表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/131

咲夜さん

近づくと、もう一人のホストの人が、あらかじめ渡しておいた莉乃愛の家の鍵を使い、ちょうどガチャっと鍵が開けた。


鍵を開けてしばらくすると、中からドアが開けられた。




「りのあちゃん待ってたよ~…って咲夜さんどうしたんですか!」




そう、言いながら一人のホストらしき人が家から出てきた。


こいつか。


さっきの咲夜さんと違って、こいつはいかにもな感じだ。それにアホそうだし。


当事者の顔を見ると、ふつふつと話を聞いた時のイライラが込み上げてきた。




「どうしたんですかじゃねーよ!」




と、咲夜さんの横に立っていたもう一人の人が、そのホストの襟をつかんで家から引きずり出した。


オットット…みたいな感じで引きずり出された当事者のホストの人は、そのまま鳩尾を膝蹴りされた。




「がっ……ぐ…はぁはぁ」




と言いながら、そのまま両手と膝を地面について唾を吐いた。




「…っ。はぁはぁ…な…なに…するんすか剣人さん……。それに皆さんも……」


「なにするんすかじゃねーよ。お前あの子に手―だしたんだって?」


 


と、首を莉乃愛の方に振った。


莉乃愛を見たホストは、




「いや…出してねーっすよ……はぁはぁ」


「ああ? そうなのか?」




と、こっちに話しかけてきたので、莉乃愛を見ると小さな声で「あいつ…」と言っていたので、代わりに俺が答えた。




「そいつに胸を揉まれたそうです」


「んだよ、手―だしてんじゃねーかよっ!」




そう言って、そのホストは今度はわき腹辺りを思いっきり蹴られた。




「ぐ……。が…。や…やめてください。胸触っただけで、それだけです。本当です!」




と、そのホストは、剣人さんの靴を片手で押さえていった。


すると咲夜さんが歩いてきて、ガッとその人が地面についてるもう一方の手を踏みつけた。




「おまえさー、今時セクハラで捕まる時代だよ? 無理やり胸なんか触ったら、それはもう手を出してんだよ?」




そう言いながら、踏んでる手を更にぐりぐりとやりだした。




「い…ああっ! す…すいません! いあああああああ。 さ…咲夜さんすいません!」




と、何とも言えない叫び声をあげながら、咲夜さんに謝っていた。


咲夜さんはぐりぐりを止めると、




「とりあえず、ここじゃ目立つから店行くからお前剣人の車のれ」


「……っ、はぁはぁ、な…なんで……」




咲夜さんはそれを聞くと、見下ろしたままもう一回踏んだ足をぐりぐりしだした。




「お前さ、俺が車に乗れっていったら、返事は「はい」だろうが」




そう言いながら、ぐりぐりする咲夜さん。




「ああああああ、は…はい!」




そう言うと、「ほら、乗れ」と今度はおしりを剣人さんに蹴られて車の方に連れていかれた。


「それじゃあ我々も移動しようか」と親父が車の方に歩き出したので後を着いていこうとしたその時、家からもう一人男が出てきた。




「りのあ、悪かった…」


「兄貴…」




莉乃愛はボソッとそれだけいうと、親父の後を着いていってしまった。


まぁ莉乃愛がいいならいいや。と思い俺も向かった。




しかしなんかもう、怖いんだけど、怖いって感情よりも、こんなドラマみたいなことあるんだということに俺はびっくりした。




車に乗りしばらくしたころに、




「こんなドラマみたいなこと起こるんだな」




と、ボソッと言うと、




「まぁお父さんも初めて見たよー! ちょっとびっくりしちゃった!」


「ええ…」


「しかし、あの敷地にあんな車が集まるのはすごいいかつい感じだったね…」


「多分近所の人もびっくりしてたんじゃないかなー」




と、莉乃愛が苦笑いしながら話しかけてきた。




「りのあ、もう大丈夫そう?」


「あー、うん。始まる前は怖かったんだけど、なんかいざ始まったらうわーって思っちゃって、なんか逆に落ち着いた(笑)」


「あー確かにわかるかも。そういえば、お兄さん良かったの?」


「んー、もう正直あんまりかかわりたくないかなって…」


「そっか、んじゃ後で親父にうまいことやっといてもらおう」




そんな話をしていると、車は新宿の街に到着した。


コインパーキングに車を止めて、親父に連れられて歩いていくと、いかにも! というビルの前で咲夜さんが待っていた。




「こちらのビルの3Fになりますので、ご案内します。もう他の人間は全員到着しておりますので」




そう言うと、咲夜さんがエレベーターの方に歩いていき、その後ろをついていった。



そして店に入ると、


こ…これは…………完全に陽キャの世界!!



なんか大きなディスプレイがあったり、やたらとキラキラした照明があったり、俺なんかが足を踏み入れていい場所じゃない感がすごい!




そして咲夜さんに連れられて奥に進むと、




「統括、お疲れ様です!」




と、既にいたホストの人達があいさつしてきた。


統括? 店長じゃないの?


なんて思っていると、




「普段はもっと暗いんですけどね、今は営業中じゃないので明るくしてます。あと一応俺は統括って役職なんですけど、まぁ昼の人達からしたら店長みたいなもんなんで」




と、説明しながら歩いて行った。




真ん中あたりのテーブルが少しどけられていて、ひらけた感じになっており、そこに例のホストが正座させられていた。




「んじゃ全員揃ったし、蓮もう一回確認するけど、お前光の妹に手―出したんだよな?」


「…は…はい。で、でも胸を触っただけです!」




と、蓮さんが言うと、




「だから、それは手を出したってことなんだって!」




と、剣人さんにわき腹を蹴られた。




「ぐ…がっ…す…すいません…。手を出しました…」


「蓮―、よくわかってないようだからちゃんと話してあげると…」




と、咲夜さんが会長さんの横に座りながら話した。




「お前ね、この子光の実の妹なのね? それわかるよね? それで無理やりそんなことして被害届けでも出されたらどうするの?」


「す…すいません……」


「身内がうちの店にいちゃってるからさ、知らぬ存ぜぬもできないわけ。それを口実にさ、店に警察来たらさ、どんな迷惑かかるかわかるよね?」


「……すいません…」


「だからさ、光に協力させて、こうやって幹部総出で事態を収拾してるわけ。お前、わかるこの意味?」


「…………本当に申し訳ありませんでした!!!!!!」




と、蓮さんは咲夜さんに土下座した。


すると剣人さんが、




「まず謝るべきは俺らじゃねーだろ?」




そう言いながら、髪の毛千切れるんじゃないかって感じで、蓮さんの顔を持ち上げた。




「………すまなかった………」




そう、土下座の格好のまま、莉乃愛に向き直って頭を下げた。


すると剣人さんが、




「謝り方がちげーだろ!」




と言って、再びわき腹を蹴った。




「がっ……た……大変申し訳ございませんでした!」




そう、しっかりとした土下座で莉乃愛に謝った。


すると、咲夜さんが立ち上がり、




「謝罪はさ、言葉だけじゃ伝わらないだろ? 蓮わかるよな?」




そういうと、蓮さんは、「は…はい!」と言いながらズボンのポケットから財布を出した。

 

そして財布から入っていたお札を全部出した。


それを剣人さんが、数えだした。




「いち、に、3万2千円ねぇ。こんなんで足りるわけねーだろ!」




と、土下座している頭を踏みつけた。


蓮さんは踏みつけられながら、




「ぐ…き…給料日前なので今これしか持ち合わせが……」




と、蓮さんが言ったところで咲夜さんが、




「蓮、お前いい洋服着てんじゃん。金になるんじゃん?」




 と、一言いうと、周りのホストが蓮さんを無理やり脱がせて、蓮さんはパンツ一枚になった。


 すると咲夜さんが、




「パンツもケルバンクラインじゃん」




というと、周りのホストの人がちょっと嫌がりつつパンツも脱がせてしまった。


まじかよ! 容赦ねーな! てか見たくないんだけど! と俺は思い莉乃愛を見ると、完全に俺の背中に隠れてみないようにしてる。


咲夜さんが蓮さんの近くに行き、




「女に触りたかったら、触ってくれって女に言わせるのがこの仕事だから」




そう言って靴の裏で、土下座している蓮さんの背中を踏んだ。

 

なんか普通じゃないんだけど、この人が言うとそれが普通みたいな感じに感じて凄いなぁなんて思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ