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【中里雪菜視点】雪菜の条件

条件の紙を一通り読み終えると小平さんが話しかけてきた。




「白風さん、なにか現時点で気になる部分はございますか?」


「そうですね、一つだけ気になるというかお願いがあります。」


「はい、なんでしょうか?」


「白風あげはが転生することについての理由はわかっているので異論はないのですが、白風あげはの最終配信で、転生を告知させてほしいんです。転生の告知なんてこれまでにないことは理解しています。ただ、現状私は炎上しているわけではありませんし、正直OPEX配信を始めてから運や人にも恵まれて、登録者数も伸びています。

ただ、今回この話をお受けようと思ったのは、見てくれているリスナーさんにゲーム以外で何かを提供しようとしても、雑談以外正直個人での活動には限界があると思ったからです。なので、これまで私を支えてくれて、私らしさを見つけさせてくれたリスナーさんをだますようなことはしたくないんです。」


「なるほど…転生の告知ですか……。太田どう思う?」


「んー、そうですね、論理的には相当おかしいですけど、ありかなーとは思いますよ?白風さんも仰ってましたが、白風さんのチャンネルは割と穏やかな雰囲気ですし、受け入れてもらえそうな気はします」


「なるほどな。しかし転生を告知するのは果たしていいのか……」




と小平さんが少し考えだした。




「部長―、そんな考えたって正解なんてないですって。なんせ前例がないんですもの。そしてうちの事務所で初めて、活動中の方の引き抜きなんですよ? そもそも転生を告知する論理性の破綻を言うなら、そもそも転生ということ自体破綻してますからー。アイドルが引退して女優になります! ってぐらいのもんですよ」




おーー、太田さんめちゃくちゃわかりやすい。確かにアイドルが引退して女優になるのとそう変わらない。




「な、なるほど。それは確かにそうだな。わかりました。では転生の告知は可ということにさせてもらいます。太田、契約書に内容追加して印刷してもらって。」


「了解でーす」




そう言うと太田さんはパソコンを打ち出した。




「そのほかはございますか?」


「いえ、私からは転生の告知ができるということであれば、他には特にありません」


「では私の方から金銭面の部分でいくつかご質問しても?」




そう言うと、お父さんと小平さんが話だした。


私は、言うべきことは言ったー。と思い、もうほとんど話を聞いておらず、転生したらどうしようかなとか、転生の名前どうやって決めるんだろうとか、逆に転生後のことを考え出していた。




「ありがとうございます。私も問題ありません。」


「よかったです。それでは契約ということでよろしいでしょうか?」


「いいんだね雪菜?」


「はい、大丈夫です!」


「とのことですので、進めて頂いて問題ありません。」


「了解いたしました、それでは後は太田の方で進めさせていただきますので、私はこちらで失礼します。中里雪菜さん、これからよろしくお願いします、一緒に頑張っていきましょう!」


「はい!」




そういうと、小平さんは会議室をでて行った。小平さんが見えなくなったところで太田さんが、




「ご両親も雪菜さんもお疲れさまでした!」


「はい、私は大丈夫です! 逆になんか転生後が楽しみになってきました!」


「お父さんは疲れたよ…契約書なんて仕事でいつも見るのに、なんか本当疲れた…」




お父さんは、大手の飲料メーカーの製造部長をやっているから、こういう書類を目にすることは多いようだ。




「ありがとーお父さん!」


「いやーうちでも、活動中の方の引き抜きって初めてなんで、転生の告知なんてやったことないんですけど、面白そうですね!」


「そうだったんですね。ダメって言われたらどうしようと思ってました…」


「よほどトンチンカンなことじゃなければ私は通しますよ! 理にも適ってましたし!」


「それならよかったです!」


「しかしバーチャル配信者というのはいったいどれほどの収入になりえるのでしょうか?契約的にはほぼ出来高形式だと言って過言ではないと思いますが…」


「そうですねー、芸能人の方々と同じような感じですねー。ただ、芸能人の方のように年収うん十億みたいなのは中々厳しいかもしれませんが、年収うん千万から1億くらいでしたらあり得ますね。うちでももうすぐ1億になるかなって人がいますし。うちの事務所の平均値だと1000万ぐらいでしょうか」


「芸能界みたいなもんなんですね。でも、17歳で年収1000万…お父さんは仕事を頑張ったらいいのか、もう何もしなくていいのか…」


「なに言ってんのよ! もっと頑張りなさい! もし雪菜の年収に負けるようなことになったら家から追い出しますからね?」


「いやそれ、全然あり得るから!!」


「そしたら私たち3人で暮らしましょうねー」


「あーいいね、それ彩春賛成―!」


「彩春―…」




そう言うとお父さんは、ため息をはいたが、でもどことなく嬉しそうだった。

 

そうして私中里雪菜が中身を務めているバーチャル配信者白風あげはは、ホロサンジ所属となり転生することとなった。

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