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【菅谷莉乃愛視点】初彼氏

お母さんとの約束と、学校の友達に恵まれたことでギリギリのラインでわたしは保たれていた。

ただ、そんな家庭環境にいると、どんどん心はすさんでいき、なんか色々どうでもいいかもと思い出してしまう自分がいることが怖かった。


中3の時に、近くの高校に通う高2の先輩から告白され、結構イケメンだったこともあり、別に好きでも何でもなかったけどまー別にいいかと思ってしまい付き合った。




次の日学校で、一番仲のいい友達の華蓮が話しかけてきた。




「りのあ、昨日の先輩なんだったのー? やっぱり告白?」


「うん、告白されたー。んで付き合うことにしたー」


「えええええええええええええええええええ、本気?」


「別に好きなわけでもないから、まぁなんとなく?ちょっとイケメンだったし」


「そうかもしれないけどー。ついにりのあに彼氏かー。こりゃまた大騒ぎになるねー」


「別にわたしがどうしようと気にする必要ないのにねー」


「いやいや、もはやなぜモデルじゃないのかわからないりのあが、彼氏を作るとなると大事件でしょ。もはや桜坂のりんちゃんが彼氏作るぐらいの大事件」


「いやいや、わたしアイドルじゃないからーーってそんなことは言いから、今日放課後カラオケ行かない?」


「え、彼氏は? 昨日付きあったんでしょ?」


「え、そうだけど? なんか関係あるの?」


「付き合った次の日なのに会ったりしないの?」


「えー、今日わたしは華蓮とカラオケに行きたいのー!」


「まぁあたしは別にいいけどさ…」




その新彼氏くんからはその後しばらくしたら連絡が来て、




『今日帰り学校まで迎えに行くよ』

『あー、ごめん。今日友達とカラオケ行くからまた今度で!』

『え、まじ?』

『うん、ごめんねー』




その後、あまりにもしつこく誘われるもんだから何回か一緒に帰ったりしたが、別に話が面白いわけでもなく、しまいには「りのあちゃん胸大きいよねー。何カップあるの?」とか聞いてくる始末。


親は仕事でいないから家でまったりしようとか、もう何の魅力もない提案をしてきたりで、お前はいったい何と付き合ってるんだと。


わたしの胸と付き合ってるのかと。



付き合ってから1カ月もたたないうちに、




『ごめん。わたしはまだ子供だから付き合うとかはまだ早いらしいから、別れようー』




とだけ連絡してブロックした。




「やっぱりわたしには付き合うとかまだ無理だわ。」


「んーどうしたの?」



 

横を歩いてる華蓮が聞いてきた。




「いや、無理だなと思って別れたんだよ」


「えええええええええええ、まだ1カ月もたってなくない?」


「んー覚えてないけど、そうだと思う」


「いつ別れたの?昨日?」


「いや、さっき。LIMEで言った」


「ええええええええええええ、なんて一方的なぁ!! めっちゃ連絡来てんじゃない?」


「ブロックしたしわかんない」


「はやぁぁ!!!」


「というわけで、傷心のわたしになにかおごってよーー」


「いや、1ミリも傷心してないじゃん…」


「まぁまぁ、いいじゃん!」




 その日の放課後、校門にその元彼が来ていたが、「無理だから!」と言って連れて行った先生も巻き込んでさようならしてもらった。


 それからも、告白はされるが付き合う気になんて一切ならず、全てを断った。




そうしてあまり勉強もまじめにしなかったので、誰でも入れると噂の近くの公立高校の商業科を受験し合格し、中学を卒業した。華蓮も「りのあと同じところに行くー」と、ただそれだけで同じ商業科に来ることになった。



高校に入学する頃になると、毎月現金をいくらか封筒にいれて家においていくだけで父はあまり家に帰ってこなくなった。


兄は大分前からほとんど家にはおらず、高校を卒業したのかさえ知らない。




入学した高校は、普通科と商業科があり、偏差値も上から下まで幅広く、通っていた中学から進学してくる子も多く、やはりすぐに噂になった。


わたしは長めの髪の毛を少し茶色に染めていて、身長は160ちょっとあり、華奢ってわけでもないけど細めの体型で、既に胸はEカップ。


多分もう少しでFカップになる。


一体これどこまで大きくなるんだろうなんて思ったりもした。


髪の毛は街でカットモデルをやって欲しいと声をかけられたところでお願いしているので、何をしてもタダだ。


可愛いって言われる自分でラッキーと初めて思った。

 

父が置いて行くお金だけだと、正直足りないので、何かバイトでもしなきゃと思い、以前華蓮と原宿に行ったときに声をかけられた雑誌の人に連絡をして、読者モデルもやるようになった。




中学同様に、すぐに学校中で話題となり、ありとあらゆるルートから連絡先を聞かれた。




「ねー、りのあー、なんかサッカー部の先輩が連絡先知りたいんだってー」




そう華蓮が言ってきた。華蓮も華蓮で小柄で元気な感じの可愛い子でそこそこモテる。


その上、分け隔てなく明るい性格で何よりわたしの親友ということもあって、わたしに直接ではなく華蓮に聞いてくることが多い。




「華蓮が教えていいと思うなら教えていいよーー」




そう言いながら、わたしはさっき買ったジュースを飲んでいる。




「じゃーー、ダメーーー!りのあはあたしのものー!」


「そうそう! わたしは華蓮のものー!」



と言って二人でキャイキャイと抱き合っていた。


商業科は女子が6割で男子が4割。ぶっちゃけ偏差値が低く頭が悪い。


ただ、入った年が良かったのか、確かにみんなギャルっぽかったり、髪の毛を染めていたりしているがすごく気のいい子が多い。


男子も男子で、ピアスをしてたり、派手なTシャツを下に来てたりと、まぁ割とチャラそうなやつが多いが、バカ故に深く物事考えず、皆でつるんでおもろいことやろうぜー!と突き進んでいく感じだ。



今までは男子からは、女としてみられてきていたが、こいつらはなんか仲間としてみてくる雰囲気で、わたしも接しやすかった。


入学して暫くしてあった球技大会では、派手に燃えに燃えて女子も応援して、まさかの骨折するやつまででたのは大笑いした。



そんないい感じのクラスに恵まれ、家は相変わらず終わってたけど、学校では楽しく生活できていた。

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