結構素直でまっすぐ
そうして皆が「終わったー!」という感じになっていると、莉乃愛がスマホをもって電話しだした。
『あ、お母さん終わったよー! うん! あっくんに伝えるねー! じゃあねー』
そう言って、莉乃愛は電話を切って俺に、
「あっくん、お母さんがお皿とか取りに来てだって!」
「え? どういうこと?」
「結構遅くなっちゃったじゃん? だからお母さんから夜ごはん準備しようか?って大分前に連絡来てたからお願いしたの!」
「な…なるほど……確かにそんな時間だね…んじゃ取りに行こうか」
と言って、俺が部屋を出ると、莉乃愛も「ちょっと持ってくるから待ってて~」言って、後から出てきた。
ドアが閉まり家に向かって歩き出すと、急に莉乃愛が後ろからギュッと腕を組んできた…いや…だからそれ…しかもさっきよりもしっかり当たってるってば…!
「ちょ…り…りのあどうしたの…?」
そう言って剥がそうとするが、はがれない…
「あっくんありがとね…」
「あ、うん、力になれてよかったよ…」
「それに…か…かっこよかったよっ!」
「なっ……」
というと、組んでいた腕を話して小走りで走って行ってしまった。
家に着いて玄関を開けると、莉乃愛が母さんにいろいろ手渡されていた。
「新はこれ持って行って~」
と、母さんは一度奥に戻ると
「わたしもう持てないから先行ってるねっ!」
と、莉乃愛は玄関を出ていった。
母さんからは、「はい、これ」と寿司桶を渡された。
「なんか、正攻法じゃない勉強したみたいね~」
「…そうじゃないととても点数なんて取れない状態だった…」
「ま、いいわ~。りのあも、玄関入ってくるなり、あっくんすごいの! って大はしゃぎだし、よかったわ~」
「そ…そう…」
そういうと、もう一つの寿司桶も渡されて、「まだあるから後はお母さんがもっていくわね~」というと、リビングの方に戻っていった。
そして、俺が寿司桶をもってパーティールームに入ると、
「寿司だあああああああああああああああああ」
「流石お金持ち!」
と、皆お腹もすいたのかテンションが一気に上がった。
とりあえず、寿司桶をテーブルに置くと、ガチャっとドアが開いて母さんが入ってきた。
「ピザもあるうううううううううううう」
と、更にテンションがあがる男子。
「あらあら~。とりあえず新はあんまり量食べないから、ちょうどいい感じがわからなかったから、多めに頼んだからいっぱい食べてね~」
と、テーブルにピザを置いた。
いや、L4枚って…。しかもサイドメニュー的なのもいくつも乗ってるし…。
7人しかいないのに、寿司桶2つにピザL4枚にサイドメニューの数々って多すぎでしょ…
「「「ありがとうございます!!!」」」
と、男子3人がガバッと頭を下げた。
「いいえ~、では皆食べてね~」
と言い母さんは出ていった。
そうなのだ。教えていて気が付いたことがある。
この人達、確かに陽キャで派手なんだが、結構素直でまっすぐなのだ。
だから、国語で自分でも出来るとわかったところは、より吸収が早くなったのだ。
莉乃愛の言う通り、悪い人達じゃないんだろうな。
そんな風に思っていると、
「さ、みんなたべようー! いただきまーす!」
と、莉乃愛がいうと、
「「「「「いただきまーす!」」」」」
と皆がいい、それぞれ食べたいものを開けて取り出した。
俺も少し食べようかなと思い、寿司を取りに行った。いくつか食べたいものを取り、一人でソファーの方に移動して食べていると、華蓮さんが横に座ってきた。
「ねぇーねぇー、あっくーーん」
「…は…はい」
「りのあとはどーんな感じなのぉ~~~?(ニヤニヤ)」
「え…どうもこうも、家族みたいな感じですね。親もそんな感じですし」
「そうじゃなくてさぁ~~~~、ほら、りのあってめちゃくちゃ美人だしスタイルもいいじゃ~~ん?」
「そ…そうですね…」
「お・ん・なとしてどお…」
と、俺を横からニヤニヤ見ながら華蓮さんが話している途中で、
「ちょ…ちょっとおおおおおおおおおおおお! かーれーんーーーーーーーー!」
と、言って莉乃愛が走ってきて後ろか華蓮さんの口を押えた。
「この口か! この口が変なことを吹き込んでんのか!」
と、莉乃愛は華蓮さんのほっぺをムニムニしている。
「い~の~あ~~~、あめてーーーー」
と、華蓮さんは言っているが、二人とも楽しそうだ。
すると周りにみんな集まってきて、またワイワイと騒ぎ出した。
本当この人達は、エネルギーがすごい。とりあえず元気なのだ。同じ年とは到底思えない…
そう思いながらも、しっかり脱線していくので俺はこれ幸いと寿司を再び食べだした。
その後は、ちょいちょい話かけられながら、遠巻きなポジションを維持した。
そして、あらかたみんなのお腹が膨れたころには、食べ物はほとんどなくなっていた。
「ピザと寿司で腹いっぱいなるとか最高すぎるだろ~~」と、男子3人も満足できたようだ。
すると莉乃愛が、
「んじゃーあんたら布団はここだから!」
と、パーティールームの奥の倉庫を開けた。
「「「おっけー」」」
と、男子3人が向かっていった。
戻ってきた莉乃愛に、
「ど…どういう?」
「え? もう遅いじゃん? 泊まるじゃん!」
当然! みたいな真顔でいう莉乃愛。
パーティールームは、念のためにということで泊まれる布団等が準備されて、マンショ
ンの管理会社が埃っぽくならないように、洗濯や手入れをしてくれているのだ。
「な…なるほど…まぁ確かにちょっと遅いのか…」
「そういうこと! 女子はちょっと狭くなるけど3人でわたしの部屋!」
「りのあと同じ布団で寝る~~~」
と、華蓮さんが抱き着いた。
「ま、一つしか布団床にひけないから、必然的に誰かは誰かと一緒に寝ることになるんだけどね~」
「そ…そっか…」
「ついでに、明日起きたら、最後に解き方の復習をみんなに教えてね~」
「わ…わかった…」
もう、反論する気力もない…
「男子はお風呂1日ぐらい入らなくてもいいでしょー?」
と、莉乃愛が言うと、
「「「問題なーし」」」
と、布団を引けるように家具を動かしながら言った。
「んじゃ女子は家にいこっかー!」
「「おっけー!」」
「「「また明日ね~」」」
と言い、女性陣はパーティールームから出ていく。
俺も家だしと出ていこうとすると、一人の男子が、
「なー、幼馴染くんよ。ゲーム機ない?」
「んん?…ぜ…全部あるけど?」
「おっ! まっじー?! セマブラある?」
「…ある…よ?」
「頼む! 持ってきてくれー!!」
「あ、うん…わかった…待ってて」
「さんきゅー!!」
そう言われ、俺もパーティールームを出て家に戻った。
家に戻ると、昔の我が家では想像もできない、複数の女子たちの声が聞こえた。
莉乃愛の部屋の入口に母さんもいて、寝るためにあーだこーだと話しているようだ。
俺は自分の部屋に戻り、所望されたゲーム機セイッチのコードをモニターから外したりしだした。
すると、ガチャっとドアが開き、
「あっくんー、半袖の寝間着が足りないからあっくんのジャージ貸してー。って何やってんの?」
「ん?ゲーム貸してくれって言われたからコード外してる」
「あーねー」
「ジャージは、クローゼットのタンスの2段目に入ってるから適当に持って行っていいよ」
「あんがとーー」
と言って、クローゼットにいき「これでいっか」と言って莉乃愛は出ていった。
ゲーム機とソフトもいくつか持って行くかと、適当にトートバックに入れた。
そして部屋を出ると莉乃愛が丁度部屋から出てきて、
「あ、あっくん、わたし達先お風呂入ってもいい??」
「どうぞー、おれは明日の朝に入るよ」
「りょーかーい!」
というと、部屋に戻っていった。
そしてゲーム機をもって、パーティールームに戻ると、男子3人は布団も敷き終わり、スマホを見てた。
「お、きたきた」
「こ…これ」
と、バックごと渡すと、中を覗き込み、
「お! ゴカマも色々あんじゃん! さんきゅー!!」
そう言って、ワイワイと設置しだした。




