかったんだよねぇ!!」


「まぁあの武器はあれなんですが…もう一つのミドルレンジの光線銃使ってみたらいかがですか? あの武器はあれですけど…あれな割にエイムが良かったんで、もしかしたら光線銃の方がリコイル合いやすいのでは?…と」


「ほーなるほどー! あんまり使ったことないけど、次使ってみる!」




そして次の試合に挑むと、




「やっぱりなんか、音が軽いってかなんかしっくりこない~…」


「んー、でも当たるな…」


「当たるけどおおおお、なんかこう慣れないぃぃぃ!」




と言いながらリンカさんは、当たるけど気持ち的に納得できない銃と、ちょっと当たりにくくなるけど気持ち的に納得できる銃の間で悩んでいた。




「アークさん今日はありがとうございましたー!」


「うちもありがとー。光線銃どうするかはもうちょっと考える…。けど、光線銃の方が当たるから…」


「あはは、こちらこそありがとうございました! ゆきはさんランク配信されたら拝見するので是非やってみてくださいー!」


「はい! ではアークさんありがとうございました!」




そうして、自分だけの配信にして、視聴者さんに少しコメントを返して配信を終了した。


その後、俺はコーヒーをとってきた後ディスボードを起動してゆきはさんとのチャンネルに入った。


今日配信後に少し時間が欲しいと言われていたのだ。




「アークさんお疲れ様です!」


「ゆきはさんお疲れ様ですー」


「あの、ご相談というのは私ではなくですね…ホロサンジの方からでしてお呼びしてもいいですか?」


「え…あ、大丈夫ですよ」




やばい、なんかやらかしたか?


そうしてしばらくすると、ホロサンジ太田というアカウントが入ってきた。




「アークさん初めましてー! ホロサンジのマネジメント部門の太田と申します! ゆきはさんの担当でもあります!」


「あ、はじめまして、アークです」


「ゆきはさんのコーチングだけじゃなく、非公式ですけど育成枠いつも本当ありがとうございますー!」


「あーいえいえ、僕程度で良ければって感じではあるのですが」


「それはもう! それでね、アークさんもしよければホロサンジ所属しません?」




そっちかー!




「バーチャル配信者になりませんかってことですかね?」


「はい! ゆきはさんの相談にも乗られていたとのことですので、大体のことはおわかりかとは思うのですが」


「そうですね、大体はわかっていると思います」


「それでねー、OPEXはさみんなが皆うまいわけじゃないんだけど、今はやっぱり再生数も接続数も稼げるから、何とかしてあげたいんだけど、上手い方々は皆さんどこかに所属しているか個人で金銭を稼いでらっしゃってしがらみが…」


「まぁそうなんでしょうね…」


「アークさんが所属してくれたら、育成枠だけじゃなくコラボ配信する理由ができるから、うちの所属皆のOPEXのレベルをあげれるなぁと…」


「なるほど~……大変申し訳ないのですがお断りします」


「やっぱりかーーーー」


「ほらー、アークさん無理だと思いますって言ったじゃないですかー」




と、ゆきはさんが言う。




「本当すいません。僕は自分がバーチャル配信者としての細かな対応ができると思いませんし、まぁなんかこのまままったり続けられればいいなぁと思ってますので…育成枠は別にそれを続けることは問題ないですし」


「そうですかーー。ゆきはさんに話したら、「絶対無理だと思いますよー!」って言われてたんですよねー(笑)」


「だって、なんかアークさんがアバター動かして喋ってるイメージわかないんですもん(笑)」


「まぁそれは俺もわかないね…(笑)」




そう話していると太田さんが、




「まぁダメ元だったんで全然いいんですけど、気が変わったらいつでもゆきはさんに言ってくださいね! 飛んできますから!」


「あ、はい、わかりました、ありがとうございます」


「それでは、私はここら辺で失礼しますねー。ありがとうございました!」


「ありがとうございました~」




そう言うと、太田さんはディスボードから抜けていった。




「なんか元気な人ですねー」


「そうなんです! 色々気遣ってくれて助かってるんです! アークさんお時間ありがとうございます」


「いえいえ、全く問題ないですよ」


「事務所の方々も、配信者の皆さんのOPEXのレベルをあげることに結構困ってるみたいなんですよねー」


「他の事務所所属やプロチームとかとやるにも、何か理由がないとどこかに角が立ちそうですもんねー」


「そうみたいです。私はアークさんが無所属で本当運がよかったです!」


「そう言ってもらえると嬉しいです。是非プラチナ行ってくださいね」


「はい、ランク配信見に来てくださいね!」


「了解です、では俺はこれでー」


「はい、ありがとうございました!」




そう言って、ディスボードを抜けた。




そうしてその後何度かコーチング配信も行い、ゆきはさんのランクも少しずつ上がり始めた頃、高校最後の夏休みに入った。

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