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目には目を

親父との電話を切った俺は母さんに、帰ってくる時間を伝えた。




「30分後ぐらいだって」


「じゃあご飯食べちゃったら?」


「おっけーりのちゃんに聞いてくるよ」




部屋に戻るとりのちゃんはまだボーっと椅子に座ってた。




「30分ぐらいしたら親父が帰ってくるからその時に相談するとして、一旦飯食おう?」


「お風呂はいりたいかも…」




あー、確かに。制服も汚れちゃってるしな。よく見たら靴下とかめっちゃ汚れてるんだけど。必死に逃げたんだなぁ。




「ああ、確かに。気が利かなくてごめんね。ちょっとバスタオルとか準備するわ」




そう言って、俺はバスタオルとハンドタオルと着替えにおれのジャージを準備してりのちゃんを呼びに行った。




「りのちゃんこっち」


「知ってる。昔案内してくれたから」


「あー確かに。そんなことしたかもねぇ」


「覚えてる?」


「なんとなく。雰囲気」


「絶対覚えてないやつじゃんそれ。わたしはちゃんと覚えてるのに」


「ごめんごめん。それでバスタオルとタオルこれね。お湯は蛇口ひねってくれればそのまま出るから。えーっとシャンプーとかは見ればわかる。あー化粧落とすやつとかは母さんコーナーこの段だから、この中から探して適当に使って」


「ありがとう。」


「着替えは、うち女の子の着るものなんて母さんのしかないから、一旦俺のジャージで悪いんだけど」


「全然いいよ。ありがとう」


「それじゃごゆっくりー」




そう言っておれは脱衣所のドアを閉めた。母さんには汚れてたからお風呂に入ってもらってるからご飯はその後食べると話した。


部屋でSNSを見ながら待っていると、りのちゃんがバスタオルで髪を拭きながら出てきた。


小さい頃に遊んだりのちゃんだから、ギリギリなんとかなってるのかもしれないけど、普通だったら俺もう倒れてるかもしれない。

 

俺にはわからない世界だけど、りのちゃん相当美人でしょこれは。それこそ雪菜さんに負けず劣らずレベルで。


しかもおれのジャージ着てるし、同じ匂いもするし…




「制服とかどうしたらいいだろう?」


「あ…あー、とりあえず少し汚れてたから母さんに洗ってもらおう」


「いいのかな?」


「いいよいいよ、汚れたまま着せるのもあれだしさ。とりあえずご飯食べる?」


「お腹すいたかも」


「おっけー、んじゃリビング行こう」




そうしてリビングに行き、りのちゃんと二人でご飯を食べた。制服とか靴下とか洗ってあげて欲しいと母さんにお願いしたら、「いいわよー」と洗濯しに行った。


そうしてもすぐ食べ終わりそうな頃に、ガチャッと玄関で音がした。親父が帰ってきた。ちゃんとまっすぐ帰ってきたようだ。


リビングに入ってきた親父は、




「ただいまーって、ええ? 女の子? ええ? そういう??? ええ??? まさか子ども???」


「いやいや、違うから、親父落ち着けよ。」


「でも、ええ? お前女の子の知り合いなんていたの?」


「あらお父さんお帰りなさい~。この子りのあちゃんよ? 小さい頃よく一緒に遊んだって言ってたでしょ?」


「ああ、菅谷さん家の! そうかそうか、その菅谷さん家の娘さんがなぜ?」


「それを今から聞くんじゃないのー。だから早く着替えてきて」




そう言って母さんは親父をリビングから押し出した。




着替えて戻ってきた親父がどすっとソファーに座ったので、おれとりのちゃんはそのままダイニングに座ったまま、とりあえず俺が要点をまとめて話した。




一通り話し終わると、母さんが、




「辛かったね~怖かったね~。もう大丈夫だからね~」




と泣きながらりのちゃんを抱きしめた。りのちゃんもつられたのかまた泣き出してしまった。


そういうのは母さんに任せておきながら、おれは自分の考えた解決策とそれがなぜだめだと思ったのか説明した。



「んー確かに、新の言う通り、それらの方法では解決しない可能性が高いねぇ。なによりりのあちゃんが怖いだろうし」


「そうなんだよ、だからやむにやまれず親父に相談したわけだ」


「まだまだお前も子どもだからな。しょうがない。おれがなんとかしよう」


「なんとかできるの? 結構おれ色んな案考えたけど解決策がなかったんだけど」


「まだまだ子どもなお前は、その重要性が明確には分かりづらいだろうが、一つ方法はあるぞ。それは人脈と圧力だ」


「いや、圧力はおれも考えたけど夜の人だよ? そもそも圧力なんて効かないじゃん」


「そんなまさか! 目には目を。だ」


「なるほど……夜の人には夜の人の圧力をってことか。でもそんなんどうやってかけるの?」


「そして人脈だ。幸運なことにお父さんは一人心当たりがある。ということで電話してくるわー。あ、りのあちゃん、お兄さんのホストの名前とかお店の名前とか覚えてないかな?」




りのちゃんは母ちゃんに抱かれながら、




「えっと…兄の源氏名は神崎光。お店は名刺を見たときにチラッとしか見なかったんですが、確かkingだったと思います」


「ありがとう、もう大丈夫だよー!」




そう言うと親父は、電話と煙草をもってベランダに出ていった。

 

暫く親父はベランダで電話していて、終わったら部屋に戻ってきた。




「解決しそうだよ。だからもう心配しないで」


「まじか」


「よかったぁ…」


「ちなみにどう解決するの?」


「それはちょっと明日会って細かいところを話すことになったから、その後に話すけど、今電話してた人は、お兄さんが働くホストのお店のさらにはその業界の、更にはあの街でほぼトップぐらいに位置するホストグループの会長さんだよ」


「うわー、怖そうー。ってかなんで親父そんな人知ってるの?」


「んー? その人ホストだけじゃなくて普通の会社もいくつもやっててさ、その普通の会社の方の何社かに今コンサルではいってるんだよ」


「なるほどな…そんなにすごい人なの?」


「まぁ見た目はあれだけど、お父さんとは全く違う畑の人で、色々と折り合いがいいんだよねー」


「そうなんだ。まぁ今回は助かったよ」


「明日話したらまた連絡するな」


「了解」




そう言うと、親父は母さんが出してきたビールを飲み始めた。



泣き腫らした目で、ダイニングテーブルのところに座っていたりのちゃんが、




「あっくんのお父さんありがとう」




と、お礼を言うと、親父はビール片手に、




「カー! 大丈夫だよー。とりあえず、そういうことだから、ちゃんと解決するまでは家は危ないだろうから、ウチに泊まりな。学校も休んだほうがいいかな」


「え…でも…」




と、りのちゃんが話そうとしてたところで、




「えー! 本当―! お母さん娘欲しかったのよねー! 早速明日、物置になってる部屋片づけなくちゃ! 今日はー、流石に新の部屋はまずいから、私と一緒に寝ましょう! お父さんは畳の部屋に行ってねー」




と、なぜか母さんが大喜びしだした。

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