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大集合

『りのあちゃんの件の決行日が明後日になった』

『新も来るように』





『了解』とだけ返事をし、自分のことじゃないけどなんだかドキドキしながら数日過ごした。




そして、いよいよ、決行日となった。




「いよいよだね」



 

そう、朝ごはんを食べていた莉乃愛に話しかけると、




「うん…」




と、小さな声で莉乃愛が返事した。




「お…俺も一緒に行くし、大丈夫だから心配しないで」


「うん、ありがと」




そう話して俺は部屋に戻った。


なんか楽しくお話しするような感じでもないので、実際に動くまでお互い部屋で過ごした。


今日は念のために俺も学校を休んでいたが、何もやる気が起きず、なんか落ち着かないので、とりあえず俺は配信しないでゲームをずっとやっていた。


しばらくゲームをやっていると部屋の扉がノックされ、




「もう少ししたら行くから準備しとけ」




と、親父がそれだけ言って出ていった。


俺は朝からボーっと6時間ぐらいゲームしていたようだ…。




莉乃愛も呼ばれたようで、お互い外に出れる格好でリビングに向かった。




「16時ぐらいにりのあちゃんの家の前で集合ってことになってるから、もう少ししたら行くぞー」


「了解」




そう俺が答えると、ダイニングテーブルに座りスマホを見だした。


莉乃愛も何も言わずにダイニングテーブルに座った。




そうして、しばらくすると、「それじゃあ行くか」と親父が席を立ったので、俺と莉乃愛も席を立った。




「りのあちゃん、きっと大丈夫だから頑張ってね。お母さんお家で美味しーいご飯作って待ってるから!」




と、莉乃愛の手を持ちながら話しかけた。




「う…うん、行ってきます」




莉乃愛は、不安なのか嬉しいのかよくわからない表情をしながら返事した。




「じゃあ行こう」




そう言って、俺が莉乃愛の肩をポンッとたたき二人とも玄関に向かい車に向かった。




二人で後部座席に座り、「いよいよか…」なんて思っていると、




「ほぼ確実に大丈夫だから、そんな緊張しなくていいぞー」




と、親父が気の抜けた感じで話しかけてきた。




「んなこと言ったって、こんなこと日常で経験なんてしないから緊張するだろ」


「お前にそんな一般人みたいな心があったことに俺は驚きだよ~」


「…俺をなんだと思ってたんだよ……」


「え? 目も当てられない程の陰キャだと思ってたぞ?」


「それ息子にいうのかよ…」




と、話していると莉乃愛が「ふふふ」と笑った。




「あっくんいまだに陰キャだけどね~」


「いや、それはりのあが陽の者すぎるんだ」


「んーそうなのかな? だって学校の友達に、久しぶりに話す幼馴染と話せませんなんていなそうだよ?」


「……きっと陽の集団なんだよ……」




なんて話をしていたら少し緊張も和らいできた。




「もう少しでつくけど、我々は特にやることもなく、何か聞かれたら答えればいいぐらいだからー」


「うん、わかったよ」


「あ、あと、新の懸念していた取引に応じるのかどうかは、ちゃーんと応じたらしいよ。んで既に家にいるってさ」


「まじかよ」




家族を売ることに何ら抵抗もなく受け入れることができる感じなんだ…



そう言っていると、車はいよいよそれっぽい団地に入っていった。




そして、集合場所がどこか一発でわかった。




いや、こえーよこれーーーーーーーー。


言っちゃなんだが、なんでこんな団地の敷地脇に、こんなに高級外車が並んでんだよーーーー。



そう思ってると、親父も空いている場所に車を止めて、「ちょっと待ってて」と降りていった。




「あっくん、もうすでにやばそうじゃないこれ…」


「俺も思った。なんでこんなに明らかな高そうな車並んでんだよ…」


「でもさ、あっくんの家の車もここに並ぶと仲間の一員になるね…」


「た…たしかに…」




普段乗るものだから考えてなかったが、確かにうちの車もこの輪に加われる。

 

うちは、真っ白のVMWの7シリーズというやつにのっていて、親父曰く結構高いらしい。


まぁネットで調べたら1500万~2000万と書いてあって、なんで車なんかにそんなにお金かけるのか当時全く理解できなかった。


まぁ今も全然理解できないんだけど。




そんなことを莉乃愛と話していると、また更に高級そうなスポーツカーと、いかにもな長い車が止められた。


スポーツカーからは、おーイケメン! みたいな人が降りてきて、長い車からは運転手さんが降りてドアをあけると、この人が例の会長さんで間違いない! って感じの人が降りてきた。


会長さんは降りたら、直ぐに親父と少し話し出した。


暫くすると親父が車に戻ってきて、




「じゃあ、行くからそろそろ降りてー」




と、言われたので二人とも車を降りた。


車を降りると、集まっていた人たちがこっちを見て、スポーツカーから降りてきた人がこっちに向かってきた。




「こんにちは、咲夜と申します。迷惑かけたやつが働いている店で店長をやってます。今回は怖い思いをさせて本当に申し訳なかった。」




そう言いながら、莉乃愛に向かって頭を下げた。




「あ、い…いえ」




そう莉乃愛が答えると、




「絶対大丈夫だから、少しだけ待っててね」




と言って戻っていった。



なんか、予想以上に礼儀正しくてびっくりした。


夜の人っていうジャンルに対する偏見なのだろうが、もっとこうチンピラみたいな人が来るのかと思ったけど、結構ちゃんとしてる。


なんか、意外だな~と感心していると、その咲夜さんともう一人の人が家の方に向かっていった。


「もう少し近くに行っとこうか」と親父に連れられて二人で少し前に歩き出した。


莉乃愛は怖いのか、俺のTシャツの裾をキュッと握って、少し後ろからついてくる。


そりゃ怖いだろうなと思い、そのまま俺は歩いて行った。

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