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これからのこと

咲夜さんが踏みつけた足を下して剣人さんが更にもう一発わき腹を蹴ると、会長さんが立ち上がった。


そのまま蓮さんの側に行き、立ったまま見下ろして、




「なー、お前名前なんだっけ? るんだっけ? あんまり調子に乗るなよ。」




とだけ言い、こっちに向かってきた。

 

るんって…。なんか楽し気な名前だな……

 

その途中で、「汚いからあいつのあれにゴミ袋でもかぶしとけ」とホストさんたちに言うと、何人かが走っていった。




そして会長さんは俺の前まで来ると、




「りのあちゃん、ごめんね汚いもの見せちゃって。あと、今回は本当申し訳なかった」




と、頭を下げた。


莉乃愛もちゃんとしなきゃと思ったのか俺の後ろから出てきて、




「い…いえ…もう大丈夫です」


「あいつはもう金輪際絶対近づけさせないから心配しないで。」


「あ、ありがとうございます。」


「それでさ、本当こんなので申し訳ないんだけど、これで色々さ、穏便にすましてもらえると…」




と、言って懐から封筒を出して莉乃愛の手に握らせた。




「あ、いや、でも…」




と、莉乃愛が困っていると親父が、




「まぁもらっておきなさい。これがこの世界のけじめのつけ方ってことですよね?」


「まぁそうご理解いただけるとうれしいです。湯月さんにも本当ご迷惑おかけしました」




と、もう一つ会長さんが封筒を出してきたが、




「あーいやいや、うちはどちらかというと今回助けてもらった側ですし、また仕事で楽しいことやりましょーよ」


「あー、確かにそうですね! そうしましょう」




と、封筒をしまい、親父と仕事の話をしだした。


本当にホスト以外もやってるんだな…




「では、私はこれで…」




と、会長さんが出ていくときに咲夜さんに話しかけた。




「咲夜、お前が統括になって頑張っているのはわかってる。潰れる店もある中売り上げも伸びてるしな。ただなぁ、ただでさえ警察には目をつけられやすいんだからさ、な。ちゃんとやれ!」



咲夜さんはそれを聞き、




「はい! ご迷惑おかけし申し訳ありませんでした会長!!!!」




と、頭を下げた。




「あと、お前の今月の給料から100万引いておけ」




そう会長さんは言うと出ていった。




会長さんを見送った咲夜さんが蓮さんの方を向き、




「蓮、お前に100万なんて払えないのはわかってる。毎月10万おれに返済しろ。その間俺のヘルプ要員な」



「は…はい」




そう言うと、店を元に戻すべくあれこれ指示しだした。



 

「では我々も帰ろうか」と親父が話しかけてきたので、俺達はエレベーターに向かった。


親父は咲夜さんと少し話してから、エレベーターに来て、家に帰った。




車の中で俺が、




「いやーなんか長かったようなあっという間だったような…」




と話すと、莉乃愛が、




「本当だね。でもなんか終わったって感じがする」




と、うーんと腕を伸ばした。




「あっくんもあっくんのお父さんも本当にありがとうございました!」


「いやいや、大丈夫だよ~!」


「お…俺も、ギリギリで力になれてよかったよ」


「なんかホッとしたらお腹すいちゃった~!」


「母さんが夜ごはん作ってるって言ってたし、帰ったら食べよう。俺も腹減ったわ…」




そうして、家に着くと、母さんが普段通り「おかえり~」と言ってきて、「もう大丈夫」とだけ伝えた。


母さんは、「そっかそっか、よかったねりのあちゃん」と莉乃愛の頭をポンポンとして、莉乃愛は「うん…」と言い、俺達はそれぞれの部屋に向かった。


部屋着に着替えてリビングに行くと、




「ご飯もうできるから、少し待ってね~」




と、母さんがキッチンから話しかけてきた。


暫くすると莉乃愛も着替えて部屋に入ってきて、二人でダイニングテーブルで話した。


 「まさかパンツまで脱がされると思わなかったなーー」と二人で今日のことを話していると、ご飯が運ばれてきた。




そうして、全員で「いただきまーす」とご飯を食べ始めると、ご飯はそこそこにビール飲みだした親父が、




「そうだ、りのあちゃん。一応昨日のうちに学校の先生には連絡しておいたから、明日から学校に通えるよ」




と、親父が言い出した。

 

そうか、問題が解決したから、今日で莉乃愛がいるのは最後になるのか。


そう思って莉乃愛を見ると、「あっ…」という感じで少し下を向いた。




「それでね、お母さんとも話したんだけど、りのあちゃんがもしよかったら、しばらくこのままこの家にいないかい?」




と、親父が話した。


それを聞いた莉乃愛は、下を向いていたが、手で顔覆って、




「………っ。いいの?………」




と、泣きながら言った。




「うちはもちろんいいわよ~! 新もいいわよね?」


「…あ、はい…」


「そういうことだから、どうかな~? ちょーっとだけ学校が遠くなっちゃうけど通えないこともないし」




と、母さんが莉乃愛の方を向きながら聞いた。


莉乃愛は下を向きながら、目のあたりをごしごししている。




「やっぱりこのまま元の生活に戻ってしまうのは、りのあちゃんの今後にとってもあまりいいことじゃないんじゃないかと思ってね」




と親父が言い、




「だからできればどうかな~?と思って」 




そう、母さんが優しく話しかけると、莉乃愛は暫くして、




「……お…おねがい……します」




と、泣きながら言った。




「わー本当! お母さんうれしいわ~~~! これからは、「あっくんのお母さん」じゃなくて「お母さん」って呼んでね???」




と、母さんが言うと、莉乃愛は手で目をごしごしして、




「……わかった……お…お母さん」




と、照れたような嬉しいような笑顔で言った。


まぁ、なんか一緒に住んでるのが普通になりつつあったし別にいいかと思い、俺はご飯を食べるのを再開した。


食べてる途中に、親父が、「ちょっとお父さんって呼んでみてくれ」なんて莉乃愛に言ったら、「お父さん気持ち悪い」と母さんに言われズーンっとなり、皆で笑った。




こうして、湯月家に莉乃愛がそのまま住むこととなった。

 

部屋に戻り、なんかすっきりして落ち着いたので勉強をしているとスマホが鳴った。

 


 

『転生を告知するのが今週の土曜日の19時からの生配信に決まりました!』

『そうなんですねー、見に行きますね!』




そう返事をすると、『お願いします』というスタンプが帰ってきた。


ついにあげはさんはホロサンジかー。なんて名前に転生するんだろう。もう流石に一緒にOPEXはできないんだろうなー。まぁホロサンジにも、そこそこうまいい人いるし大丈夫でしょ。

 

そんなことを思いながらその日は眠った。




次の日起きると、制服姿の莉乃愛がダイニングで朝食を食べていた。

俺が起きてきたのがわかると、莉乃愛がパッと立って、




「どうよ~制服姿!」



と、くるんっと周りながら言った。




「あ、いや、えっと………」




と言って、キッチンの方にコーヒーを取りに行く。


そうなのだ、莉乃愛の制服姿は確かに可愛いんだけど、スカートが短めなのだ…しかも夏服だから、莉乃愛のスタイルの良さも結構わかる感じで…




「なになに~? わたしの制服姿見ていかがわしいことでも思っちゃった~~?」




と、ニヤニヤしながら莉乃愛は話している。




「りのあ、新は免疫ないからあんまりからかわないであげて~」


「は~い、お母さん!」




と、ニコッと笑って言うと朝食を再開した。

 

一日で随分と親密度が向上したもんだ…



そう思いつ、莉乃愛の横に座り、スマホを見ながらコーヒーを飲みだした。


莉乃愛も朝食を食べ終わり、スマホを見だすと、親父が、




「んじゃりのあちゃん、行こうか~」




と、車の鍵を持ってリビングに入ってきた。

 

今日はザックリとしたことの顛末と、今後うちに引っ越して生活することを先生に説明するために、親父が車で連れていくということだ。明日からは電車通学だ。




「はーい、お父さん」




と、莉乃愛が言うと、




「お…おう……」




と、親父が照れてると、




「娘に照れるとか気持ち悪いからやめて!」


「も…申し訳ありません…行こうか……」




と言って、リビングを出ていった。


莉乃愛もリビングを出ていこうと立ちあがると、出ていき際に、




「あ、あっくん。土曜は友達に今回の話をしなきゃで無理なんだけど、今回のお礼に日曜にデートに付き合ってあげるから、空けといてね!」


「なっ……」




というと、俺の返答も聞かずに出ていってしまった…

 

土曜じゃないのはよかったけど、デートなんて高等テクニックできるわけがない…OPEXで超ロングレンジの敵をショットガンで倒すぐらい難しい…一体どうしろと……


そんなことを思いつつ、俺も着替えて学校に向かった。

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