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【菅谷莉乃愛視点】母と娘(仮)の買い物デート

そうやって、湯月家のことを色々聞いていると学校についた。

学校につくと、見慣れないあきらかに高そうな車が入ってきたことで、通学中の他の生徒にチラチラ見られた。


駐車場に車を止めて、職員玄関の方から入り、職員室に向かい、担任の先生を呼んだ。

 



「どうした菅谷―」




と、先生が話しかけてきたところで、後ろのあっくんの両親に気が付いたのか、




「あ、ご両親も! ってあれ、菅谷父子家庭じゃなかったっけ?」




と、先生が「んん?」となっていると、あっくんのお父さんが、




「その、菅谷家の家庭のことで少々お話しさせていただきたいのですが、私こういうものです」




と、その場で名刺を出した。




「湯月さんですね。ここじゃちょっとあれなんで、進路指導室にご案内しますね」




そう言うと先生は、「こちらです」と案内しながら、前を歩いていった。


進路指導室にはいると、あっくんのお父さんが一通りの状況を、ある程度オブラートに包みつつ話してくれた。

 

一通り聞いた先生は、




「菅谷―、こんなことになってるなら先生に相談してくれて全然よかったんだぞー」


「んー、でも学校は楽しかったし」


「まぁそうかもしれないが、先生としてももう少しフォローできることあったかもしれないとな」


「んーありがと先生。でも本当に学校は楽しかったからさ、まさか相談しなきゃならないようなことになるなんて思ってなかったからー」


「難しいですよね今の時代。踏み込みすぎるとプライバシーの侵害だと言われ、踏み込めず問題が起こると教育者として失格だと言われ」




そうあっくんのお父さんが話すと、「いや、本当にそうなんですよね…」と先生は苦笑いしていた。




「とりあえず、学校の方には私から伝えておきますから、一旦休みことについては問題ないです。クラスの子とかにはこのことは?」


「んー、家のことを軽く知ってる子は何人かいるけど、こういう状況だって知ってる子はいないかな。昨日の今日で連絡もしてないし」


「んーー、んじゃ家の都合でしばらく休みってことにするか。体調不良だと心配だーお見舞いだー! ってなりかねないからな」




確かに。体調不良だと、お見舞いに突撃してきそうだ。特に華蓮とか華蓮とか華蓮とか…




「では、それでよろしくお願いします」


「あ、そうだ菅谷。学校に来れそうなタイミングがわかったらまた連絡してくれ」


「りょうかーい」


「りのあちゃんって普段こんな感じなんだね~。うちでもそんな感じでいてくれていいのよ~?」



そうあっくんのお母さんが話しかけてきたので、はっと思い下を向いた。




「いやー、菅谷はもう学校でも近隣でも話題の美人なんですがねぇ~。いかんせん他のクラスメイトもこんな感じなんで、もう先生というか年上の友達みたいな感覚なんですよ…」



トホホ…という感じで先生が話していた。




「菅谷、湯月さんに迷惑かけるんじゃないぞ。後、その幼馴染くんに変なことするんじゃないぞ」


「なんでわたしがする側なのよ! するわけないじゃん!」


「本当頼むぞ~」




そう言って、席を立ったので、わたし達も席を立ち、進路指導室を出た。


そのまま、職員玄関まで先生が送ってくれて、あっくんのお父さんが「では、よろしくお願いします」と、言うと先生も「はい。こちらこそ生徒をよろしくお願いします」といい、わたし達は会釈して車に乗った。




あっくんのお父さんがナビをセットし、車が走り出して少しするとスマホが震えた。

華蓮からメッセージだ。




『りのあどうしたの? なんか職員玄関から出てきて見慣れない高級外車に乗ったってクラスの子が言ってたんだけど』

『あー、ちょっと家の都合でしばらく学校休むことになったの』

『えーーーーーーーーーーー! やだーーーーーーーーー!』

『そう言われてもしょうがないじゃない』

『家の都合ってなに? あたしも行く』

『いやいやww今は言えないんだけどそのうちいうからさ! 待っててよー』

『えーーーー、約束だよー?』

『うん、約束する!』

『連絡はとれるのー?』

『うん、連絡は取れるよ!』

『んじゃ毎日連絡するね! むしろ毎分連絡する!』

『いや、流石にそれはやめて…』




そう華蓮とメッセージのやり取りをしていたら、お母さんが、




「そう言えばりのあちゃん、新の連絡先は知ってるの?」


「あ、聞くの忘れてた…」


「んじゃまずお母さんと連絡先を交換しましょ~」




そう言うと、あっくんのお母さんがLIMEのQRコードを見せてきた。

 

わたしはそれを読込み、あっくんのお母さんを登録し、『よろしくお願いします!』というスタンプを送った。すると、




「あ、そのスタンプお母さんも持ってるわ! ってかうちの男性陣はスタンプを一切使わない上に、常に業務連絡みたいな連絡しかしてこないからうれしいわ~」




業務連絡って…。なんか想像できるけど。


 

そうするとお母さんがグループを作り、そこにあっくんを加えた。




『家族への連絡はこちら―、旧家族のLIMEグループは廃止しますので消しました!』




とメッセージを残して暫くすると、あっくんから、




『了解』




とだけ来た。

 

その直後に、あっくんから友達申請がきたので承認した。


あっくんにも『よろしくお願いします!』というスタンプを送ると、『了解』とだけ返ってきた。



本当、業務連絡だわこれ。




「さぁ、これで連絡はとれるようになったし、もうすぐ新宿だからどこから行くか決めましょうー!」




そう言われたので、わたしはあっくんのお母さんとあーだこーだと行く場所を話だした。

 

それにしても家族LIMEか。初めてだ。


あっくんの家族と一緒にいると一つ一つが、家族というものを実感させてくれて、なんか暖かくなる。


本当に娘のように接してくれて、わたしのすさんだ家族というものへの記憶を塗り替えていってくれるのが嬉しかった。



 

そうして、新宿につくと、あっくんのお父さんは仕事に行くと駅の方に歩いていき、わたしはお母さんに、「さー行きましょう!」と言われ、連れられて買い物をした。


大体全部揃うであろうラミネに行きませんか? とお母さんに話したところ、ラミネってちょっと安っぽくない? と宇勢丹に連れていかれた。


たしかにラミネにあるお店は、宇勢丹と比べると大分手ごろなのだが、正直間に合わせだしそれでいいと思っていたのだが…


宇勢丹につくと、レディースのフロアに向かいあっくんのお母さんが、




「最近は安い洋服を着回すというより、アンスタ映えな感じで少しいいものを取り入れるのが流行りなんでしょー? 足りないものがあったらラミネに後でいきましょうねー」




いや、確かに、そうなんだけど…


確かにそうなんだけど……!


値段も雑誌なんかにも載ってるから大体知ってるけれども………!




いざ、自分が買うと思うと高い!!


とても高校生が着るような値段じゃない気がする……




「ちょっと高くないですか…」




そう言って、ニコニコと洋服を見ているあっくんのお母さんに話しかけると、




「いいのいいのー! うちって家族旅行とかもあまり行かないし、私もブランド品とか興味ないし、本当あんまり余計なお金がかからないのよ~。だから今日は娘とのデート記念よ!」




そう言いながら、あっくんのお母さんはビシッと親指を立てて言った。



その後も、「高いので…」「いいのいいの!」という攻防を繰り広げたが、絶対折れる感じじゃなかったので、抵抗を諦めてどうせならと可愛いものを探し出した。


そうして、トップスやスカートやパンツを何点か購入し、下着屋で下着も何点か購入し、他に必要なものを買った。

 

普段着るダル着的なのが欲しく、結局ラミネとヨニクロにも行き、結果的に結構な荷物となった。


途中で、考えるのを辞めたが、多分40万ぐらいかかった気がする…


本当にいいのかな…もう買っちゃったけど……


 

そんなことも最初は思ってはいたが、気持ちは正直で、普段だと手が出ないようなものを買えたことで、ちょっと嬉しくなって、早く着てみたいな~なんて思うようになっていた。


買った荷物を一旦車に置くと、




「ちょっと遅くなっちゃったけど、お昼食べていきましょ~」




と、あっくんのお母さんに言われて、再度宇勢丹に行き、レストランフロアで適当に選んだお店に入り、遅いランチを食べた。



「帰る前に、今日の夜用にお惣菜買っていきたい」とあっくんのお母さんが言っていたので、「大丈夫ですよー」と返事し、地下に行きお惣菜を選び、車で家に帰った。


家に帰って、リビングで今日買ったものを空けてタグを取ったりしていると、




「やっぱり新しい洋服っていいわよね~」


「はい、いつもは手が出ないようなものが買えてしまったので、ちょっと嬉しいです…」


「ふふふ、それはよかったわー」


「ちょっとは嘘でした。結構でした!」


「あはは、新が帰ってきたら物置になっちゃってる部屋を掃除させるから、手伝ってあげてねー!」



 

それから、早速今日買った部屋着に着替えて、買ってきたものを整理していると、あっくんが帰ってきた。




「ただいまー」




そう聞こえたので、これは油断してるなと思い、玄関に出ていった。




「おかえりー!」


「っつ……た…ただいま」




ふふふ、絶対わたしが出てくるなんて思っていなかっただろうというのがわかって、面白くなった。




「新―、着替えたら物置部屋りのあちゃんと一緒に整理して、りのあちゃんが使えるようにしてー。ゴミ袋とかは置いておいたからー」




と、お母さんがキッチンの方から話してきたのを聞いたあっくんは、




「ま…まじで…? あの部屋を使えるようにって……」


「だってそうしないとりのあちゃんの部屋ないじゃないー」


「た…たしかにそうだけど……本気?」


「本気本気―。本気と書いてまじ。だからよろしくねー」




そう言われてあっくんはあきらめたのか、絶句しながら家に上がり自分の部屋に入っていった。

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